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ZEH基準を満たす窓とは?基準値・最適な選び方・費用までプロがわかりやすく解説(後半)

前半では、ZEH基準を満たすために必要な窓の性能や、U値・ηAC値の見方、さらに内窓と外窓交換の違いについて整理しました。

しかし実際には「窓を良いものにしたのに、思ったほど快適にならない」「ZEH外皮に届かない」と悩むケースが少なくありません。

後半では、こうしたギャップが生まれる原因である外皮バランスの考え方を中心に、以下をわかりやすく解説します。

・窓だけではZEHに届かない理由

・家全体の断熱とどう組み合わせるべきか

・費用対効果を高める窓リフォームの考え方

外皮全体の視点を持つことで、窓リフォームの効果が大きく変わります。ぜひ参考にしてみてください。

>>窓の種類とZEH基準、内窓と外窓の向き不向きについては“ZEH×窓の基準まとめ前半”をご覧ください。

窓だけではZEH基準に届かない理由(外皮バランス)

ZEH基準を満たす住宅では、窓の性能が最重要であることは間違いありません。

しかし実際の外皮計算では、窓を高性能化してもZEH外皮に届かないケースも見られます。その理由は「外皮バランス」にあります。

外皮とは、室内と外気の境界にある屋根・外壁・床・基礎・開口部(窓・玄関ドア)などの総称で、住宅の熱性能の“合計値”で評価されます。

つまり、どこか1つの性能だけを強化しても、全体として基準に届かないことがあるのです。

ZEH外皮計算は“家全体の平均性能”で評価される

UA値(外皮平均熱貫流率)は、以下の式で算出されます。

UA値=(各部位の熱損失量の合計)÷(外皮面積の合計)

この計算式で分かるように、窓以外の部位の性能が低い場合、どれだけ窓を強化してもUA値は改善しにくくなります。


・2階の屋根断熱が薄い
・外壁の断熱材が古い
・床下が無断熱


といった弱点部位が残ったままでは、性能改善の頭打ちが起きやすいのです。

ZEHを阻む“外皮バランス崩れ”のよくある例

以下は、都内の既存戸建てでよく見られる外皮バランス崩れのパターンです。

家の状況外皮バランスが崩れる理由
大開口の掃き出し窓が多い窓面積の割合が高く、外皮性能を引き下げやすい
2階の屋根断熱が薄い(100mm程度未満)夏の熱の流入・冬の流出の大きな原因
外壁がグラスウール50mmなど旧基準気流止め不足も相まって実性能が低下
床下が無断熱冬の体感が大きく悪化し、外皮計算値にも影響
建物形状が複雑(凹凸が多い)外皮面積が増え熱損失が増えやすい

●どうすれば改善できるか

外皮バランスは“弱点部位の特定”が鍵です。

・窓性能を最大化・屋根の断熱材を厚み200mm前後へ見直す・外壁断熱を付加断熱で底上げ・床断熱を補強


といった「弱点を複数同時に改善」するほど、外皮は一気に引き締まり、ZEHに近づきます。

窓だけ改善しても“体感温度が変わらない”ケースがある

窓は熱の出入りが最も大きい部位とはいえ、他の部位が弱いと体感は大きく変わりません。

例えば以下のようなケースです。

改善した部位改善していない部位起きやすい現象
窓(樹脂トリプルに交換)屋根断熱が不足夏に上階が暑いまま
窓(断熱強化)外壁の気流止め不足冬に足元が冷える
内窓で結露改善床下が無断熱冬の体感は大きく改善しない
掃き出し窓交換上げ下げ窓などがアルミのまま外皮改善が限定的

●どう選べば失敗を防げる?

