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テレワーク(在宅勤務)が快適にできる間取り・環境とは?失敗例も解説

テレワークを行う女性

毎日の通勤・帰宅ラッシュによるストレスから解放され、時間を有効活用できる働き方として期待されたテレワーク(在宅勤務)。しかし実際に始めてみると、「自宅が職場になる」という今まで経験したことのない日常に「別のストレス」を感じ、業務に集中できなくなるといった問題を抱えている方も多いようです。

「オンオフの切り替えができない」「子供やペットが気になって仕事に集中できない」「生活が丸見え、生活音も聞こえてしまう状況をなんとかしたい」といった問題に頭を悩ませる方にとっては、自宅に書斎を設けることが解決策になるかもしれません。こちらの記事では、仕事に集中できるテレワーク環境づくりについて話を掘り下げます。

テレワークが普及した背景と問題点

以前から取り沙汰されてきた働き方改革、そして2020年に世界的大流行をもたらした新型コロナウイルスの影響で、テレワーク(在宅勤務)が一気に普及。同時に、書斎のニーズも高まりを見せています。書斎に対して「一面に本棚があり、読書や書き物に没頭するための部屋」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、今日においては「パソコンを使った仕事や趣味のための部屋(スペース)」と捉える向きが一般的です。

書斎についてご紹介する前に、まずはテレワーク需要が拡大した背景をチェックしておきましょう。

コロナ禍&働き方改革で加速したテレワーク推進

働き方改革の一環として取り組まれてきたテレワークですが、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大によって、予期せぬ形で急速に普及していきました。仕事の取り組み方についても例外なく新たな生活様式(ニューノーマル)への転換が求められ、密を避けて人との距離を保てる仕事のやり方としてテレワークが推奨されています。この状況が、「自宅に仕事専用の部屋(書斎)を設けたい」というニーズの高まりに直結しています。

企業のテレワーク実施率は17.6%から56.4%へ上昇

情報通信技術(ICT)を使い、時間と場所を有効活用する柔軟な働き方として進められてきたテレワーク。コロナ禍前の導入率は17.6%(2020年3月)と、お世辞にも高水準とは言えませんでした。しかし、ニューノーマルを実践する手段としてテレワークが注目され、コロナ禍で実施率を56%以上(2020年5月から6月)に上昇させてきました。

ITツールやインフラの整備が加速

ZoomやGoogle meetなど、ウェブ会議を円滑に進めるためのITツールやインフラが充実してきたことも、テレワーク推進の理由となっています。

Zoomの純利益が17倍(2億6039万ドル)

ウェブ会議のシステムは以前より存在しましたが、コロナ禍のテレワークで導入する企業が劇的に増加しました。今ではマイクやカメラの性能も飛躍的に向上しており、音声の遅延などに起因するウェブ会議のトラブルは大きく減少しています。

ウェブ会議ツール「Zoom」を提供するアメリカのズームビデオ・コミュニケーションズの発表によると、2020年11月から21年1月期の決算は売上高で前年同期比4.7倍の8億8,248万ドル(約940億円)を記録。純利益は約17倍の2億6,039万ドルとなり、新型コロナウイルス下のビデオ会議の定着ぶりを示しています。

良いことばかりではない、テレワークの問題点

出社する必要がなく、時間を有効活用できるテレワークですが、いいことばかりではありません。通勤ストレス以外の違ったストレスや問題点が、明らかになっているからです。以下では、テレワーク・リモートワーク総合研究所(テレリモ総研)が公開したアンケート結果からテレワークの問題点を見ていきます。

調査方法:インターネット調査 調査対象:全国20~65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1077名 調査期間:2020年9月1日~9月4日 出典元:株式会社LASSIC(テレワーク・リモートワーク総合研究所) アンケートの詳細はこちら

仕事とプライベートの区別ができない・・・42.15%

会社と自宅で分けられていた仕事とプライベートの境界線がなくなったことで、自宅にあるテレビやゲームへの誘惑も増えていることにストレスを感じる方が多いという結果になっています。

