【事業所向け】ZEH・ZEB対応の換気システム導入ガイド|住宅用との違いと補助金活用をわかりやすく解説(前半)

「オフィスの空気がこもりやすい」
「会議室のCO₂濃度が上がりやすい」
「空調費が増えている」
こうした課題は、多くの中小事業者で見られます。
建物の省エネ化を進めるうえで、換気は空調や断熱と同じくらい重要な要素です。
ZEHやZEBの基準に近づけるには、外皮性能や設備効率だけでなく、適切な換気計画が欠かせません。
特に熱交換型換気や業務用換気設備を導入すると、空調負荷の軽減や働く環境の改善につながります。
本記事では、事業用建物を中心に、換気システムの種類・特徴・導入メリット・注意点・活用できる補助制度を整理します。
>>換気システムの補助金、導入の注意点、費用目安については“ZEHリフォーム完キアシステムまとめ後半”をご覧ください。
目次
ZEHと換気システムの関係(住宅・事業施設に共通)

建物の省エネ性能を高めるうえで、断熱・空調と同じように重要なのが「換気」です。
住宅・事業所のどちらでも、外気を適切に取り入れながら室内の空気環境を整えることで、省エネ性と快適性が向上します。
ここでは、ZEHを中心に、事業所にも関わる換気の基本的な考え方を整理します。
ZEHの外皮性能と一次エネルギー基準(事業者にも関係するポイント)
ZEHでは外皮性能の向上(断熱)と一次エネルギー消費量の削減(設備)が求められます。換気設備は「外皮」「空調」と組み合わせることで効果が最大化します。
■ZEHの外皮基準(東京6地域)
| ・UA値:0.6以下 ・ηAC:東京(6地域)でも上限基準あり |
→ただし、日射取得や遮熱対策は空調効率に影響します。
事業者の場合は制度名称が異なり、ZEHよりもZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のほうが概念として近い場合があります。
ZEBでも換気は重要な評価要素で、空調と換気を一体で考えることが重要です。
換気計画が必要になる理由
高断熱化された建物は外気の流入が少なく、空気が滞留しやすい傾向があります。
これは住宅・事業所のどちらでも共通する特徴で、快適性・衛生面・省エネ性能に影響します。
以下に、両者の違いをわかりやすく比較します。
【換気が必要となる主な理由(住宅/事業所の比較)】
| 区分 | 主な理由 | 補足ポイント |
| 住宅 | 空気の入れ替えが自然に起こりにくく、におい・湿気がこもりやすい | 家族単位の生活でもCO₂が上がると結露や不快感につながる |
| 住宅 | 冬季に結露が発生しやすくなる | 断熱性が高いほど換気計画が重要 |
| 事業所 | 会議室・店舗・教室など、人が集まる空間でCO₂が急速に上昇しやすい | 1000ppmを超えると、眠気や集中力低下につながる可能性がある |
| 事業所 | 職場環境の快適性=生産性に直結する | 業種(飲食・美容・教育)で空気質の要求が大きく異なる |
| 事業所 | 空調負荷を抑えるために換気と空調を一体管理する必要がある | 換気設備の種類が省エネ性能に影響 |
住宅は「快適性・衛生面」が中心、事業所は「環境管理・省エネ・生産性」が中心という違いがあります。
換気システムの種類と特徴

