ZEHリフォームに必要な工事とは?“本当に必要な部分”が分かる目的別ガイド(前半)

「ZEHリフォームにはどんな工事が必要なのか知りたい」
「断熱・省エネ・創エネのうち、どこから着手すべきか分からない」
そんな悩みを抱える方は多いでしょう。
ZEHリフォームは工事内容が多岐にわたり、「結局うちにはどの工事が必要なのか」が見えにくくなりがちです。
本記事では、ZEHに必要な工事を“3要素(断熱・省エネ・創エネ)”に整理したうえで、目的別に「どの工事を優先すべきか」をわかりやすく解説します。
東京都・23区で補助金を活用しながら効率よくZEHリフォームを進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
>>工事の組み合わせ方による効果、補助金制度については“ZEHリフォームに必要な工事まとめ後半”をご覧ください。
ZEHリフォームに必要な工事は「3要素」で決まる(断熱・省エネ・創エネ)

ZEHリフォームは「断熱」「省エネ」「創エネ」の3要素で構成されています。
この3つを整えることで、エネルギー消費を抑えながら快適で健康的な住まいに近づきます。
まずは、各工事がどの性能に関係するのか全体像を整理します。
断熱・省エネ・創エネの関係を理解する
ZEHの3要素は、以下のような役割分担になっています。
| ・断熱:エネルギーを「逃がさない」 ・省エネ:エネルギーを「無駄なく使う」 ・創エネ:エネルギーを「つくる」 |
この3つは独立した要素ではなく、相互に影響します。
たとえば断熱性能が上がると冷暖房効率が上がり、省エネ設備の効果も出やすくなります。
そこに太陽光発電を組み合わせると、自家消費で光熱費削減効果が一段と高まります。
ZEH基準を満たすために必要な工事一覧(必須/優先/状況)
ZEHの基準を満たすために必要な工事を、わかりやすくランク別に整理すると次のようになります。
| 必要度 | 工事内容 | 概要 |
| 必須 | 高効率給湯器 | 補助金「給湯省エネ事業」の対象。一次エネルギー消費量の削減に直結。 |
| 重要 | 外壁・屋根・天井・床の断熱 | 建物全体の断熱性能を底上げ。住宅の状態に応じて必要な部位から改修する。 |
| 重要 | 高断熱窓(交換または内窓) | 熱損失が最も大きい窓の性能向上は優先度が高い。補助金「先進的窓リノベ事業」の対象。 |
| 優先 | 高効率エアコン・換気システム | 築年数の古い住宅では交換するほど効果が出る。 |
| 優先 | 太陽光発電 | 創エネの中心。23区の戸建てでは4〜6kWが主流。 |
| 状況により | 蓄電池 | 停電対策・自家消費率向上に有効。補助金対象になる場合も。 |
| 状況により | HEMS | 消費電力を可視化して創エネ・省エネの効果を最大化。 |
このように、ZEHリフォームは「全部必須に見えるけど、どこから着手すべき?」と迷いがちな工事が多いため、全体像を把握しておくことが大切です。
【補足:補助金の申請にはHEMSが補助要件になる場合がある】
HEMSは工事そのものの優先度としては「状況により」に分類されますが、補助金制度によっては HEMS の設置が要件に含まれるケースがあります。 特に、太陽光や省エネ設備と連動した“エネルギー管理”を評価する制度では、HEMSの導入が補助の前提条件になりやすいため、申請予定の制度を事前に確認することが重要です。 |
目的別に見る「必要な工事」早見表

ZEHリフォームは「3要素をすべて一気にやる」というイメージを持たれがちですが、実際は住まいの課題や目的によって優先順位が変わります。
「冬の寒さを和らげたい」「電気代を減らしたい」「災害に備えたい」など、目的別に必要な工事を整理することで、自宅に合う組み合わせを判断しやすくなります。
冬の寒さ改善が目的の場合
冬に「家の中が冷える」「エアコンをつけても暖まりにくい」と感じる場合、多くは断熱や気密の不足が原因です。
特に窓や天井からの熱損失が大きいため、ここを優先して改修すると冷暖房効率が改善します。
小見出し:■必要な工事と優先度
