屋根のお手入れどうしてる?屋根塗装と補修の基本知識を解説

普段の生活では、あまり気にすることがない屋根のこと。どのような症状が起きたら塗り替えや補修が必要になるのか知っていますか?不具合の兆候をご自身で察知できるようになれば安心して暮らせます。悪徳業者に騙されないためにも必見です。

お家の屋根について、日常生活では特に気にすることも、実際に目にすることも、ほとんどないでしょう。そのため、大きなトラブルがなければ、屋根のお手入れやメンテンナンスについて考えることは少ないかもしれません。

とはいえ、「近隣で屋根の塗装工事をしている家がある」、「知り合いが工事をした」、などの話を聞けば、自分の家はどうなっているのか気になるものです。

屋根が劣化すれば、安心して暮らすことはできません。屋根の塗装や補修について、しっかりメンテナンスができるよう、正しい知識を身に着けましょう。


目次
  • 屋根の塗装と補修。種類で異なる対応方法
  • 塗装以外にかかる屋根の補修と費用の相場
  • 屋根補修のサインを見落とさないために
  • 最後に…

屋根の塗装と補修。種類で異なる対応方法

お家の屋根は、約10年を目安に、塗装の塗り替え工事が必要と言われています。屋根が傷んでくると、住宅の見た目が悪くなるだけでなく、雨水の侵入による雨漏りなどのトラブルを引き起こし、建物全体に大きなダメージを与えてしまいます。

しかし、すべての屋根に塗装工事が必要なわけではありません。屋根のメンテナンス方法は2つの種類に分けることができます。

  • 塗装が必要な屋根
  • 塗装以外の補修が必要な屋根

ご自宅の屋根の種類を確認し、どのようなメンテナンスが必要になるのか確認していきましょう。

大きく3つに分けられる屋根材の種類

屋根材の種類は、大きく分けると下記の表のように3つに分類されます。

瓦屋根 一番厚みや重さがある屋根材で、昔ながらの日本家屋にも使われています。瓦の種類や素材は多様にあり、それぞれの補修方法が違うため、メンテナンスは塗装業者の専門的な知識や経験が必要になります。
スレート屋根 現代の住宅に多い洋風家屋に使わることが多い屋根材です。コロニアルやカラーベストとも呼ばれ、薄いセメントで出来ている板を敷き詰めていく作業です。施工しやすい特徴があります。
金属屋根 軽くて施工しやすく、3種類の屋根の中でも一番薄く仕上がり、オシャレな外観の印象を持たせることができます。しかし、雨音が響きやすく、金属サビが発生するため、定期的なメンテナンスが必要です。

なかでも、瓦屋根と金属屋根は、さらに細かく分類されています。

瓦屋根の分類

瓦屋根は、瓦の素材、焼き方、仕上げ方で特性が異なります。

粘土瓦
(日本瓦・和瓦)
粘土でできた瓦。表面に釉薬(ゆうやく)と呼ばれる薬を塗ってツルツルに仕上げた「陶器瓦(釉薬瓦)」や、何も薬が塗られていない「素焼き瓦」、瓦を焼いた後にいぶして炭素を付着させる「いぶし瓦」などがあります。
セメント瓦 セメント製の瓦。圧形スレートとも呼ばれています。防水性がないため、塗装をして保護する必要があります。
モニエル瓦 セメント瓦の一種。表面のセメントを着色して色を出す技法で、着色されたセメントの層はスラリー層と呼びます。セメント瓦とモニエル瓦は、見た目がとても似ていますが塗装方法が違うので注意が必要です。

金属屋根の分類

金属屋根は大きく2種類に分けられます。

トタン屋根 昔ながらの金属屋根で、波状の屋根材や平たい屋根材など形状は様々です。軽くて丈夫ですがサビに弱いので、サビを放置すると穴が空く可能性もあります。
ガルバリウム鋼板 近年人気がある、ガルバリウム鋼板の屋根材。トタンに比べてサビに強い性質があり、デザイン性も高いです。屋根工事の一種「カバー工法」にも使われることが多いです。

塗装が必要な屋根材と不要な屋根材

屋根材の種類によって、塗装工事の要・不要があります。

塗装が必要な屋根材 塗装が不要な屋根材
・セメント瓦・モニエル瓦
・スレート屋根
・金属屋根
・粘土瓦(日本瓦・和瓦)

