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防音工事の内容は? 目的に合った防音工事の施工方法を解説

「子どもが走り回る足音が、階下へ響いていないか心配だ」

「夜間の幹線道路のトラック走行音が鳴り響き、安眠できない」

「近所の公園で子どもが騒ぐ声が気になり、在宅業務に集中できない」

など、住宅時の音にまつわる悩みやストレスは、決して少なくありません。

住宅の防音性能を上げたいと考えるなか、どんな防音工事が効果的なのか具体的な方法については、あまり知られていません。

そこでこの記事では、防音工事について詳しく解説いたします。

いま抱えている問題の解決に向けて、防音工事の種類や施工方法などをチェックしておきましょう。

防音工事とは?  

在宅時の音の問題は、戸建てが立ち並ぶ閑静な住宅街やマンションなどの集合住宅を中心に、近年ではますますデリケートな問題として捉えられてきています。

快適で居心地のよい居住空間を求めるなかで、外からの音は非常に気になるものです。仕事中や勉強中、また特に深夜や早朝などに聞こえる外部の騒音は、大きなストレスとなることもあるでしょう。

また反対に、子どもやペットが騒ぐ音や、床を鳴らす音は、周囲の人に迷惑を及ぼしてしまうこともあり、自宅に居ながらにして窮屈な思いをしている方もいるかもしれません。

防音工事とは、このような音の問題を解決するための工事です。

近年では、音によるトラブルやストレスを未然に防ぎたいと考える人が増えており、防音工事に注目が集まっています。

防音工事の目的と事例

防音工事の目的は、先述のように音の問題を解決することを目的としていますが、住居にまつわる音の問題は大きく分けて以下の2つに分けられます。

音の発生場所事例
住居の外・車や電車の走行音を防ぎたい
・道行く人のおしゃべりが気になる
・近所の公園や学校からの音が気になる
・近隣住居やマンションの隣、上階からの音が気になる
住居の中・子どもやペットが騒ぐ音の漏れが心配
・足音が階下へ響いていないか心配
・家の中の生活音が気になり、在宅業務に集中できない
・楽器の演奏ができるよう防音室を備えたい
・ホームシアターなどオーディオを大音量で楽しみたい

ひとことで防音工事といっても、住居の外の音への対策なのか、住居の中の音への対策なのか、防音の目的によって対策方法は大きく異なります。

遮音と吸音

音は、空気の振動によって人の耳に伝わる性質がありますが、音の伝わりを防ぐ方法には、「遮音」と「吸音」とがあります。

「遮音」と「吸音」の違いについても、チェックしておきましょう。

<遮音と吸音>

遮音遮音とは、空気の中で音が伝わっていくのを遮ることを言います。空気の中を音が伝わっていくのを壁などによって途中で遮断することで、音の伝わりを防ぐ方法で、比較的簡単に行える防音対策です。
吸音吸音とは、音を吸収することで音の伝わりを防ぐことを言います。室内で発生する音は、音が反響することによって大きく鳴り響きます。音を吸収してしまうことで、音そのものや反響音を防ぐことで、防音対策を行います。

遮音の対策事例として代表的なものは、壁に質量の重い素材を貼って厚みを加えたり、窓を二重サッシや複層ガラスに変えるといったものが挙げられます。

この方法は、室内と室外との間で音の伝わりを遮断させるため、住居の中の音に対しても外の音に対しても有効な対策だと言えます。

一方で、吸音の対策事例としては、音を拡散・吸収させる細かな穴を開けた吸音壁材の設置です。

壁にグラスウール、ロックウール、ウレタンフォームなどを入れることによっても、吸音効果が期待できます。また、「吸音パネル」と呼ばれる後付け可能な吸音壁材を設置する方法もあります。

またそのほかにも、物体の振動が室内に伝わることで発生する音もあります。

物体の振動によって発生する音を防ぐためには、振動が伝わらない工夫が必要となります。

防音工事を行う際の注意点 

問題点、改善したい点を明確にする 

防音工事では、どのような音を防ぎたいのかといった目的によって、対策方法が異なるのが特徴です。

そのため、防音工事を行う際は、まずは防ぎたい音を明確にすることが重要です。

住居の外で発生する音なのか、中で発生する音の場合はどの部屋で発生するのか、また、どこから音が入ってきているのかについても観察しておくことで、必要な場所に対して適切な防音対策を行うことができるようになり、効果的な防音工事が可能となります。

防音工事を行う際は、何が問題かについてはっきりとさせ、それに対してどのような防音工事が有効なのかを、防音工事の実績が豊富なリフォーム業者に相談することが大切です。