読者が最も避けたいのは「せっかく窓を交換したのに、あまり変わらない」という結果です。
これを防ぐために重要なのは、以下の2点です。

・体感を左右する弱点部位を先に特定する・複数部位を組み合わせて改善する“外皮全体の設計”を行う

窓だけを改善するより、屋根・外壁・床とのバランスを整えたほうが、結果として費用対効果が大きくなります。

ZEHに必要な“ηAC基準”にも窓だけでは対応できない

ZEH基準ではUA値に加えて「ηAC(イータ・エーシー)値」が重要になります。


ηACは“冷房期の日射侵入量”を示す指標で、窓のガラス仕様だけでなく、以下のように建物の設計全体でコントロールする必要があります。

・軒の出
・外付けブラインド
・すだれ・アウターシェード
・方位 など

窓の遮熱型Low-EガラスでηACを一定レベルまで下げられますが、それだけでは基準に届かないことも多く、特に南西面は日射が強烈です。

●どう対処すればいい?

・窓は遮熱型Low-Eを採用・外付け日よけと組み合わせる・軒や庇を併用する


といった“建物全体の工夫”が不可欠です。

ZEHは「窓」が主役! ただし窓だけでは成立しない

総括すると、外皮のZEH基準は、以下の3要素が揃って初めて基準値に到達します。

・窓性能の最大化(主役)・屋根・外壁・床断熱の底上げ・日射遮蔽の強化(ηAC対策)

特に都内の既存住宅では、以下のような理由でZEH外皮に届きにくい傾向があります。

・屋根断熱が不足している・外壁断熱が旧仕様のまま・南・西面に大開口の窓が多い

これらが重なると家全体の外皮性能が下がり、窓だけを高性能化してもUA値の改善が追いつかないケースが増えます。

ZEH窓リフォームの費用と効果(コスパを最大化する考え方)

窓リフォームは“断熱効果が最も分かりやすい部位”ですが、費用の幅も大きいため、どこまで性能を上げるべきか迷う方が多いのが実情です。

同じ窓でも、商品グレードや施工方法で金額も効果も大きく変わります。

ここでは費用感と効果を整理し、最もコスパの高い進め方をまとめます。

窓リフォームの費用相場(内窓×外窓交換)

ZEH基準に近づける場合、選択肢は主に内窓と外窓交換の2種類です。

それぞれの費用相場は次の通りです。

種類費用の目安特徴
内窓(樹脂)5万〜12万円/1窓工期が短く費用を抑えやすい。結露対策に強い
外窓交換(カバー工法)15万〜40万円/1窓性能改善の主力。UA値を確実に改善
外窓交換(はつり工法)25万〜50万円超/1窓開口寸法を確保しつつ高性能化できるが、外壁補修が必要

※掃き出し窓・FIX窓・引違い窓などで費用は大きく変動します。

費用に対して“体感が大きく変わる部位”

窓の中でも、効果が大きい部位には明確な傾向があります。


特に以下の窓は改善効果が高く、優先順位を上げるとコスパが向上します。

・南面・西面の大開口(掃き出し窓)・アルミ単板ガラスのまま残っている窓・冬に結露が強い北側の窓

これらの窓は熱の出入りが多く、単価は上がっても効果が大きいため、性能改善によるメリットが得られやすいポイントです。

補足
特に掃き出し窓は外皮面積に占める割合が大きいため、外窓交換によりUA値とηAC値を同時に改善しやすく、ZEHを目指す際の“最重要ポイント”になります。

外窓交換×内窓の併用が最もコスパを高める

全窓を外窓交換すると費用は高額になりますが、以下の理由から“併用パターン”が最適になるケースが多く見られます。

・大きな掃き出し窓は外窓交換で性能を最大化・小窓や結露窓は内窓でコスパよく改善・方位によって求められる性能が違うため、部位別に最適化できる

このように部位ごとに方法を変えると、費用を抑えつつ外皮性能を効率的に改善できます。

補足
ZEH外皮を狙う住宅では、南・西面の掃き出し窓だけ外窓交換し、それ以外を内窓にするケースが最も費用対効果が高い傾向があります。

費用対効果の差を「改善量」で見極める

同じ価格帯でも、性能改善の幅が小さいと費用対効果が悪く感じられます。


逆に以下のような窓は“改善量が大きく”、費用に対して体感が変わりやすい部位です。

・アルミ単板→樹脂トリプルガラス・築20年以上のアルミサッシ→樹脂Low-E複層ガラス・熱橋が大きい窓まわりの交換(特に掃き出し窓)