粘土瓦は、塗装が不要な素材ですが、メンテナンスが不要なわけではありません。定期的な補修が必要になります。

粘土瓦(日本瓦・和瓦)の補修について

粘土瓦に塗装は不要で、瓦そのものは30年以上の耐久性がありますが、屋根を長く持たせるためには定期的な補修が必要になります。

瓦を屋根に固定するために、石灰の成分を含む粘土状の材料「漆喰(しっくい)」を使うからです。瓦と瓦の隙間を埋めるように漆喰を詰めて瓦を固定させる作業を行いますが、10年ほど経過すると漆喰にヒビ割れや崩れが発生することがあります。雨漏りや瓦の落下などトラブルの原因になる可能性もあるので注意が必要です。

粘土瓦に塗装はできないの?

以前は「粘土瓦に塗装はできない」と言われてきましたが、粘土瓦に使用できる塗料の開発が進み、一般に販売されるようになりました。粘土瓦の汚れなど、見た目が気になることがあれば塗装業者に相談してみると良いでしょう。

粘土瓦に使える塗料の例

  • 新いぶしコート(オリエンタル塗料工業株式会社)
  • ハイルーフ マイルドいぶし(大同塗料株式会社)

塗装以外にかかる屋根の補修と費用の相場

屋根の塗り替え工事の費用相場は、約30坪の戸建て住宅で40~80万円が目安と言われています。(※足場代やその他の工程代も含んだ工事全体の金額です)

ただし、塗装ではカバーできないほど屋根の劣化が進んでいる場合は、他の方法で補修を行う必要があります。補修方法別に説明していきます。

葺き替え(ふきかえ)工事

葺き替え工事の費用相場(約30坪):約60~200万円

屋根の葺き替え工事とは、古い屋根材を撤去して、新しいものに交換する工事です。撤去した古い屋根材の処分代などの費用も発生し、高額の負担になりますが、新しい屋根材に全交換するため、次回のメンテナンスまでの耐久期間を延ばし屋根が長持ちします。

古い屋根材を撤去したときに、屋根材の下に敷かれている防水シートや野地板(のじいた)という下地に劣化が見られれば、葺き替え工事と併せて交換することもできるので、屋根の土台も含めた補修工事に対応できます。

重ね葺き工事(カバー工法)

重ね葺き工事(カバー工法)の費用相場(約30坪):約80~120万円

屋根の重ね葺き工事とは、今の屋根材の上から新しい屋根材を被せるように取り付ける工事で、カバー方法とも呼ばれます。カバー工法には、ガルバリウム鋼板という金属屋根を使うことが多いです。薄くて軽い素材なため、家全体にかかる負荷を抑えることができます。

古い屋根材の撤去費用がかからないため、コストを抑えることが可能で、工事も短期間で終わります。ただし、下地に劣化があればカバー工法は使えません。屋根のメンテナンスを10年以上していないのであればカバー工法では対応できず、葺き替え工事が必要になる可能性もあります。

突発的なトラブルに対応する部分的な補修

まだ築10年未満でメンテナンス時期がきていなくても、台風や暴風雨など突発的なトラブルによって屋根が傷つくことがあります。

その場合、以下のような部分補修で対応します。

部分補修 約30坪の費用相場 内容
板金の交換 約3万~10万円 板金は、屋根の山・谷部分に取り付けられている金属の板で、屋根材のつなぎ目の役割をしています。板金は釘で固定されていることが多く、強風などで釘が浮くと板金がズレてしまい、雨水が侵入し雨漏りの原因になります。
漆喰の補修 約3万~10万円 瓦屋根は、瓦そのものが劣化していなければ、漆喰部分のみの補修でメンテナンスが完了します。漆喰は、雨風の影響で崩れてしまうことがあるため定期的な補修対応が必要です。
屋根材の
差し替え
約1万~5万円 屋根材の一部破損した場合、屋根全体のメンテナンスが不要であれば、破損部分だけ新しい屋根材に差し替えて補修することもできます。
雨漏り補修 約5万~30万円 雨漏りの修理は、部分的な修理で済むか、屋根全体の補修が必要か、判断が難しい工事です。雨水の侵入口を見つけ出し、適切な処置が必要になるので、優良な業者に診断を依頼することをオススメします。

屋根補修方法の費用比較

屋根の補修は、それぞれの方法でかかる費用が異なります。

屋根の補修方法 費用相場
塗装工事 約40~80万円
葺き替え工事 約60~200万円
重ね葺き工事(カバー工法) 約80~120万円

それぞれの補修方法を比較すると、塗装工事が一番安く抑えられる補修方法であることがわかります。ただし、塗装工事だけで補修対応を可能にするには、定期的な塗り替えを行って、継続的にメンテナンスすることが大前提です。

