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ZEHを目指す内窓リフォーム解説|効果と限界、外窓交換との上手な使い分け(後半)

前半では、内窓がどのような性能を改善できるのか、そしてどんな住宅に向いているのかを整理しました。

ここまで読むと「具体的にどんな内窓を選べば良いのか」「ZEHを意識するならどの窓から改善すべきか」と気になる方も多いでしょう。

後半では、内窓に使われるガラスの違いや選び方、外窓交換との上手な使い分け、費用と補助金の考え方、そして迷わず進めるための手順をわかりやすくまとめます。

ご自宅の間取りや悩みに照らし合わせながら読むことで、「うちの場合はどの窓に内窓を入れるべきか」が具体的にイメージしやすくなるはずです。

>>内窓が採用される理由、向いている住宅については“ZEH×内窓リフォームまとめ前半”をご覧ください。

⑤:内窓の種類と性能を比較

内窓は「枠(樹脂内窓本体)」と「ガラス種類」の組み合わせで性能が決まります。


外窓交換とは異なり、枠性能はほぼ固定で、選択の差が出るのはガラス構成です。


ここでは、ZEHを意識しつつも体感改善に直結する「ガラスの違い」を中心に整理します。

まず、内窓の基本構造により共通する特徴は次のとおりです。

・樹脂枠によって熱橋(ヒートブリッジ)を大きく抑えられる・既存窓との間に空気層が生まれ、断熱・防音の効果が高い・施工が室内完結で、外壁や外観に影響しない

そのうえで選ぶガラスが、断熱・遮熱・結露性能・見た目に大きく影響します。

ガラスの種類ごとの性能比較

以下の表は、内窓で選ばれる代表的なガラス種類と、それぞれが向く悩みを整理したものです。

ガラス種類性能の特徴向いている悩み・用途
透明複層ガラス基本的な断熱性能。採光性が高い明るさを確保したい部屋、結露の軽減
Low-E複層ガラス(遮熱型)夏に強い。日射熱を抑える西日が強い部屋、冷房負荷が高い部屋
Low-E複層ガラス(取得型)冬に強い。日射を積極的に取り込む北側・東側など寒さが気になる部屋
型ガラス(すりガラス)プライバシー目的。性能はガラス構成によるトイレ・脱衣所など視線を遮りたい窓
防音合わせガラス遮音性が高いが重量がある幹線道路沿い、電車・車の騒音対策

ガラス選びで失敗しないための考え方

内窓の性能差は“ガラス選び”にほぼ集約されます。

ただし、性能が高い=正解ではなく、部屋の悩みと方角に合わせて選ぶのが最も効果的です。

以下に、ガラス選びの基本軸をまとめます。

・寒さが強い部屋→ Low-E複層(取得型)・夏の暑さが強い部屋→ Low-E複層(遮熱型)・採光を維持したい→ 透明複層・外からの視線が気になる→ 型板ガラスやすりガラス・騒音に困っている→ 防音合わせガラス

内窓は家全体に一律で入れるのではなく、部屋ごとに悩みが違う場合はガラスも部位別に変えるべきです。


たとえば、リビングは遮熱型、北側の寝室は取得型、といった組み合わせが現実的で、費用対効果も高くなります。

迷ったら“遮熱型Low-E複層”が扱いやすい

ZEHを意識する場合、日射遮蔽の重要性は増します。


都内の住宅では夏の冷房負荷が大きいため、迷った場合は遮熱型を選ぶと扱いやすい傾向がありますが、日射条件によっては取得型の方が適するケースもあります。

遮熱型は夏の熱流入を抑えつつ、冬の断熱効果も確保できるため、「複数の窓でどれを選ぶべきかわからない」という人に最も適した“万能型”と言えます。

⑥:ZEHレベルに近づける“内窓の使い方”

内窓は「外皮性能を一気に底上げする工法」ではありませんが、使い方を工夫すれば家全体の快適性を大きく改善できます。

ポイントは、“どの窓に入れるか”を正しく選ぶことです。


ここでは、ZEHの考え方を踏まえながら、内窓を効果的に活かすための具体的な使い方を整理します。

①弱点窓を特定する(寒さ・結露・西日)

内窓を最も効果的に活用するには、家全体に一律で取り付けるのではなく、まず“弱点窓”を把握することが重要です。

弱点とは、体感に最も影響を与えている窓のことです。

弱点になりやすい窓の例は以下のとおりです。

・冬に冷気が強く流れ込む窓(北側・東側)・結露が毎年ひどい窓・西日が強く当たる窓(午後に暑くなる部屋)・階段・廊下など、冷暖房が効きにくい場所の小窓

これらの窓は「家の快適性を最も損ねている部位」であるため、優先的に内窓を入れると効果が分かりやすく出ます。


そのためまずは症状ごとに窓の位置と時間帯を確認し、改善の順序を決めることが重要です。

②大開口は外窓交換、小窓は内窓の“併用設計”が現実的

ZEHレベルを本気で目指す場合、掃き出し窓のような大開口は外窓交換が基本です。


一方で、廊下やトイレ・洗面などの小窓は、外窓交換よりも内窓のほうが費用対効果が高くなります。

以下のように考えると設計がスムーズです。

窓の種類向いている工法理由
掃き出し窓(大開口)外窓交換動線・段差の問題が出るため、内窓は不向き
腰窓・小窓内窓工事が簡単で費用対効果が高い
北側の窓内窓優先寒さ対策として最も成果が出やすい
トイレ・脱衣所内窓結露・冷気の改善に直結する

