ZEHリフォームとは?基準・費用・補助金・進め方まで徹底解説【戸建て向け】(後半)

前半では、ZEHリフォームの基本や省エネリフォームとの違い、向いている住宅タイプを整理しました。
「興味はあるけれど、費用や補助金の条件がよく分からない」
「自分の家でどれくらい効果があるのか知りたい」
このように感じている方も多いでしょう。
ここからは、ZEHリフォームを実現するために欠かせない3つの要素(断熱・省エネ・創エネ)を中心に、認定基準・費用の目安・補助金の活用法をわかりやすく解説します。
後半を読むことで、「どこまで改修すればいいのか」「どんな順序で進めれば安心なのか」が具体的にイメージできるはずです。
>>ZEHリフォームの概要や向いているご家庭については“ZEHリフォームとは?まとめ前半”をご覧ください。
目次
ZEHリフォームの基準と主な要素(断熱・省エネ・創エネ)

ZEHリフォームでは、「どんな工事をすれば認定が取れるのか」という疑問を持つ方が多いでしょう。
実際の認定基準は、「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つの要素で構成されており、これらをバランスよく組み合わせることで初めてZEHとして認められます。
ここでは、それぞれの基準とポイントをわかりやすく整理します。
1.断熱性能の向上(UA値基準)
断熱性能の向上は、ZEHリフォームの基盤となる要素です。
UA値(外皮平均熱貫流率)という指標で評価され、数値が小さいほど断熱性が高くなります。
既存住宅では新築ほど高い断熱性を求められませんが、リフォーム前よりも一定以上の改善が確認されることが認定条件となります。
地域区分ごとに基準が定められており、関東エリアではおおむね0.87以下が目安とされています。
窓の断熱改修(内窓設置・Low-E複層ガラス)や壁・床・天井の断熱材補強が代表的な工事です。
2.省エネ設備の導入(一次エネルギー消費量20%以上削減)
ZEHリフォームでは、リフォーム後の一次エネルギー消費量が、リフォーム前に比べて20%以上削減されることが求められます。
対象となるのは主に以下の設備です。
| ・高効率エアコン ・給湯器(エコキュートなど) ・LED照明 ・節水型トイレ・水栓 ・断熱ドア・高性能サッシ |
これらを組み合わせることで建物全体の省エネ性能を高め、エネルギーの“使い方”を最適化するのが狙いです。
3.再生可能エネルギーの活用(創エネ)
省エネだけでは「ゼロエネルギー」には到達しません。
そこで重要になるのが、太陽光発電などの再エネ設備による創エネです。
| ・太陽光発電システム(PV) ・蓄電池(再エネの自家消費率を高める) ・V2H(電気自動車との電力連携) |
これらを導入すると、使う電力の一部またはすべてを自宅でまかなえる暮らしが実現します。
3要素のバランスが重要
ZEH認定を取るためには、「断熱・省エネ・創エネ」のうちどれか1つだけを強化しても不十分です。
3要素をバランスよく組み合わせることで、快適性・経済性・環境性をすべて満たす家になります。
たとえば、断熱性能を高めても太陽光を設置しない場合はエネルギー収支がゼロにならず、逆に太陽光だけ設置しても冷暖房効率が悪ければ光熱費削減効果は限定的です。
したがって建物の現況をしっかり診断し、最適な組み合わせを設計することがZEHリフォーム成功のカギです。
ZEHリフォームの基準と主な要素まとめ
| 要素 | 内容 | 主な対策・工事 | ポイント |
| 断熱性能(UA値) | 外皮(壁・窓・床・屋根)の断熱性を高め、熱の出入りを抑える | 内窓設置、Low-E複層ガラス、断熱材の補強 | 地域区分ごとのUA値基準を満たす/リフォーム前より性能改善が必要 |
| 省エネ設備 | 高効率機器を導入し、一次エネルギー消費量を20%以上削減 | エコキュート、高効率エアコン、LED照明、断熱ドア | 使用エネルギーを減らす「使い方の最適化」が目的 |
| 創エネ(再生可能エネルギー) | 太陽光発電などでエネルギーを自家生産 | 太陽光パネル、蓄電池、V2H | 消費エネルギーを実質ゼロに近づける/売電収入も期待できる |
| 3要素のバランス | 断熱・省エネ・創エネを組み合わせて総合性能を向上 | 住宅診断に基づく最適プラン設計 | いずれか一つだけでは認定不可。総合的な省エネ設計が重要 |
ZEHリフォームにかかる費用の目安