| 工事内容 | 優先度 | 期待できる効果 |
| 高断熱窓(交換・内窓) | ★★★(最優先) | 熱損失の6割を占める窓を改善し、体感温度が急上昇 |
| 天井・屋根断熱 | ★★☆ | 暖気が逃げにくくなり、冬の暖房効率が改善 |
| 床断熱 | ★★☆ | 床下からの冷気を防ぎ、底冷え対策に有効 |
| 外壁断熱(内断熱・外断熱) | ★★☆ | 建物全体の断熱性能が向上 |
| すき間対策(気密補修) | ★☆☆ | “隙間風”の改善に効果的で小規模でも体感変化あり |
光熱費削減が目的の場合
東京23区は電気料金の影響を受けやすく、光熱費の削減を目的にZEHリフォームを検討する方が増えています。
この場合は断熱→給湯器→太陽光の順に優先度が高まります。
■必要な工事と優先度
| 工事内容 | 優先度 | 期待できる効果 |
| 高断熱窓・断熱材強化 | ★★★ | 冷暖房費を年間3〜5万円削減できるケースも |
| 高効率給湯器(エコキュート等) | ★★★ | 給湯費を大幅削減。給湯省エネ事業の支援額も大きい |
| 太陽光発電 | ★★★ | 自家消費と売電によって年間10万円前後の効果に期待 |
| 高効率エアコン | ★★☆ | 省エネ基準クリアで稼働効率アップ |
| 蓄電池 | ★☆☆ | 夜間の電力を補えるが費用対効果は家庭ごとに異なる |
停電対策・レジリエンス強化が目的の場合
地震・台風による停電が増加傾向にある近年、「非常時でも電気を使える家にしたい」という相談が増えています。
この目的では太陽光+蓄電池+HEMSの組み合わせが有効です。
■必要な工事と優先度
| 工事内容 | 優先度 | 期待できる効果 |
| 太陽光発電 | ★★★ | 停電時も昼間の電力を確保できる |
| 蓄電池 | ★★★ | 夜間も必要最低限の電力を確保でき、防災性向上 |
| HEMS | ★★☆ | 非常時の電力配分を自動制御し、自家消費率アップ |
| 高断熱窓・断熱材 | ★★☆ | 室温維持性能が高く、停電時の保温・保冷効果が高まる |
| 高効率給湯器 | ★☆☆ | エネルギー管理の効率化。補助金適用も容易 |
資産価値を上げたい場合(長期的な視点)
東京都・23区では、省エネ性能が資産価値に直結する傾向があります。
中古市場では「断熱改修済み」「太陽光付き」などが評価されやすく、将来の売却や賃貸を視野に入れる場合はZEHリフォームが効果的です。
■必要な工事と優先度
| 工事内容 | 優先度 | 期待できる効果 |
| 外壁・屋根断熱 | ★★★ | 建物寿命を延ばし、外装リフォームのタイミングと合わせると効率的 |
| 高断熱窓(交換) | ★★★ | 見た目の刷新と性能向上が同時に叶う |
| 太陽光発電 | ★★☆ | 資産価値評価に大きく影響。新築市場では標準化が進んでいる |
| HEMS | ★★☆ | エネルギー管理の“見える化”が評価されやすい |
| 高効率給湯器 | ★☆☆ | ランニングコストの削減に寄与しつつ補助金対象になりやすい |
断熱性能を上げるために必要な工事

ZEHリフォームの基盤となるのが「断熱性能」の向上です。
外気温の影響を受けにくい住まいにすることで、冬の寒さや夏の暑さが緩和され、冷暖房効率が大きく改善します。結果的に省エネ設備や太陽光発電の効果も最大限引き出されます。
断熱工事は「どこから熱が逃げているか」で優先順位が変わります。
住まいの弱点を踏まえたうえで、東京都・23区で多いケースを部位別に見ていきましょう。
窓の断熱(最優先で取り組むべき工事)
住宅の熱の出入りの約6割が「窓」から起こるため、最も効果的な断熱工事です。
東京23区の住宅ではアルミサッシがまだ多く、ガラス性能も古いケースが多いため、窓の断熱改善は優先度が非常に高い項目です。
主な工事内容
●内窓の設置(二重窓化)
既存窓の内側に樹脂サッシの内窓を追加し、断熱・防音効果が大幅に向上。
●窓交換(高断熱サッシ+高性能ガラス)
フレームごと交換して性能を一新。先進的窓リノベ事業の対象になりやすい。
効果