改善幅が大きいほど冷暖房効率は上がり、冬の足元の冷えを抑えられるため、日常の快適性が大きく変わります。

ZEH窓リフォームの“最適予算ライン”

ZEH外皮を視野に入れつつ費用を抑えたい場合、現実的な予算の目安は次のようになります。

改善規模想定費用効果の目安
小規模(内窓中心)20万〜40万円結露改善・底冷え軽減。UA値改善は限定的
中規模(外窓交換×数カ所)60万〜120万円大開口の体感改善、UA値が大きく改善
大規模(外窓交換+内窓併用)150万〜250万円外皮バランスが整い、ZEH外皮が視野に

補足として、“全窓交換は高額になりやすいが、部分最適で十分にZEHレベルへ近づける”という前提を押さえておくと予算計画を立てやすくなります。

補助金を活用したときの費用感

国・東京都・区の補助金を組み合わせることで、実質費用は大きく下がります。


特に窓リフォームは補助金が手厚いため、以下のようなケースでは費用の負担が大幅に軽減されます。

・高性能窓の等級が上がるほど補助額が増える・外窓交換のほうが補助額が大きい・複数窓のまとめ施工で補助が最大化しやすい

補助金ごとの具体的な金額は別記事で詳しく紹介していますが、ここでは“外窓交換が最も補助の恩恵を受けやすい”という点を押さえておけば十分です。

ZEH窓リフォームに使える補助金(東京都)

窓リフォームは国・東京都・区の補助金が充実しており、外窓交換ほど補助額が大きくなる傾向があります。

ZEH基準に近づく性能を採用するほど支援が手厚くなるため、実質負担は想定より抑えられます。

補助金の種類には以下があります。

・国の「先進的窓リノベ2026事業」(最大200万円、窓性能に応じて補助額が変動)・東京都の「既存住宅における省エネ改修促進事業」(最大130万円)・区ごとの補助金(品川区・江東区など独自枠あり)

ただし、制度ごとに“対象製品・要件・申請時期”が大きく異なる点に注意が必要です。

詳細は公式サイトをご確認ください。

補助金を最大限活用するポイントは以下の2つです。

・外窓交換のほうが補助が大きい
・窓の等級(性能)を上げるほど補助単価も上がる

ZEHレベルを狙うなら、まず希望する窓仕様を選び、その後に「どの補助金が使えるか」を確認する流れがスムーズです。

【関連記事】

【2025年最新】ZEHリフォームは補助金でお得に!東京都・23区・国の支援制度と費用例を徹底解説(後半)

ZEH窓リフォームの進め方

ZEHレベルの窓リフォームを失敗なく進めるためには、最初に「弱点の特定」と「優先順位の整理」を行うと判断が早くなります。

●ステップ1:家の弱点診断

まず以下のポイントを確認して、どこが熱の出入りが大きい部位かを把握します。


・南・西面の大きな掃き出し窓がある

・結露が強い窓がある

・2階の暑さ・1階の底冷えが気になる

弱点が分かると、窓のどこを改善すべきかが明確になります。

●ステップ2:優先順位を決める

ZEHを視野に入れる場合、多くの住宅で次の順番がコスパに優れています。

・優先①:大開口の掃き出し窓

・優先②:熱さ・寒さの原因になっている部位の窓

・優先③:結露で困っている北側の窓

すべての窓を一度に交換する必要はなく、部位別に最適な方法を採用するだけで外皮性能は大きく改善します。

●ステップ3:補助金を確認

補助金は“窓の選択後に確認する”ほうがスムーズです。


採用する窓の性能によって使える制度が変わるため、先に仕様を決めましょう。

●ステップ4:会社選び

ZEHレベルの外皮性能を目指す場合、以下に当てはまる会社を選ぶと失敗しにくくなります。


・UA値・ηACの改善提案ができる

・内窓と外窓交換を部位ごとに使い分けられる

よくある質問(FAQ)