ZEHリフォームの費用は、住宅の構造や築年数、どの程度まで性能を引き上げるかによって大きく変わります。
一般的な省エネリフォームよりも範囲が広いため、断熱・設備・太陽光などの複合的な費用構成になると考えておくと良いでしょう。
ここでは工事内容ごとの相場と、費用を抑えるためのポイントを整理して紹介します。
工事内容別の費用相場
ZEHリフォームの総額は、300万円〜800万円前後が一般的な目安です。
下表は主な工事別の費用帯です。
| 改修内容 | 費用の目安(戸建ての場合) | 主な内容 |
| 断熱改修 | 約150〜300万円 | 壁・床・天井の断熱材施工、内窓設置、高断熱サッシ交換など |
| 省エネ設備導入 | 約50〜150万円 | エコキュート、高効率エアコン、LED照明、IH調理器など |
| 太陽光発電システム | 約150〜250万円 | 太陽光パネル設置(4〜6kW規模) |
| 蓄電池設置 | 約100〜200万円 | 停電時対応・自家消費最適化用バッテリー |
| HEMS導入 | 約10〜30万円 | 家電・設備のエネルギー使用を可視化するシステム |
合計費用の目安:300〜800万円前後
→導入する設備や断熱範囲によっては1,000万円を超えるケースもあります。
費用を抑えるポイント
ZEHリフォームは工事範囲が広い分、計画の立て方でコストを最適化できるリフォームでもあります。
以下の3点を押さえると、同じ予算でも効果を最大化しやすくなります。
①補助金を最大限活用する
国の「子育てグリーン住宅支援事業」や「先進的窓リノベ事業」などを組み合わせて申請。
ZEH認定を受けることで、補助金額が上乗せされる場合もあります。
②複数の工事を一括で行う
断熱・太陽光・給湯器などを同時施工すれば、足場費用や工期短縮でコスト削減が可能。
③性能・コストのバランスを取る
UA値や創エネ容量を高めすぎると費用が跳ね上がるため、
居住地域・家族構成に合わせた最適プランを選定することが重要です。
ZEHリフォームで使える主な補助金制度