・冬の冷え込みを大幅に軽減
・夏の日射熱をカットし室温上昇を抑制
・冷暖房費が年間3〜5万円ほど減る例も
・結露対策になり建物の耐久性も向上
外壁の断熱(外断熱/内断熱の選択)
外壁断熱は、建物全体の熱損失を抑える大規模な工事です。
外壁塗装や張り替えのタイミングと合わせると最も効率よく施工できます。
工事方法
●外断熱(外側から断熱材を追加)
外側を覆うため気密性が高まり、断熱効果のムラが出にくい。
外壁リフォームとの同時施工に適している。
●内断熱(室内側から施工)
工期が短めでコストを抑えやすいが、室内が若干狭くなるケースもある。
効果
・建物全体の保温・保冷性能が向上
・壁際の温度差が改善され、体感温度が安定
・築古住宅でも快適性を大きく改善可能
屋根・天井の断熱(夏の暑さ対策に有効)
屋根は日射による熱の影響を最も受けるため、夏場の室温上昇を大きく左右します。
特に2階が暑い住宅では、リフォームによる効果が顕著です。
工事方法
・吹き込み断熱(天井裏に断熱材を敷き詰める)
比較的費用を抑えつつ効果が高い施工方法。
・屋根断熱(屋根材の直下に断熱層を施工)
屋根リフォームのタイミングに合わせて行うと遮熱効果が大きい。
効果
・夏の“熱ごもり”を軽減
・冷房効率が上がり電気代を削減
・冬場の暖房ロスも低減
床の断熱(冬の底冷え対策に重要)
床下からの冷気は体感温度に直結します。
特に1階のLDKが寒い住宅では非常に効果的です。
工事方法
●床下側から断熱材を追加
床を剥がさず施工しやすいためリフォーム負担が少ない。
●床材交換時に断熱材を挟み込む工法
床リフォームと同時に行うと効率が良い。
効果
・足元の冷えが改善され体感温度が上昇
・床暖房の効率が向上
・断熱性能が維持されやすく、省エネ効果が長続き
省エネ化に必要な工事
住宅が消費するエネルギーの多くは「給湯」「空調」「換気」といった設備に使われているため、これらを高効率な機器へ交換することで、光熱費を大きく抑えられます。
特に東京都・23区では、給湯器やエアコンの交換だけでも年間の電気・ガス代に大きな差が出るケースが多いです。
ここではZEH基準で求められる“一次エネルギー消費量の削減”に直結する、省エネ設備の導入工事を分かりやすく解説します。
高効率給湯器(エコキュート・ハイブリッド給湯器)
給湯は家庭内エネルギー消費の3割以上を占めるため、省エネ効果が非常に大きい工事です。
東京都でも給湯省エネ事業の支援額が大きく、“最初に見直すべき設備”としておすすめです。
主な工事内容
●エコキュートへの交換
空気の熱を利用して効率的にお湯をつくるため、ランニングコストを大幅に削減。
●ハイブリッド給湯器の導入
ガスと電気を併用し高効率でお湯をつくる。家族数が多い住宅に向く。
●貯湯タンクの設置・配管の最適化
既存設備の配置によっては、配管ルートの改善で効率がさらに向上する。
効果
・給湯省エネ2026事業で7〜17万円+撤去加算の補助対象
・年間の給湯代を約2〜4万円削減
・太陽光との相性がよく、自家消費率向上にも有効
高効率エアコン(冷暖房設備の最適化)
空調は季節によって消費エネルギーが大きく変わるため、性能の高いエアコンに交換するだけでもZEH基準の一次エネルギー削減に寄与します。
主な工事内容
●ZEH向け省エネ基準を満たすモデルへの交換
旧式と比べて消費電力が大幅に少なく、冷暖房効率が非常に高い。
●間取りや使用頻度に応じた容量選定
広さに合わないエアコンを設置すると効果が半減するため、選定が重要。
●複数台の同時交換
戸建ての場合は2〜3台まとめて交換するほうが省エネ効果を実感しやすい。
効果
・年間の電気代を約1.5〜3万円削減
・断熱工事と組み合わせると効率がさらに上がる
・古いエアコンより稼働音が静かで快適性が向上
換気システム(熱交換型換気)
換気はZEH判定で必須項目ではないものの、断熱・気密を強化した住宅では重要な役割を持ちます。
特に“熱交換型”は省エネと快適性の両方を高めます。
主な工事内容
●第一種換気(熱交換型)への変更
給気・排気を機械で制御し、室温を保ちながら換気できる方式。
