ZEHリフォームで換気システムを導入するメリットと注意点|第一種・第三種の違いも徹底解説(後半)

前半では、換気システムの種類や費用、ZEHリフォームとの関係について整理しました。
そんな中、「断熱は大事なのはわかるけれど、換気はどこまで必要なのか」「第一種と第三種のどちらが自宅に向いているのか判断しづらい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、既存住宅で換気設備を導入・改善する際には天井裏のスペースや気密性能、生活動線との兼ね合いなど、押さえるべきポイントがいくつかあります。
後半では、ZEHリフォームで換気システムを導入する際に注意したい点、第三種換気を活かす方法、外皮性能とのバランスの考え方を詳しくご紹介します。
換気改善の不安や疑問を解消しながら、自宅に合った最適な進め方を検討できる内容としてまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
>>ZEHリフォームにおける換気システムのメリット、重要性、換気方法については“ZEHリフォーム換気システム導入まとめ前半”をご覧ください。
ZEHリフォームで換気システムを導入する際のポイント

ZEHリフォームで換気システムを導入する際は、住宅の構造や既存設備との相性を踏まえながら進める必要があります。
特に既存住宅の場合、ダクトの通し方や騒音、メンテナンス性など、注意すべき点がいくつかあります。
ここでは、初めて換気のリフォームを検討される方でも理解しやすいよう、つまずきやすいポイントを整理してご紹介します。
既存住宅に第一種換気を後付けする際の注意点
第一種換気は高性能ですが、既存住宅に導入する場合は構造面・施工性・快適性の観点から確認が必要です。以下の表に、注意点とその理由を整理しました。
| 注意点 | 内容 |
| ダクトスペースの確保 | 天井裏や床下にダクトを通す空間が必要で、構造によっては確保が難しい場合がある |
| 騒音(機器音の影響) | 熱交換器や送風ファンの作動音が寝室・リビングに響く可能性がある |
| 天井高さへの影響 | ダクトを通すために天井を下げる工事が必要となり、室内の高さが変わる場合がある |
| メンテナンス性 | フィルター交換や点検のしやすさに配慮した配置が必要で、位置次第で使い勝手が変わる |
第一種換気は性能が高い一方で、住宅の構造条件によって導入できるかどうかが変わります。
事前調査で「空間的に設置できるか」「生活動線を妨げないか」を確認しておくことが重要です。
第三種換気のまま性能向上を図る方法
第三種換気は構造がシンプルで、既存住宅でも改善しやすい方式です。
以下は、方式そのものを変えなくても換気性能を高める主な方法です。
| 方法 | 内容 |
| 高性能フィルターへの交換 | 外気中の粒子を一定程度抑えながら給気でき、花粉・微粒子の侵入を抑えやすい |
| 換気扇の交換 | 風量不足や劣化による換気量低下を改善し、安定した換気量を確保しやすい |
| 気密性の改善 | 余計なすきま風を減らすことで、計画的な換気が機能しやすくなる |
第三種換気は大きな構造変更をせずに改善できる点が魅力で、予算や住宅の条件に合わせた段階的なアップグレードが可能です。
外皮性能(窓・外壁・屋根)とのバランス
換気設備は空気の入れ替えを担いますが、ZEHを達成するには外皮性能(断熱性能)の向上も欠かせません。
換気だけを改善してもZEHには届かないため、外皮と設備のバランスを見ながら計画する必要があります。
| ・窓の断熱改善は外皮性能向上に大きく影響 ・外壁や屋根の断熱工事と合わせると快適性がさらに高まる ・換気設備は外皮性能を活かすための“循環の仕組み”として重要 |
特に窓の断熱性能は外皮全体への影響が大きく、一般論として熱の出入りの大きな割合を占めるとされることが多いため、優先度が高くなります。
気密測定を行うメリット
ZEHリフォームでは、計画換気が意図した通りに機能するかどうかを確認するために、気密測定を行うことが有効です。
| ・空気の漏れ(すきま)の量を数値で把握できる ・換気の入口と出口が意図した通りに機能しているか判断できる ・断熱性能だけでなく、換気効率にも直接影響する ・必要に応じて気密改善を行うことで、省エネ性が向上しやすい |
気密性能が安定すると換気の流れも整いやすく、室内環境を一定に維持しやすくなります。
ZEHリフォームで活用できる補助金