こうした“併用設計”にすることで、コストと性能のバランスが取りやすく、ZEHに近づくための現実的なプランが組めます。

③北側・東側など“冷えやすい窓”を優先する

断熱改善は“面積の大きい窓”だけでなく、“温度差が大きくなる窓”を抑えることも重要です。

特に北側・東側は冬の気温が上がりにくく、外気の影響を受けやすいため、内窓の優先候補になります。

・北側の寝室が特に冷える・東側の朝日で温度が急変する・階段や廊下が冷えすぎる

こうした状況では、外皮計算値よりも“体感の改善幅”が大きく、費用対効果が高くなります。


ZEHに完全到達できなくても、生活快適性の面では大きな満足度につながります。

④内窓でZEHに近づけるパターン(既存性能が中程度の家)

既存の外皮性能が「そこまで悪くない家」では、内窓の追加でZEHに近づくケースもあります。


ポイントは、“弱点部位の数が少ない・窓面積が大きすぎない”という条件が揃っていることです。

以下のようなケースでは、内窓でも弱点部位を集中的に改善できるため、効果が適切に積み上がります。

・築10〜20年で断熱仕様が中程度の家・窓の面積が極端に大きくない・北側・小窓の弱点が数カ所に限られる・外壁・屋根は現状でも一定レベルの断熱がある

このような条件が揃うと、内窓によって外皮全体のバランスが整い、ZEH基準に近づける設計が可能になります。

ただし、「内窓だけでZEHにする」ことは現実的ではないため、必要に応じて外窓交換や日射遮蔽と組み合わせる前提で考えることが重要です。

⑦:内窓リフォームの費用感と補助金

内窓は外窓交換に比べて費用を抑えやすく、補助金の対象にもなりやすいのが大きなメリットです。

ここでは内窓設置費用の目安や、補助金の概要についてご説明します。

①内窓の費用感(1窓あたりの目安)

内窓の費用は、ガラスの種類とサイズで大きく変わりますが、東京都の戸建てで一般的な目安は次のとおりです。

窓の種類おおよその費用帯(1枚あたり)
小窓5〜8万円
腰窓7〜10万円
掃き出し窓10〜12万円(条件で増減)

小窓が多い家ほど、外窓交換よりも格段に費用を抑えやすくなります。


また施工が室内完結のため、足場が不要で追加工事が少ない点も費用が安定しやすい理由となっています。

②補助金の“対象になりやすい”工法

内窓は補助金対象になりやすいリフォームの代表格です。

特に国の断熱補助金や東京都の窓支援制度では、等級が高いほど補助単価が上がる仕組みが採用されています。

補助金で押さえておきたいポイントは次の3つです。

・内窓は補助対象になりやすい(窓種のカバー率が高い)・ガラス等級が上がるほど補助額も上がる・外窓交換より総額を抑えつつ補助の恩恵を受けやすい

ちなみに東京都では以下の補助金が利用できます。

補助制度名最大補助額(目安)概要(簡潔)
先進的窓リノベ2026事業(国)最大100万円/戸窓の性能等級に応じて補助額が増える制度。内窓でも高性能グレードを選ぶと補助が大きくなりやすい。既存住宅の窓改修で最も使われている支援策。
既存住宅における省エネ改修促進事業(東京都)最大130万円/戸高断熱窓・断熱ドア・断熱材改修など幅広く対象。内窓も等級要件を満たせば補助対象。外壁・屋根など他部位と合わせて使うと支援額が伸びやすい。
東京23区の独自補助金(区ごと)数万円〜十数万円程度一部の区には窓改修を支援する独自制度がある。国・都と併用できる場合もあり、実質負担がさらに下がることも。

【関連記事】

【2025年最新版】国・東京都の窓リフォーム補助金の利用条件は?補助金額や注意点をわかりやすく解説!

③ZEHを目指す人が補助金を確認するタイミング

補助金は後から気づいても間に合わないケースが多く、見積もり前に確認することが鉄則です。

・仕様を決めてから補助金条件に合わないと判明する
・年度途中で予算が終了する
・そもそも対象外のガラスを選んでしまう

こうしたトラブルを避けるため、


「弱点窓の選定→ガラス種類の検討→見積もり依頼」の前後で補助金条件をチェックする

という流れが最も安全です。

⑧:ZEHを目指す内窓リフォームの進め方

内窓は“家の弱点をピンポイントで補強できる”工法ですが、選ぶ窓や場所を誤ると期待した改善が得られないことがあります。

ここでは、ZEHレベルの快適性に近づけるための手順を、できるだけシンプルにまとめました。

①ステップ1:弱点窓を洗い出す

まずは「どの窓が一番家の快適性を下げているのか」を把握するところから始めます。


特に以下のような症状がある窓は優先順位が高い傾向があります。

・冬に冷えが強く、近づくと寒い・結露が集中する・北側や東側にあり、日中でも冷気が残る・2階の暑さや1階の底冷えの原因になっている

弱点窓が明確になると、「どこに内窓を入れれば最も効果が出るか」が判断しやすくなります。

②ステップ2:ガラス種類を選ぶ(遮熱or取得)