手入れをせずに放置していると、葺き替え工事や重ね葺き工事が必要とされる症状を引き起こしてしまい、高額な補修費用を負担することになってしまいます。

築10年が過ぎたら積極的に点検を依頼し、必要な補修をこまめに行うよう計画しましょう。

屋根塗装は外壁塗装と一緒がお得

屋根の補修工事では、家の周りに足場を設置します。職人さんが、安全かつ効率的に作業を進めるために足場の設置は必要不可欠ですが、足場代だけでも10~20万円ほどの費用がかかるのです。

足場の設置は、外壁塗装のメンテナンスでも必要になります。そのため、外壁塗装と屋根塗装を同時に行えば、1回の足場設置でどちらの工事にも対応することができることになり、トータルのメンテナンスコストを削減することが可能になります。

屋根補修のサインを見落とさないために

屋根材の表面に表れてくる様々な症状をチェックすることで、屋根の塗り替えや補修時期をご自身で判断することが可能になります。

しかし、屋根に上がって状態を確認することは、事故の原因にもなり、とても危険です。実物の確認は、塗装業者に依頼することをオススメします。

業者に調査をお願いするのであれば、屋根の状態を写真に撮ってきてもらうことを依頼すると良いでしょう。丁寧な業者であれば、見積りと併せて写真と現状の解説をまとめた調査報告書を作成してくれるところもあります。実際の状態を自分の目で見て確認する手段をあらかじめ相談しておきましょう。

しかし、なかには悪質な業者もいます。騙されないためにも、屋根にどのようなサインが表れたらメンテナンスが必要なのか、しっかりと知識を身に着けておきましょう。

【1】色あせ・チョーキング

劣化内容 屋根の劣化が始まった初期段階の状態

「塗装の艶がなくなった」

「新築の頃と比べると色が薄くなってきた」

「塗装面が白っぽくなってきた」

「表面を触ると白い粉がつく」

…という症状は、屋根の劣化の初期段階に起こります。

白い粉が手につく現象は、「チョーキング現象」といい、紫外線によって塗料に含まれる顔料が表面に浮き出ている状態で、劣化が始まっていることがわかります。

【2】コケ・カビ

劣化内容 コケやカビを防ぐ効果がある塗料の機能が失われてきた状態

コケやカビは、強い繁殖力を持ち、胞子を飛ばして屋根全体に点々と広がっていきます。艶が失われた塗装に定着しやすく、屋根の見た目を損ない、清潔感も失われます。塗料の持つ防水や防熱などの機能が失われていることが多いので早めの塗り替え工事が必要です。

【3】屋根のヒビ割れ・ズレ

劣化内容 屋根材に、ヒビ割れ・ズレが起きている状態。

屋根材が破損して、ヒビ割れやズレを起こしていると、雨水が侵入してきて雨漏りの原因になる可能性が高まります。特に、ストレート屋根はヒビ割れしやすいので注意が必要です。症状が表れたら、早めに補修を依頼しましょう。

【4】塗装の剥がれ

劣化内容 屋根塗装が剥がれ落ち、塗料の効果が無くなっている状態

屋根の塗装が剥がれてしまうと、屋根材の保護膜がなくなり、雨水を吸収しやすい状態になってしまいます。また、剥がれた塗料が近隣の敷地に落ちて迷惑をかけてしまった、などのトラブルも起きやすいので早めに塗り替えが必要です。

【5】破損

劣化内容 屋根材の劣化が酷く、塗装では対応できない状態。 葺き替えや重ね葺きなどの対応が必要。

屋根材が破損し、葺き替えや重ね葺きの補修が必要な状態です。屋根材の下に敷かれている防水シートがむき出しになり、雨風がしのげなくなって建物へのダメージが甚大になります。また、破損した屋根材が落下するなど大きな事故が起こり、ご近所やご家族にケガを負わせてしまうことも。屋根の破損が見られたら、天候が悪化する前に早めの対応が必要です。

最後に

屋根は、普段から目にすることも、気にかけることも少ない部分かと思います。しかしながら、定期的なメンテンナンスを怠ると、大切なお家に住み続けることができなくなります。どんな小さなことでも、気がかりなことがあれば、お気軽にご相談ください。