上司、同僚とのコミュニケーションの減少・・・34.54%

出社しないことにともなって社内コミュニケーションが減った状況にストレスを感じる場合も多いようです。

光熱費などの自己負担が増加・・・24.98%

常時、自宅にいることで、光熱費は必然的に上がります。仕事でパソコンや電化製品を使い続け、朝・昼・夜の食事も自宅で摂るケースが増えるため、生活コストがかさむことにストレスを感じるケースも多いようです。

ストレスを感じるその他のポイント

上記以外にも、「社内の情報・ノウハウ共有が乏しくなる」「長時間労働になっている」「家族の目が気になる」「仕事の評価基準が不透明になる」「情報漏えい(セキュリティー上)の懸念がある」「インターネット回線の遅延がストレス」といった問題点が浮き彫りになっていることがアンケートから確認できます。

もっとも回答数が多かった「仕事とプライベートの区別ができない」という問題や「家族の目が気になる」という問題は、書斎を設けることで解消できる可能性があります。次の章では、書斎をつくる際の注意点やおすすめの間取りに関して詳しく解説していきます。

書斎の3タイプ、それぞれのメリット・デメリット

机といす

一口に書斎と言っても、大きく分けて3つのタイプがあります。ライフスタイルや自宅の環境に適した書斎のタイプを見極め、自身にとって理想的なテレワークスペースの確保につなげましょう。

スペースに余裕がある家庭の場合は、今後テレワークがさらに普及・定着することを見越して

完全個室タイプへのリフォームやリノベーションを検討するのも有効な選択肢と言えるでしょう。

完全個室タイプ

テレワークの悩みとしても多い「オンとオフの切り替え」を最もしやすいのが完全個室タイプです。テレビや娯楽アイテムなど誘惑になるものを同じ空間から排除できるので、集中して仕事に取り組めます。ウェブ会議の際も、背景や生活音を気にする必要がありません。商談や会議が多い方、作業に没頭する必要があるクリエイターなどにおすすめのタイプと言えるでしょう。

しかし、完全個室の書斎を設けるにはどうしても2~3帖のスペースが必要です。スペースの問題で、独立した部屋を用意することが難しい場合もあるでしょう。また、完全個室の場合は換気・エアコンや照明をどう設置すれば仕事に集中できるのかという懸念をクリアする必要があり、育児などとの両立には向かないというデメリットも覚えておく必要があります。

半個室タイプ

階段下のスペースやロフト、寝室の一部など、ある程度周囲とは切り離された環境でありながらも、完全には壁で囲わないタイプの書斎です。今あるスペースを効率的に利用し、ワークスペースを配置することで、集中できる環境を実現します。パーティション、カーテン、ロールスクリーンといった簡易的な仕切りを用いることもあります。

半個室タイプでも、ウェブ会議の際には背景を気にしなくて済むように対応することが可能。完全個室タイプと比べて防音性は低くなるため、子どもやペットの声、掃除機や洗濯機の音などには注意が必要です。

オープンタイプ

自宅スペースの関係上、半個室のワークスペースも確保しにくいケースがあるかもしれません。その場合は、リビングなどの居室や廊下の一角にデスクなどを置いて仕事用のスペースにするという選択肢もあります。

仕事とプライベートを明確に分けることは難しくなりますが、一方で家族の様子を把握したり、業務の合間に家事を行ったりする場合には適した書斎と言えそうです。照明や換気・エアコンはすでに設置されていることがほとんどだと思いますので、最小限の設備投資だけでワークスペースを確保できるのもメリットです。

テレワークスペースの間取りでよくある失敗例

〇か×か

テレワーク環境を整えることは重要ですが、以下のポイントを考慮せずに書斎をつくってしまうと、逆に仕事に集中できずストレスを抱える原因となってしまう恐れもあります。「よくある失敗例」をまとめましたので、自身にとって快適な仕事環境をつくり上げる際の参考にしてみてください。