換気システムにはいくつかの方式があり、住宅と事業所では求められる性能や規模が異なります。
中小規模のオフィスや店舗では、熱交換型の第一種換気や業務用の全熱交換換気ユニットを活用することで、空気環境と省エネ性の両方を高めやすくなります。
この章では、代表的な方式と事業用ならではの特徴を整理します。
第一種換気(熱交換)
第一種換気は、給気・排気の両方を機械で行う方式です。
外気を取り込む際に熱交換素子を通すことで、室内の暖かさ・涼しさをできるだけ保ちながら換気できます。
業務用の第一種換気は、家庭用と比べて次のような違いがあります。
・風量が大きく、オフィスや店舗など広い空間に対応しやすい
・ダクト配管を前提とした設計が多く、天井内のスペース計画が重要
・フィルター性能や静圧性能を重視した機種が多い
主な特徴のイメージ
・熱交換率
外気と排気の熱を交換し、室内の温度を大きく変えずに換気できる。冷暖房負荷の低減につながりやすい。
・静圧性能
ダクトが長い、曲がりが多いといった条件でも必要な風量を確保しやすい。
・フィルター性能
外気中の粉じんや花粉を一定程度抑え、室内の空気質向上に役立つ。事務所・クリニック・サロンなどで効果が出やすい。
この方式は、空調コストの削減と空気質の改善を同時に進めたい事業所と相性が良い換気システムと言えます。
第三種換気(家庭用中心)
第三種換気は、排気のみ機械で行い、給気は自然給気口などから取り入れるシンプルな方式です。一般的な戸建住宅で広く採用されてきました。
・構造がシンプルで初期費用を抑えやすい
・換気扇の交換や給気口の見直しだけでも改善しやすい
事業所では、小規模オフィスや小さな店舗などで使われるケースがあります。天井裏のスペースが限られる場合や、初期費用を抑えたい場合に検討される方式です。
既存の第三種換気でも、
・換気扇を高性能なものに交換する
・給気口の位置や数を見直す
・すきま風を減らして計画換気を安定させる
といった改善だけで、室内環境が大きく変わる場合があります。
住宅の第三種換気リフォームについて詳しく知りたい場合は、換気改善をテーマにした住宅向けの解説記事も参考になります。
業務用の換気設備(ロスナイ・全熱交換換気など)
事業用の建物では、ロスナイ(全熱交換換気ユニット)などの業務用換気設備が多く採用されています。第一種換気の一種ですが、オフィスや店舗の使い方に合わせた制御が行える点が特徴です。
主なポイントは次のとおりです。
CO₂センサーとの連動
室内のCO₂濃度をセンサーで検知し、人が増えたときだけ換気量を自動で増やす運用が可能。必要なときにしっかり換気し、不要なときのエネルギー消費を抑えやすい。
空調との一体制御
業務用エアコンと連動させることで、換気と空調をまとめて制御できる。換気量を増やしても、室温が大きく乱れにくい。
用途別の設計がしやすい
・オフィス・コールセンター:長時間滞在によるCO₂上昇対策
・飲食店:におい・油煙対策と客席の快適性の両立
・学習塾・教室:集中力維持のための換気量確保
・美容室・エステサロン:薬剤臭やにおいのコントロール
このように、業務用の換気設備は「人の数」「営業時間」「業種ごとのにおいや湿度の特徴」に合わせて選定する必要があります。
換気方式の比較(表)
ここまでの内容を踏まえ、代表的な換気方式を住宅用・事業用をまたいで比較します。
| 方式 | 主な用途 | 給気方法 | 特徴 | 向いている建物 |
| 第一種換気(熱交換・住宅用) | 省エネ住宅・高断熱住宅 | 機械給気 | 熱交換で室温変化を抑えながら換気できる。冷暖房負荷を抑えやすい。 | 高断熱住宅、ZEHを目指す戸建・集合住宅 |
| 第一種換気(業務用ロスナイ等) | オフィス・店舗・教室など | 機械給気 | 大風量に対応し、CO₂センサーや空調と連動しやすい。業種に合わせた設計が可能。 | 中小オフィス、学習塾、クリニック、店舗 |
| 第三種換気 | 一般的な戸建住宅、小規模オフィス | 自然給気(給気口など) | 構造がシンプルで導入しやすい。改善によるアップグレードも行いやすい。 | 既存戸建住宅、小規模事務所、初期費用を抑えたい建物 |
どの方式が適しているかは、建物の用途・規模・断熱性能・予算によって変わります。事業所では、CO₂管理や空調負荷とのバランスを意識した方式選びが重要になります。
事業所(中小事業者)が換気システムを導入するメリット