マンションの規約を確認する 

マンションへの防音工事の際は、マンションの規約を事前に確認しておくことも大切です。

マンションには専有部分と共用部分とがありますが、区分所有者がリフォーム工事を行うことができるのは、専有部に限られるのが一般的です。

規約は各マンションによっても異なりますが、共用部分へのリフォームを管理組合への相談なく行うことはできないので、注意しましょう。

たとえば、窓部分は共用部にあたるため、窓ガラスの交換については管理組合への許可が必要となります。一方で内窓の設置は専有部分への設置と判断されるケースも多いものです。

また、床材についても、一定の遮音性を確保することを目的に規約で指定のある場合があります。変更をしたい床材について確認を取る必要もありますので、注意しましょう。

防音工事の種類 

防音工事では、防音効果のある材料を用意し、それを床や天井、壁などに施工する方法が中心となりますが、どのような音への対策なのかによって、防音工事の種類は異なります。

たとえば、外からの騒音への対策であれば、建物が外に面している壁や窓などへの対策が必要となります。それぞれのパターンについて詳しくみていきましょう。

外からの騒音を防ぎたい

外からの騒音が気になるのは、どの部屋にいる時でしょうか?

リビングなのか寝室なのか書斎なのか、騒音が気になる部屋への対策から考えていきましょう。

屋外からの騒音の多くは、空気を伝って入ってきます。

車や電車の走行音や近所の騒音を防ぎたい場合は、壁や窓への防音工事が中心となります。

また、気になる音が玄関から聞える場合は玄関ドアへの対策を行ったり、敷地に防音壁を設置する方法もあります。

家の中の生活音が外に漏れるのを防ぎたい

家の中の生活音が外に漏れることで、ご近所トラブルに発展してしまう場合、いかに生活音を外に出さないかが鍵となります。

生活音の漏れ対策としては、壁や窓、ドアのほかに、床への防音工事が有効となります。

特にマンションなど階下に別の住民が住んでいる場合は、振動が伝わらないような対策が必要となります。

生活音が気にならない部屋を確保したい

子どもたちの騒ぐ声やテレビの音などが、在宅業務を行う書斎まで聞えると、仕事に集中しづらいものです。また、夜勤明けなどで寝室で睡眠をとりたい時に、他の部屋からの生活音が気になることもあります。

このような場合は、居室間の壁や室内ドアへの対策が中心となります。

楽器などの大きな音を防ぎたい

ピアノなどの楽器を演奏する場合や、シアタールームのように大音響でオーディオを鳴らしたい場合には、対象となる部屋の壁、窓、床、天井、ドア全体に防音工事を行います。

木造建築の場合は、もともと音が漏れやすいため、しっかりと防音対策を行う必要があるだけでなく、音響効果も考慮する必要があります。

そのため、防音室の設置工事も選択の対象となるでしょう。

防音室の大きさにもよりますが、部屋全体に防音工事を施すよりも、費用を抑えることができます。

楽器によっては防音室では演奏がしづらい場合もありますが、奏でた音の音響も楽しむことができるでしょう。

防音工事の施工方法 

防音工事では、防音効果のある材料の設置が中心となりますが、手を加える場所によって施工方法は異なります。

それぞれの場所の施工方法についても確認しておきましょう。

壁への防音工事

壁への防音工事では、壁の中に防音材と遮音シートを入れる方法で行います。

防音材には、吸音効果のある「吸音材」や音を遮断する「遮音材」のほか、振動を他の部屋へ伝えない「防振材」などがあり、防音の目的にあわせて選びます。

また、石膏ボードを二重にしたり、断熱材を隙間なく詰め込むことでも、防音効果が期待できます。

壁への防音工事は高い効果が期待できますが、壁の中への工事となり、原則マンションでは行うことができません。しかし、「防音パネル」(遮音パネル・吸音パネル)の設置や部屋の中に防音室を作る方法などで対応が可能なので、リフォーム会社へ相談されるとよいでしょう。

窓への防音工事

窓への防音工事は、一般的に以下の3種類になります。

1.内窓を設置する

窓の防音対策として最も手軽に行うことができるのは、内窓の設置です。既存の窓を交換せずに行うことができるので、マンションや防火ガラスの設置が義務付けられている「防火地域」や「準防火地域」でも実現しやすい防音工事です。

内窓を設置することで、既存の窓との間に出来る空気層が、音の伝わりを遮断して防音効果を発揮してくれます。内窓の設置は、防音対策だけでなく部屋の断熱性アップとしても役立ちます。

内窓の設置では、断熱性向上が認められれば補助金を利用できるケースも多く、また、数時間〜半日と短い工期で行うことができるため、手軽なリフォームとしても人気です。

2.防音ガラスに取り換える

既存の窓ガラスを防音機能を備えた防音ガラスに変える方法もあります。防音ガラスとは、複層ガラスとなっており、2枚のガラスの間に防音効果を備えたシートを挟んだものや、特殊なガスが封入されたものなどがあります。