内窓はガラスの種類で性能が大きく変わるため、ここで目的に合った仕様を選びます。

・遮熱型(夏の暑さ・日射の強い部屋向き)・取得型(冬の寒さ対策・北面以外の小窓向き)

どちらを選ぶべきか迷う場合は「遮熱型」が汎用性が高く、ZEH視点でも無難です。


外窓交換ほど複雑ではないため、困ったときの判断基準として覚えておくと便利です。

③ステップ3:見積もりと補助金の確認

内窓は補助金対象になりやすいため、見積もりと同時に補助金条件をチェックするとスムーズです。


ここで確認したいポイントは以下の通りです。

・対象等級に合ったガラスを選べているか
・年度の予算状況
・他の窓工事と同時申請できるか

補助金は「仕様を決めた後に対象外と気づく」ケースが多いので、早めの確認が安心です。

④ステップ4:外窓交換との併用を必要に応じて検討

内窓だけで完結できる家もありますが、ZEHに近づけたい場合は「併用」が現実的です。

・大開口(掃き出し窓)は外窓交換が向く
・北側・小窓・結露窓は内窓が向く
・家全体の外皮バランスを見て組み合わせると効果が出やすい

内窓を“全窓に入れる”必要はありません。
部位ごとに方法を変えることで、費用を抑えつつ性能改善を最大化できます。

⑨:よくある質問(FAQ)

Q1.内窓だけでZEHレベルまで到達できますか?

A.結論から言うと「内窓だけでZEH外皮へ到達するのはかなり難しい」です。


内窓は「既存窓の弱点を補強する工法」であり、外窓交換ほどUA値(外皮性能)を大きく改善できません。

ただし、以下のようなケースではZEHに近づける効果が期待できます。

・もともとの外皮性能が中程度以上
・小窓が多く、熱の出入りが分散している
・北側の冷えや結露といった“局所改善”が目的

つまり、内窓は外皮全体を底上げする工法ではなく「弱点窓を確実に改善する工法」と考えると失敗しません。

ZEH外皮そのものを目指す場合は、


大開口の掃き出し窓→外窓交換
小窓・結露窓→内窓

という併用が現実的です。

Q2.トリプルガラスの内窓を選ぶべきですか?

A.東京23区を前提とすると、トリプルガラスは“過剰になるケース”が大半です。

理由は次の通りです。

・内窓は“既存サッシを残す”ため、外窓交換ほど性能を発揮できない・トリプルガラスは重量が増し、開閉が重くなる・費用が高く、費用対効果が低くなりやすい・複層ガラスの内窓でも十分に体感改善できる

一般的に、トリプルを選ぶよりも樹脂内窓×Low-E複層ガラス(遮熱型or取得型)の方がバランスが良く、ZEHに近づける効果も得やすくなります。

例外的に有効なケース


・北側の極端に寒い部屋
・窓面積が大きいが外窓交換が難しい


上記のような特殊条件では検討余地がありますが、それでも慎重に判断した方が安心です。

⑩:まとめ

内窓は、外壁を触らずに室内側だけで性能を高められる“扱いやすい断熱強化策”です。

特に結露・底冷え・小窓の弱点改善に強く、費用を抑えながら体感を大きく変えられるのは大きな魅力だと言えるでしょう。

一方で、既存サッシを残す工法である以上、ZEH外皮そのものに到達するほどの改善は期待しにくく、過度な期待を持たないことが大切です。

ZEHに近づけるうえでの内窓の正しい使い方は次のイメージです。

・大開口は外窓交換、小窓は内窓で最適化・北側や結露窓など“弱点部位”に優先して導入・ガラスは悩んだらLow-E複層(遮熱型or取得型)

このように、内窓は「家全体の外皮を底上げする強化策」というより、弱点を確実に改善し、費用対効果を最大化するためのピンポイント工法です。

どの窓に内窓を入れるべきか迷う場合は、まず“冷え・結露・日射”などの不快ポイントを洗い出し、部位ごとに最適な工法(内窓or外窓交換)を選ぶと失敗しません。

ファミリー工房では、ZEHリフォームの施工はもちろん、補助金の申請から書類提出、完了報告までをワンストップで承ります。
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監修者
大久保 洋司
株式会社ファミリーDesign

Director

約30年と経験豊富な建築士です。
細かいことから大きなことまで、お客様の視点に立った提案をします。
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【保有資格】
一級建築士
監理技術者
マンションリフォームアドバイザー
既存住宅状況調査技術者
既存住宅アドバイザー

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