ZEHリフォームでは、換気設備そのものが補助対象となる制度は非常に限られています。
国の補助金は主に「断熱性能の向上」や「一次エネルギー消費量の削減」に関連する工事に重点が置かれており、計画換気設備(第一種換気・第三種換気)は対象外となるケースが一般的です。
ただし、断熱改修や設備改善と合わせて行う場合には利用しやすい制度が複数あります。
ここでは、換気改善と同時に検討しやすい補助金を中心にまとめます。
換気システムが対象となる制度はごく限られる
計画換気設備そのものが補助対象となる制度はほとんどありませんが、例外的に「換気機能を備えた空調設備」が対象に含まれる場合があります。
代表的なものとして、以下の制度があります。
| 制度名 | 対象設備 | 補足 |
| 子育てグリーン住宅支援事業(リフォームは全世帯対象) | 空気清浄機能・換気機能付きエアコン | 任意工事枠で対象となる場合がある。第一種換気・第三種換気などの換気設備本体は対象外 |
| 断熱リフォーム支援事業(国)※既存住宅の断熱改修支援 | ①外壁・屋根・天井・床の断熱材工事 ②熱交換型換気設備等 (熱交換型換気設備・空調設備) | ①1戸あたり最大120万円の補助上限②5万円 |
断熱改修で利用できる主な補助制度
換気設備単体では補助対象が限定的でも、外皮性能の改善を同時に行う場合は複数の制度を活用できます。
ZEH基準の達成には外皮性能が不可欠なため、換気改善と並行して断熱改修が検討されるケースが多く見られます。
| 補助金名 | 対象工事 | 特徴 |
| 先進的窓リノベ事業(国) | 高断熱窓への交換・内窓設置 | 1戸あたり最大200万円補助率が高く、窓改修の費用負担を抑えやすい |
| 子育てグリーン住宅支援事業(リフォーム全世帯対象) | 高断熱窓、断熱ドア、外壁・屋根断熱 | 外皮性能の大幅な改善に役立つ制度最大40〜60万円 |
窓・外壁・屋根の断熱を強化すると、換気設備の熱交換効率が高まり、室内環境を安定させやすくなります。
高効率設備で利用できる主な補助制度
一次エネルギー消費量を削減する設備は、ZEHリフォームで活用しやすい補助制度の対象となります。
| 補助金名 | 対象設備 | ポイント |
| 給湯省エネ事業(国) | エコキュートなどの高効率給湯器 | 給湯一次エネの削減に直接関わる |
| 蓄電池の補助(国・自治体)※年度によって実施の場合あり | 蓄電池 | ZEHの創エネに関連し、設備の自家消費と相性が良い |
| 家庭における太陽光発電導入促進事業(東京都) | 太陽光発電システム、架台等 | 太陽光発電の導入ハードルを下げてくれる制度 |
| 家庭における蓄電池導入促進事業(東京都) | 蓄電池 | 高額になりがちな蓄電池の導入費用を補助補助額は12万円/kWh、助成対象経費(税抜)が上限 |
換気改善と同時に設備を見直すことで、省エネ性能のバランスが取れ、ZEH基準達成に近づきます。
▼ZEHリフォーム関連の補助金については以下の記事で詳しく解説しています。こちらもご参考にしてみてください。
【関連記事】
【2025年最新】ZEHリフォームは補助金でお得に!東京都・23区・国の支援制度と費用例を徹底解説(後半)
断熱・設備と換気を同時に改善するメリット
断熱改修や設備改善と合わせて換気を整えると、住宅全体の性能向上につながりやすくなります。
| メリット | 内容 |
| 補助制度を活用しやすい | 断熱・設備と同時に行うことで、補助要件を満たしやすい |
| 熱交換換気の効果が向上 | 外皮性能が高いほど、熱交換換気の効率が活きる |
| 工期・費用の効率化 | 同時施工で工期短縮や足場費用の削減が期待できる |
| 快適性の総合的向上 | 温熱環境と空気質の改善を同時に進められる |
ZEHリフォームの流れ(換気導入の工程を含む)