3.窓を撤去する

部屋の窓数が多く、他の窓だけで充分な採光などが取れている場合、窓自体を撤去して壁にする方法もあります。窓を壁にすることで機密性が高まるとともに高い防音効果も期待できるので、壁のリフォームと合わせて行うとよいでしょう。

室内ドアへの防音工事

室内ドアの防音工事では、室内扉を防音ドアにする方法をとるのが一般的です。

防音ドアとは、ドア本体とドア枠との隙間を専用のドアパッキンで埋めることによって、音が漏れないように工夫されているドアです。

防音ドアは、防音仕様のグレードによって、性能にも価格にも大きな幅があるので、求める防音効果をクリアするグレードのものを選ぶようにしましょう。

換気口への防音工事

壁への防音工事を行っても換気口から音が漏れる場合は、壁への工事と合わせて換気口への防音工事も行うことをおすすめします。

換気口への防音工事では、換気ダクトの内部に吸音材を設置したり、建物の外に設置されている換気口にキャップ(防音フード)をかぶせたりします。

そのほか、換気扇を「熱交換型換気扇」に変えることでも、防音対策効果が期待できます。

熱交換型換気扇では、室内の空気の入れ替える際に、外気と室内の空気との温度差を減らしてくれる装置ですが、省エネ効果に付随して防音対策にもなります。

床への防音工事

マンションなどでおこる騒音トラブルでは、床への防音対策が重要です。

床への防音対策は、簡易的なものであればフローリングの上に防音性の高いカーペットを敷く方法があります。この対策によって、物をフローリングに「ガチャン」落とした時に発生するような「軽量床衝撃音」と呼ばれる高い音への対策となります。

いっぽうで、「ドシン、ドシン」といった足音などの「重量衝撃音」への対策は、防音フローリングへの張替えや床材の下に遮音マットなど防音効果を備えたグラスウールやロックウールなどの素材を敷く方法が効果的です。下地にゴム製の遮音シートなどを入れることで、床で発生する音の振動の伝わりを防いでくれるため、高い防音効果が期待できます。

天井への防音工事

天井への防音工事では、グラスウールのような吸音素材を充填したり、吸音素材としても知られる石膏ボードの貼り付けなどで対策します。

音の振動を抑えて防音効果が期待できます。

屋外へ防音壁・防音フェンスの設置

建物への防音工事ではなく、敷地の境界線に防音壁や防音フェンスを設置することで、前面道路からの騒音などを防ぐ方法もあります。

コンクリート造の壁を設置するほか、防音フェンスの設置によって騒音を低減しながら、プライバシー保護としても役立てることができます。

防音工事への補助金制度

防音工事では、立地条件によって補助金の適用となる場合があるので、そちらについても確認しておきましょう。

防音工事で補助金の対象となるケースは、次のケースとなります。

  • 空港周辺の住宅

空港周辺の「第1種区域」として指定された区域内の住宅の防音工事を行った場合は、補助金支給の対象になることがあります。「第1種区域」とは、国が航空機による騒音が著しい区域として指定した地域で、区域を指定した日以前から立っている住宅が対象となります。

防音工事のほか、防音工事から一定期間を経過したエアコンや換気装置の交換工事も対象となり、工事費用の一部、または全部が支給されます。

  • 幹線道路沿道の住宅

幹線道路沿道の住宅においても防音工事の補助金が支給される場合があります。幹線道路とは、交通量が多く深夜も大型トラックや長距離バスなどが通行するような地域を繋ぐ骨格的な道路網を形成する道路を指し、高速道路も含まれます。

東京都では、対象エリアは「沿道整備道路として指定された道路の沿道」、「防音構造に関する条例が特別区により定められた区域内」で、対象となるのは条例の施行日以前から立っている住宅で、新築は対象外となっています。

東京都による審査を経て、工事費用の3/4を限度額とする助成金の支給が行われます。

  • 自衛隊、在日米軍基地の近くの住宅

自衛隊や在日米軍基地の近くの住宅についても、防音工事費の助成対象となることがあります。

細かな条件はそれぞれ異なりますので、自治体へご確認下さい。

まとめ

防音工事では、おもに壁や窓、床などへの対策によって防音対策を行いますが、問題となっている音の種類や場所によっても、対策方法は異なります。

また、戸建てとマンションとで防音工事の内容も異なり、マンションでは構造や管理規約によって工事内容に制限があるケースもあります。

そのため、防音工事を効果的に行う際には、防音リフォームに知見のある業者を選ぶことが、とても大切だと言えます。

ご自身が抱える音の問題の解決には、どのような対策が適切なのか、まずは相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。