事業用建物では、換気を最適化することで「空気質改善」「生産性向上」「空調負荷の低減」「省エネ評価の向上」など、住宅とは異なる効果が得られます。
特に人が集まる空間ではCO₂濃度が急上昇しやすく、換気の良し悪しが業務効率に影響します。
室内環境の改善(CO₂濃度・空気質)
事業所では、滞在人数が多い・利用時間が長い・用途が多様という理由から、CO₂濃度や空気質が悪化しやすい傾向があります。
特に会議室・応接室・コールセンターなどの高密度空間は短時間でCO₂が上昇し、集中力や作業効率に影響します。
業種ごとに求められる空気質の水準も異なるため、必要換気量の基準や設備選定が重要になります。
【業種別に見た空気質の要求レベル】
| 業種 | 必要となる換気の考え方 | 主な課題 |
| 飲食店 | におい・油煙を抑えて客席の快適性を維持 | 油煙・におい・湿気 |
| 美容室・サロン | 薬剤臭・整髪剤のにおいを制御 | 揮発成分・薬剤臭 |
| 学習塾・教室 | 生徒の集中力維持のため一定の換気量を確保 | CO₂急上昇・滞在人数の多さ |
| クリニック | 空気感染・におい対策を目的とした高水準の管理 | 空気質の衛生管理 |
用途に合った換気方式を選ぶことで、空気質を安定させつつ、省エネ性も高められます。
空調負荷の削減
熱交換型の第一種換気は、外気を取り込む際に排気の熱を再利用できるため、外気の温度差による空調負担を軽減しやすくなります。
これにより、室温が極端に乱れず、空調設備全体の効率が安定します。
熱交換型換気によって得られる主なメリットは以下のとおりです。
【熱交換換気で得られる主な効果】
| 効果 | 内容 |
| 室温の安定 | 外気の影響を受けにくく、温度ムラが生じにくい |
| 冷暖房効率の改善 | 空調負荷が減り、省エネ運用がしやすい |
| 設備能力の有効活用 | 業務用エアコンが本来の性能を発揮しやすくなる |
空調と換気をバラバラに制御している場合でも、設備更新のタイミングで「空調一体型換気システム」に切り替えることで、冷暖房効率がさらに向上するケースがあります。
省エネ評価への貢献(ZEH/ZEB)
事業所の省エネ化では、住宅とは異なりZEBの指標が重要になります。
ZEB評価では空調・照明・換気・給湯などすべての設備の一次エネルギー消費量が評価され、換気設備もその一部として扱われます。
熱交換型の第一種換気は、外気負荷を軽減し、空調効率を高めるため、ZEBの一次エネルギー削減評価に反映される場合があります。
よって事業所の設備更新で省エネを進めるうえで、換気は欠かせない要素なのです。
| ファミリー工房では、ZEHリフォームの施工はもちろん、補助金の申請から書類提出、完了報告までをワンストップで承ります。 施主様は面倒なお手続きなく、快適な住まいを手に入れられます。無料で現地調査・お見積もりを承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください! >>無料お見積もり・ご相談はこちら|ファミリー工房 |

- 監修者
- 近岡 正平
Manager
【保有資格】
一級建築士
二級建築士
福祉用具専門相談員
監理技術者
既存住宅状況調査技術者
建築物石綿含有建材調査者

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
JR線・東京メトロ千代田線「北綾瀬駅」下車 徒歩7分
営業時間
10:00~18:00 / 定休:毎週日・月
※夏期休暇、年末年始休暇、ゴールデンウィークを除く







お客様とコミュニケーションをとって、ご希望にマッチした提案をいたします。
気軽にお問い合わせください。よろしくお願いします。