ZEHリフォームでは、断熱改修・設備改善・換気計画を一体で検討する必要があります。
特に換気システムの導入や改善を行う場合は、現地調査や換気量の計算、外皮性能とのバランス確認が欠かせません。
ここでは、一般的なリフォームの流れを換気計画を含めて整理します。
①現地調査(換気量・気密状況)
換気設備の導入計画を立てる前に、建物の現状を把握します。
| 調査内容 | 目的 |
| 既存換気設備の確認 | 方式・風量・劣化状況をチェック |
| 気密性能の確認(C値の把握) | 計画換気が機能するか判断 |
| 空気の流れ(給気・排気経路) | 部屋ごとの換気バランスを確認 |
| 天井裏・床下スペースの確認 | 第一種換気のダクトルートを確保できるか確認 |
気密が極端に低い住宅では、第一種換気が効果を発揮しにくいため、改善が必要になる場合があります。
②外皮性能の改善(窓→外壁→屋根→床)
換気設備の効果を高めるためには、外皮性能の改善が欠かせません。
| ・窓断熱(内窓・外窓交換) ・外壁断熱の追加 ・屋根・天井断熱の強化 ・床断熱の施工 |
外皮性能が整うと、熱交換換気の効率が安定し、室内の温熱環境も改善されます。
③換気計画の設計
住宅の間取り・気密・断熱性能を踏まえて換気計画を策定します。
| 設計項目 | 内容 |
| 必要換気量の算定 | 家族構成・延床面積に基づき換気設備の仕様を決定 |
| 給気・排気の配置 | 部屋ごとの空気の流れを設計 |
| ダクトルートの設計 | 天井裏・床下のスペースに合わせてルートを設定 |
| メンテナンス性の確認 | フィルター清掃や点検を行いやすい配置に調整 |
換気計画では「空気がどこから入り、どこへ流れ、どこから排気されるか」を明確にすることが重要です。
④施工
設計に基づき換気設備や断熱材の施工を行います。
| ・ダクト配管(第一種換気の場合)・換気本体の設置・外皮断熱の施工・給気口・排気口の適切な位置への取り付け |
断熱改修と同時に行うことで、ダクトスペースの確保や天井補修などを効率化できます。
⑤完了検査
施工後に設備が設計どおり機能しているかを確認します。
| 検査項目 | 内容 |
| 換気風量の確認 | 部屋ごとに換気量が設計値を満たしているか |
| 給気・排気の流れ | 室内の空気の流れが適切か |
| 漏気の確認 | 意図しないすき間の有無を確認 |
| ダクト施工状況 | 曲がり過ぎや落下のリスクがないか |
不具合があれば調整を行い、換気計画どおりの性能が発揮されるように整えます。
⑥エネルギー計算と性能確認
ZEH基準達成を目指す場合、断熱・設備・換気のバランスが整っているかを最終的に確認します。
| ・外皮性能(UA値)の確認・一次エネルギー削減量の算定・設備効率の評価・換気設備の熱交換効率が適切に働いているかの確認 |
性能の確認が完了すると、ZEHリフォームとしての基準にどの程度近づいているかを判断しやすくなります。
よくある質問(FAQ)