ZEHリフォームは断熱材施工や窓交換、高効率給湯器、太陽光発電など、幅広い工事が対象になります。
それぞれの設備に応じた補助制度を組み合わせることで、自己負担を数十万〜百万円単位で軽減できます。
ここでは、2026年時点で利用可能な代表的な補助金を紹介します。
みらいエコ住宅2026事業(全世帯対象)
| 項目 | 内容 |
| 対象世帯 | 全世帯(子育て・若者世帯に限らず利用可能) |
| 対象工事 | 高断熱窓、外壁・床・天井断熱材の改修、高効率給湯器など |
| 補助額 | 工事内容に応じて最大40〜100万円(リフォームの場合) |
| 申請時期 | 工事前に登録事業者が申請 |
| ポイント | 国が定める省エネ性能を満たす改修が対象。ZEH仕様を目指す改修にも活用できる制度。 |
全世帯が対象のリフォーム補助金として最も活用しやすい制度。
ZEH認定を目指す場合の断熱・給湯設備・窓改修にも幅広く使えます。
先進的窓リノベ2026事業
| 項目 | 内容 |
| 対象工事 | 高断熱窓(内窓・外窓・ガラス交換)の設置 |
| 補助額 | 開口部の性能・サイズに応じて最大100万円/戸 |
| 条件 | 国が定める熱貫流率(Uw値)基準を満たす必要あり |
| 特徴 | 窓の断熱改修で、UA値(外皮平均熱貫流率)の改善に直接つながる。 |
断熱性能の底上げには最優先で検討すべき補助制度。
ZEHリフォームの基準を満たす上でも、中核となる制度です。
給湯省エネ2026事業
| 項目 | 内容 |
| 対象工事 | 高効率給湯器(エコキュート・ハイブリッド給湯器・エネファーム)設置 |
| 補助額 | 機器により7万円〜17万円/台 |
| 申請条件 | 登録事業者を通じた事前申請が必要 |
| 特徴 | 給湯エネルギーを大幅に削減でき、ZEHの一次エネルギー削減要件を満たしやすくなる。 |
エコキュートなどの省エネ給湯器は、ZEH認定条件の「一次エネルギー消費量20%削減」に直結します。
東京都・23区の独自制度(例)
| 自治体 | 制度名 | 概要 |
| 東京都 | 既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア・断熱材・浴槽) | 断熱窓や断熱ドア、断熱材、断熱浴槽へのリフォームで助成 ※その他太陽光、蓄電池等の助成あり。くわしくはこちら |
| 足立区 | 太陽光発電システム設置費補助金 | 太陽光発電・蓄電池・高効率給湯器などに助成(複数制度あり) |
| 江東区 | 地球温暖化防止設備導入助成 | 太陽光発電・蓄電池導入に上限10〜20万円前後を補助。セット導入で上乗せ補助あり。断熱改修等にも補助あり |
| 葛飾区 | かつしかエコ助成金 | 太陽光発電・蓄電池などを対象に補助金交付 |
自治体の補助金は、国の制度と併用できる場合が多いため、太陽光発電や断熱工事などのタイミングに合わせて活用すると効果的です。
※ZEHリフォームの補助金制度についてもっと知りたい!という方は、以下の記事もご参考にしてみてください。
【関連記事】
【2025年最新】ZEHリフォームは補助金でお得に!東京都・23区・国の支援制度と費用例を徹底解説(後半)
ZEHリフォームの進め方と流れ

ZEHリフォームを成功させるには、「基準を満たす設計」と「正しい手順での申請」が欠かせません。
特に補助金を利用する場合、工事前の段階で登録事業者による申請が必要なため、着工後に申請できないケースもあります。
ここでは、ZEHリフォームの流れをわかりやすく整理し、失敗を防ぐポイントを紹介します。
①現地診断(断熱性能・設備の確認)
まずは現在の住宅性能を把握するための「現地調査」を実施します。
壁・床・天井などの断熱状況、窓の性能、給湯設備の種類などを確認し、どの部分を強化すればZEH基準を満たせるかを明確にします。
ここがいわばZEHリフォームのスタートラインで、断熱・設備・太陽光など、改修の優先順位を整理することで費用対効果を高められます。
②プラン作成・エネルギー計算
現状の住宅データをもとに、一次エネルギー消費量削減率を試算します。
断熱材の厚みや窓の性能、太陽光発電容量などをシミュレーションし、ZEH認定を受けられる設計プランを策定します。
・UA値(外皮平均熱貫流率)
・一次エネルギー削減率
・設備仕様(給湯・照明・換気など)
これらを総合的に検討し、性能とコストのバランスが取れる設計を行います。
③補助金申請・BELS評価
設計プランが固まったら、次は補助金申請の準備です。
ZEHリフォームでは、BELS評価書(建築物省エネルギー性能表示)が必須になります。
評価機関によるエネルギー性能確認を経て、補助金の申請が可能になります。
※注意点
・工事前申請が必要な制度が多い(着工後は対象外)
・書類不備や登録事業者以外の申請は不採択になることもある
④施工・完了報告
補助金交付決定後に工事を開始し、断熱改修・設備設置を行います。
完了後には、写真提出や施工報告書の提出が必要です。
これにより補助金の最終交付が行われ、正式に「ZEH基準を満たした住宅」として認定されます。
■主な提出資料例
・工事写真
・使用建材や設備の性能証明書
・完了報告書(施工業者が作成) など
⑤完了後のアフターフォロー
ZEHリフォーム後は、光熱費削減効果や快適性の変化を定期的に確認します。
断熱性能が高まることで、冷暖房の効率や室内環境が大きく改善します。
また、設備のメンテナンス時期(給湯器や太陽光など)を把握しておくことで、長期的に性能を維持し、補助金の効果を最大化できます。
ZEHリフォームの流れまとめ表
| 手順 | 内容 | 主なポイント |
| ①現地診断 | 現状の断熱・設備性能を調査 | 改修優先度を把握 |
| ②プラン作成・試算 | エネルギー削減率をシミュレーション | 性能とコストの最適化 |
| ③申請・評価 | BELS評価+補助金申請 | 工事前申請が原則 |
| ④施工・報告 | 工事実施・完了報告書提出 | 補助金交付を受ける |
| ⑤アフターフォロー | 効果確認・メンテナンス | 長期的な性能維持 |
よくある質問(FAQ)