●ダクト工法/ダクトレス工法の選択
住宅の構造に応じて最適な方式を選ぶことで工事効率が高まる。
●フィルター性能の改善
花粉・粉じん対策にも有効で、空気質が向上。
効果
・冷暖房時の室温ロスを大幅に軽減
・空気がこもりやすい住宅でも快適に
・断熱・気密を強化した家との相性が良い
照明・家電の省エネ化(補助的だが効果が大きい)
照明や家電の更新は“補助的”ではありますが、リフォームのタイミングで見直すことで効率が上がり、住まい全体のエネルギー削減に貢献します。
主な工事・設備更新
●LED照明への全面交換
●冷蔵庫・洗濯機など高効率家電への更新
●スマート照明・自動調光システムの導入
効果
・年間1万円前後の削減が可能
・太陽光+HEMSと組み合わせると自動制御が可能
・室内環境の快適性アップ
創エネに必要な工事

ZEHリフォームでエネルギー収支をゼロに近づけるには、創エネ設備が欠かせません。
東京都・23区では屋根形状や敷地条件によっては設置判断が難しいため、導入可否を丁寧に見極める必要があります。
とくに太陽光発電はZEH判定における中核で、電気代高騰の中では光熱費削減効果も期待できます。
ここでは創エネの中心となる設備と、導入時に必要な工事内容を整理します。
太陽光発電(創エネの中心となる設備)
太陽光発電は、ZEHリフォームにおける最重要の創エネ工事です。
発電量は住宅の立地や屋根形状によって大きく変わりますが、東京都23区では4〜6kWが一般的な導入容量となっています。
主な工事内容
●パネルの設置(屋根材・形状に合わせた工法選択)
スレート・金属・瓦屋根など、素材に応じた金具固定が必要。
●パワーコンディショナの設置
変換効率のよいモデルを選ぶことで自家消費率も向上。
●配線・ブレーカー工事
屋外から分電盤までのルートを確保。既存配線の見直しもあわせて行う。
●屋根診断と補修(必要に応じて)
築年数が古い場合は“屋根の寿命>パネル耐用年数”を満たすか確認する。
効果
・自家消費で電気代を大きく削減
・余剰電力は売電収入として還元も可能
・蓄電池と組み合わせると停電時の安心度が大きく向上
蓄電池(自家消費率を高める設備)
蓄電池は太陽光で発電した電気をため、夜間や停電時に使えるようにする設備です。
東京都では「災害対策」としてのニーズも高く、創エネの価値を大きく広げる工事といえます。
主な工事内容
●蓄電池本体の設置(屋内・屋外タイプ)
●電気配線・分電盤の増設や切り替え工事
●太陽光との連携設定(特にハイブリッドパワコンの場合)
●使用環境に合わせた容量選定(6.5kWh/9.8kWhなど)
効果
・自家消費率が大きく向上し“電力の買う量”が減る=電気代が減る
・停電時でも必要最低限の電力が確保できる
・23区では災害時のレジリエンス強化として高い効果
HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)
HEMSは、電気の使われ方を「見える化」し、太陽光・蓄電池・省エネ設備と連携して最適な制御を行うシステムです。
ZEH判定そのものに必須ではないものの、導入することで創エネ・省エネ効果を最大化できます。
主な工事内容
●HEMS本体および計測ユニットの設置
●分電盤との接続(モニタリング設定)
●太陽光・蓄電池との制御連携設定
効果
・電力の使い方が可視化され、無駄が削減
・自家消費を優先するよう自動制御が可能
・外出先からもスマホで管理でき利便性が高い
・補助金によってはHEMSの設置が条件になっている場合あり
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- 監修者
- 近岡 正平
Manager
【保有資格】
一級建築士
二級建築士
福祉用具専門相談員
監理技術者
既存住宅状況調査技術者
建築物石綿含有建材調査者

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
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