ZEHリフォームで換気システムを導入・改善する際に寄せられる質問の中から、特に多い内容をピックアップ。
初めてZEHリフォームを検討されている方へ向け、換気システムに関する代表的な疑問をまとめました。
Q1.第一種換気はZEHリフォームで必須ですか?
A.必須ではありません。
ZEHリフォームでは「外皮性能」と「一次エネルギー消費量の削減」が要件であり、換気方式そのものを第一種換気に限定しているわけではありません。
ただし、第一種換気は熱交換機能を備えているため、外皮性能が高い住宅ほど効果を発揮しやすい特徴があります。
外皮性能(UA値)や間取り、家族構成を踏まえて、最適な換気方式を選ぶことが重要です。
Q2.既存住宅でも第一種換気は導入できますか?
A.可能なケースが多いものの、住宅の構造によります。
既存住宅に第一種換気を導入する際は、以下の点が検討ポイントになります。
| ・天井裏・床下にダクトを通せるスペースがあるか・騒音に配慮できる設置位置が確保できるか・メンテナンスのしやすい配置にできるか・気密性能が極端に低くないか |
ダクトスペースが確保しにくい場合は、第三種換気を改善する方法のほうが適していることもあります。
Q3.熱交換換気は本当に光熱費を減らしますか?
A.断熱性能が高い住宅では効果を得やすくなります。
第一種換気の熱交換機能が働くと、外気を取り込む際に冷暖房の熱が無駄になりにくく、結果として冷暖房負荷を抑えやすくなります。
ただし、効果の大きさは以下に左右されます。
| ・窓や外壁の断熱レベル・外気温との差・住宅の気密性能・機種の熱交換効率(%) |
換気設備だけで光熱費が劇的に減るわけではなく、外皮性能との組み合わせが重要です。
Q4.換気だけを改善してもZEHを達成できますか?
A.換気設備だけではZEHには届きません。
ZEHの要件は以下の2つです。
| ・外皮性能(UA値)の基準を満たす ・一次エネルギー消費量を削減する |
換気設備は空気質や室温の安定に役立つ設備であり、単独でZEH基準を満たすことはできませんが、一次エネルギー消費量の評価には含まれます。
ZEHを目指す場合は「断熱」「設備」「創エネ(太陽光発電)」の3点を含めた総合計画が必要です。
Q5.結露は換気を強化すると改善しますか?
A.改善する可能性があります。
結露の原因のひとつは「室内の湿気が排出されずに滞留すること」です。適切に換気が行われると湿度が下がり、結露の発生を抑えやすくなります。
ただし、以下の条件も大きく関わります。
| ・窓の断熱性能・室内外の温度差・調理・入浴などの生活発湿・外皮性能全体のバランス |
換気改善と併せて、窓断熱や外壁断熱を適切に行うことで根本的な対策につながります。
まとめ

ZEHリフォームでは、断熱・設備・換気をあわせて整えることで、住まいの快適性と一次エネルギー消費量の削減につながります。
換気設備は単体でZEH達成に単独で直結するものではありませんが、外皮性能の向上と組み合わせることで効果を発揮しやすくなります。
| ●換気改善が役立つ場面・室内の湿気・ニオイがこもりやすい ・結露が発生しやすい ・空気の流れが一定でない●既存住宅での注意点・第一種換気はダクトスペースの確認が必要 ・気密性能が低い場合は改善が必要 ・難しい場合は第三種換気の性能向上が有効●補助金との相性換気単体の補助は限られますが、以下の工事と組み合わせると費用を抑えやすくなります。 ・窓断熱(先進的窓リノベ) ・外壁・屋根・床の断熱 ・高効率給湯器・空調(給湯省エネ事業) |
外皮性能を高めるほど、換気設備の効果も安定します。
住まい全体の性能向上を検討される際はぜひファミリー工房へご相談ください。
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>>ZEHリフォームにおける換気システムのメリット、重要性、換気方法については“ZEHリフォーム換気システム導入まとめ前半”をご覧ください。

- 監修者
- 近岡 正平
Manager
【保有資格】
一級建築士
二級建築士
福祉用具専門相談員
監理技術者
既存住宅状況調査技術者
建築物石綿含有建材調査者

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
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