Q1.部分リフォームでもZEH認定は取れる?
A.部分的な改修(窓交換や給湯器交換など)だけでは、原則としてZEH認定の対象にはなりません。
ZEHリフォームは「住宅全体での一次エネルギー消費量20%以上削減」が基準のため、断熱・省エネ・創エネを組み合わせた総合的な改修が必要です。
Q2.太陽光発電がなくてもZEHになりますか?
A.原則として、ZEHでは「再生可能エネルギーの導入(太陽光発電など)」が必須です。
ただし、NearlyZEH(ニアリーゼッチ)のように再エネを含まない、または一部不足していても高い省エネ性能を持つ住宅として認定される区分もあります。
「ZEH=創エネあり」「NearlyZEH=創エネ少なめ」という違いを押さえておきましょう。
Q3.認定までの期間はどのくらい?
A.申請から認定までの期間は、おおよそ2〜3か月が目安です。
ただし、審査の混雑状況や補助金申請のタイミングによって変動します。
・BELS評価:約1〜2週間
・補助金申請:審査1〜2か月
・交付決定後に工事着工
スケジュールに余裕を持って、設計段階から早めに申請準備を進めましょう。
Q4.補助金と減税は併用できますか?
A.はい、併用可能です。
たとえば、ZEHリフォームで「子育てグリーン住宅支援事業」の補助金を受けつつ、住宅ローン減税を利用することもできます。
ただし、同じ工事に対して財源が同じ複数の補助金を重複申請することは不可なので注意が必要です。
(例:同じ窓工事に対し、先進的窓リノベ事業と子育てグリーン住宅支援事業(どちらも国の補助金)の併用は不可)
※同一箇所でも財源が異なる補助金であれば併用できる場合が多いです。
※財源が同じ補助金でも、工事箇所・制度の重複がない場合は併用できる場合があります。
Q5.HEMSは必須ですか?
A.ZEH認定において、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の設置は必須要件です。
電力の使用状況をデータ化して可視化することで、省エネ効果を維持・検証し、長期的に効率的な暮らしを支えます。
まとめ

ZEHリフォームは、断熱・省エネ・創エネを組み合わせて住宅のエネルギー性能を最適化するリフォームです。
単なる省エネ改修ではなく、家全体の快適性・光熱費削減・資産価値向上を同時に実現できるのが最大の特徴です。
また、ZEH認定を受けることで国や自治体の補助金・減税制度を利用でき、初期費用を大きく抑えることもできます。
ただし、申請や性能評価には専門的な知識が必要なため、ZEHリフォームの経験が豊富な施工会社へ相談することが重要です。
ファミリー工房では、BELS評価取得や補助金申請サポートまで一貫対応しています。
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>>ZEHリフォームの概要や向いているご家庭については“ZEHリフォームとは?まとめ前半”をご覧ください。

- 監修者
- 阿部 智康
sub manager
保有資格:2級建築施工管理技士

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