ZEHレベルの窓リフォームを検討する際、読者から特に多い質問をまとめました。迷いやすいポイントに絞って解説します。

Q1.内窓と外窓交換、ZEHを目指すならどちらが良いですか?

A.ZEH外皮に近づける場合、大きな掃き出し窓は外窓交換、小窓や結露対策は内窓という併用パターンが最も現実的です。

内窓だけでは外皮改善量が不足しやすく、外窓交換だけでは費用が膨らみます。
以下のような理由で、併用が最適解になるケースが多いです。

・外窓交換はUA値・ηAC値を確実に改善できる
・内窓はコスパが良く、特定の弱点窓を効率よく強化できる
・部位ごとに仕様を変えることで、性能と費用のバランスが整う

結論:

ZEHに近づけたい住宅では「外窓交換を主軸に、内窓を補助的に使う」設計が失敗しにくいでしょう。

Q2.窓だけ高性能にしてもZEHにならないのはなぜですか?

A.ZEHではUA値だけでなくηAC(冷房期の日射侵入量)も評価され、窓の性能だけでは基準に届かないケースが多いためです。

以下のような理由で、窓単独では限界があります。

・屋根や外壁の断熱が弱いと外皮の平均値が改善しにくい・日射の影響を大きく受ける南西面は窓性能だけでは対応できない・外付けブラインドや庇など“建物全体の遮熱対策”が必要

このため、「窓が主役」であることは確かですが、ZEHレベルを狙うには外皮全体のバランス改善が欠かせません。

Q3.既存住宅でもZEHレベルの窓性能にできますか?

A.既存住宅でも、樹脂サッシ+Low-E複層(またはトリプル)ガラスを採用すれば、ZEHに近い窓性能を実現できます。

ただし、以下の点に注意が必要です。

・掃き出し窓は外窓交換が基本(内窓のみでは不十分)・既存サッシの状態によってはカバー工法が適さない場合がある・窓性能が高くても外皮バランスが悪ければZEH外皮には届かない

結論:

窓性能自体はZEHレベルまで上げられるが、家全体の断熱状況によって必要な工事範囲が変わる。

まとめ

ZEH基準に近づける窓リフォームでは、U値やηAC値だけでなく、家全体の外皮バランスを踏まえて“どの窓を優先するか”を見極めることが大切です。

特に、南・西面の大開口は外窓交換の効果が大きく、北側の結露窓や小窓は内窓が有効です。

また費用を抑えつつ性能を上げたい場合は、外窓交換と内窓を部位ごとに使い分ける方法が最も現実的です。

補助金も活用できるため、高性能な窓を導入するハードルは以前より下がっています。

「わが家はどの窓から改善すべきか」「ZEHレベルを目指すにはどの仕様が合うか」など迷いがある方は、専門家の診断を受けると判断が早くなります。

東京都23区で窓リフォームを検討している場合は、家の弱点や外皮バランスを踏まえた最適なプラン提案が可能なファミリー工房へお気軽にご相談ください。

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監修者
大久保 洋司
株式会社ファミリーDesign

Director

約30年と経験豊富な建築士です。
細かいことから大きなことまで、お客様の視点に立った提案をします。
気軽にご相談ください。よろしくお願いします。

【保有資格】
一級建築士
監理技術者
マンションリフォームアドバイザー
既存住宅状況調査技術者
既存住宅アドバイザー

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