コンセントが足りない

パソコン、スマートフォン、外付けモニター、Wi-Fiルーター。テレワーク環境では、最低でもこれだけの電化製品が必要になります。エアコンが設置されていない場合は、扇風機やヒーター用のコンセントも必要です。コンセントの数が多い場所に書斎を設けましょう。延長コードだらけで見栄えや使い勝手の悪い書斎では、仕事にも集中しにくくなります。

収納スペース不足

オフィスでは収納スペースを意識することもあまりないと思いますが、自宅に仕事関係の必要書類を保管するとなると、意外にスペースが必要になる場合もあります。電子書類のみであれば収納スペースを考える必要もありませんが、実際は紙の資料なども多いでしょう。それらを整理・収納できる、可動式の棚や引き出しがあると便利です。

日当たりが悪い、または良すぎる

テレワークをする際、日中のほとんどを書斎で過ごすこともあるでしょう。その際に日当たりを考えることは重要です。窓がない場合は照明を付ければ光の問題は解決しますが、窓がある場合はデスクとの位置関係を考慮しましょう。夕方の西日が強すぎすると目が疲れますし、季節によっては暑さで仕事に集中できなくなるかもしれません。逆に、日差しがまったく入らないと電気代がかさみ、ウェブ会議で映る顔色が悪く見える(相手への印象が悪くなる)恐れもあります。

オープンすぎるスペースに書斎を配置

テレワークスペースの確保する際に注意したいのが、オープンすぎるスペースには書斎を配置しないこと。間取りの関係でどうしてもそうなってしまうという場合もありますが、できる限り「生活音」「周囲の人通り」はシャットダウンできる環境が望ましいです。たとえ家族でも、聞かれたくない業務上の話はあるでしょう。オープンスペースだと自身にも家族にも気遣いの必要が生じ、ストレスの原因になる可能性があります。

オンとオフの切り替えが難しい間取り

ダイニングテーブルをワークデスクと兼用したり、寝室に仕切りがない状態でデスクを置いたりすると、プライベートと仕事の切り替えが難しくなります。どうしても専用のテレワークスペースが設置困難な場合でも、折りたたみ可能な小さなデスクをダイニングテーブルの隣に設置するなど、プライベートと仕事を分ける工夫をしましょう。

Wi-Fiの電波が届きにくい、または不安定

テレワークでは安定したインターネット環境が不可欠です。Wi-Fiで十分と思われるかもしれませんが、電波障害などで通信が不安定になると仕事に支障をきたすので注意しましょう。有線LANを設置すれば、通信速度のアップと安定を同時に実現できます。有線LANの設置が難しい場合は、アクセスポイントを追加するなどの対策も有効です。

テレワークがはかどる!おすすめの間取りアイデア

テレワークの間取り

企業がテレワークを推進する過程で、今以上に「成果による評価」が重視される流れになることも考えられます。というのも、テレワークではオフィスにいるときの何倍も「働き方や仕事のプロセス」が見えにくくなるからです。そう考えると、テレワークで集中できる環境をつくり出し、仕事の成果を高めることは、収入アップにつながるチャンスと捉えることもできそうです。

以下では、テレワークがはかどるおすすめの間取りアイデアをご紹介します。

どんな間取りが合っているかを考える

会社では勝手にデスクを移動したり、スペースを区切ったりすることは基本的にできませんが、テレワークには仕事環境を自由に変えられるという利点があります。だからこそ「自分に合ったワークスペースの間取り」を考える必要があります。

・自分の空間にこもって仕事に集中したほうが生産性を発揮できる人 ・無音よりある程度の雑音があるほうが集中できる人 ・どうしても家族の様子を確認していないと不安な人 ・夫婦共働きで、互いにテレワークをしている人 ・オンとオフの切り替えにこだわりたい人

人それぞれ、テレワークスペースに求める理想は違うでしょう。だからこそ、自身の理想と現在の住まいで対応できる間取りのバランスを考えて書斎の環境を整えることが重要です。

面積に限りがある場合は「段差」を利用する

ロフトやスキップフロアで生活空間との間に段差を付け、仕事環境を整える間取りも有効です。「縦の空間」をうまく利用することで視界を生活空間から遮り、オンとオフのバランスを取ることが可能です。視線が高くなると、ウェブ会議の際に映る背景から生活感を取り除くこともできます。周りにパーティションやロールカーテンを置けば、さらに個室感を出せるでしょう。

クローゼットを仕事場に転用する

もともと家に備わっている空間を、仕事場として活用することも可能です。クローゼットなどの場合は窓がないことも多いので換気を考慮する必要がありますが、すでにダウンライトが付いているなら、デスクと椅子さえあればすぐに「仕事場」として活用できます。棚があるクローゼットなら、資料の整理や収納にも困らないでしょう。

自分好みの空間づくりを徹底する

テレワークスペースづくりは、自分の好みを反映できます。カフェ風に植物を多く配置したり、自分の好きな雑貨を並べたりして気分を高めることも可能。逆に何もないまっさらな空間のほうが集中できる、という方もいるでしょう。空間づくりそのものを楽しみながら生産性を上げることが可能な点は、テレワークスペースのメリットでもあります。

机や椅子にもこだわる

間取りを考える際は、机や椅子のサイズ感も把握しておきましょう。テレワークではパソコンの他に、資料を広げたりすることもあります。最低でも奥行き60cm×幅120cm程度のデスクを置ける環境が望ましいでしょう。また椅子は長時間座っていても疲れないオフィスチェアがおすすめです。なお、スタンディングデスクを取り入れ立ったまま仕事をする方は、デスクの高さなどにも配慮しましょう。

思い切ってリフォーム・リノベーションをする

今後のさらなる「テレワーク化」を見据え、リフォームやリノベーションで新たに書斎をつくる方も増えています。仮にテレワーク目的で使わなくなったとしても、子どもの勉強部屋として機能しますし、趣味の部屋として使えば問題ありません。リフォーム・リノベーションにはお金がかかりますが、将来に向けた投資と捉えることもできるでしょう。

なお、以下にファミリー工房のテレワークリフォーム事例(一例)をまとめました。ぜひ、参考にしてみてください。

テレワークで働く大人のための家
単身住まいでもリモートワークでも使い勝手が良い様に、コンセントの位置に至るまで計算して設計したものです。LDKには、壁一面に収納を。無骨なステンレスキッチンの向かいにはカウンター。
働く大人の、シンプルで、丁寧な暮らしが叶うお部屋です。
リビングの一角にカフェのようなテレワークスペース
リビングの一角に前面をガラス窓で覆った独特の雰囲気を持つ空間を作ったテレワークリフォームの事例です。
リビングに接する外側の壁も、質感をフローリングやキッチンの素材と統一することでリビングのデザインを壊すこと無く全体の統一感を出しながら、明らかに別の空間があることをアピールしています。
自分だけのテレワーク空間がある暮らし
小窓から取り込んだ光がやさしく落ちる書斎。備え付けられた机、棚。落ち着いて仕事ができるテレワークスペースです。

まとめ

生活環境や仕事環境の変化を余儀なくされた2020年を経て、企業のテレワーク推進の流れはさらに加速しています。今回の記事でご紹介した書斎の3タイプ、失敗例やおすすめの間取りアイデアなどを参考に、理想的なテレワーク環境を整えてみましょう。

パーティションやロールカーテンの間仕切り、クローゼットや押し入れの活用、リビング・寝室の一角をワークスペースにするといったさまざまな方法がありますが、やはり「完全個室タイプの書斎が欲しい」と思われるケースもあるでしょう。その場合はぜひ、テレワーク対策としてのリフォームやリノベーションもご検討ください。 テレワーク環境を整備するための施工実績も豊富なファミリー工房では、お客様のご予算やご要望に応じた書斎リフォームをご提案しています。現在のテレワーク環境にストレスや不満がある方は、お気軽にお問い合わせください。