コンクリート外壁の塗装あれこれ。補修の時期や方法、相場

おしゃれな外観や丈夫さで人気のコンクリート壁。種類や製造工程によって、その塗装や補修方法は変わってきます。納得してお家の外壁塗装を行うための、基本的な情報を知っておきましょう。

センスの高さと高級感が漂うコンクリートの壁は、我が家の中でもお気に入りの部分、という方も多いのではないでしょうか。

「コンクリートは頑丈」というイメージもあり、補修は不要と思いがちですが、コンクリート壁も、適切な時期にメンテナンスが必要です。

コンクリート造り本来の丈夫さと質感を保ち、安心して暮らしていただくために、コンクリート外壁の塗装に関する情報をご紹介していきます。

目次
  • コンクリート壁の塗装、相場は
  • コンクリート壁にも種類がある
  • コンクリート壁はこう作られている
  • 長所・短所があるコンクリート壁
  • コンクリート壁の劣化あれこれ
  • コンクリート壁の大敵! ひび割れとサビ
  • ひび割れとサビを防ぐには
  • DIYはオススメしません
  • このページを見てくれた方へ

◆コンクリート壁の塗装、相場は

ご自宅の壁がコンクリートだった場合、塗装のための工事費用はいくらぐらいかかるでしょうか。

塗料や壁の種類によって費用は変わります。

単価相場を表にまとめてみました。

コンクリート壁の種類 塗料の単価相場
打ちっぱなし 撥水剤 (はっすいざい) カラークリヤー 打ちっぱなし再現
打ちっぱなし 約1,500円/㎡ 約3,000円/㎡ 約5,000円/㎡
塗装仕上げ 約2,500~3,500円/㎡
タイル張り 約1,500~2,200円/㎡

打ちっぱなしの場合は、塗料の種類や工法が少し増えます。

撥水剤 【撥水剤とは】 水を弾く効果を持つ透明な液体のこと。打ちっぱなしコンクリート壁が持つ質感を保ち、撥水・防カビ効果で雨水による劣化を抑える。ただし、透明なので、ひび割れ箇所に補修を施した場合、その補修跡を隠すことができない。補修箇所が少ない場合に使うことが多い。
カラークリヤー 少しだけ色の付いた透明な塗料。打ちっぱなしコンクリート壁の表面を美しく仕上げることができる。ただし、撥水剤と同じように、補修の跡が見えやすい。
打ちっぱなし再現 補修跡が多くある場合に用いる工法。補修後に、まず専用の塗料で補修跡を隠す。その上に、コンクリートのような模様を付ける。補修を行った上で、打ちっぱなしコンクリートの質感を再現することができる。

続いて、建坪50坪の2階建てアパートを例に、コンクリート壁塗装の相場を見てみましょう。コンクリート壁は大きな建物によく使われる場合が多いので、通常の家屋より建坪を広めにしてシミュレーションしています。

◎建坪50坪2階建てアパートの場合

コンクリート壁の種類 建坪50坪2階建てアパートの外壁塗装の相場
打ちっぱなし 撥水剤 (はっすいざい) カラークリヤー 打ちっぱなし再現
打ちっぱなし 約240万円 約300万円 約380万円
塗装仕上げ 約280~320万円
タイル張り 約240~270万円

表の価格には、次の金額も含まれます。

  • 職人が安全に作業するための足場代
  • 外観の汚れを落とす高圧洗浄代
  • ひび割れ補修などの下地処理代
  • ベランダ・バルコニーなどの防水工事代

以上が、コンクリート壁の塗装における、おおよその費用となります。

塗装工事を検討する際に、参考にしてください。

◎コンクリート壁、築何年を目安に補修・塗装する?

コンクリート壁の補修や塗装を考える目安は、約10年です。

しかし、注意する点があります。コンクリート壁は、年数に関わらずひび割れなどの劣化が起こりやすい特徴があることです。

ひび割れを放置すると、雨水が内部の鉄筋まで侵入してしまう恐れがあります。そうなると、サビが発生し、外壁は危険な状態に。

小さな補修や塗装を行うことで、大きな劣化を防ぐことができます。10年はあくまでも目安と考え、専門業者に定期点検を依頼するとよいでしょう。

◆コンクリート壁にも種類がある

コンクリート壁の表面仕上げによって、種類が分かれます。ご自宅の壁がどれに当たるか、見てみてください。

◎打ちっぱなし

「コンクリート壁」をいう響きからイメージするのは、この「打ちっぱなし」ではないでしょうか。

クールさと高級感を兼ね備えた「打ちっぱなし」タイプは、文字通り、コンクリートの壁の表面をペンキなどで塗らない、そのままの状態です。

ただし、最近は、仕上げに撥水剤を塗って補強する工法も増えています。

コンクリートは、雨に塗れると水分を吸収して、劣化や変色が起こります。表面に撥水剤を塗っておくと、雨水がしみ込みにくくなり、汚れや変色を抑えることが可能です。

◎塗装仕上げ

壁の表面に、ペンキを塗るなど、さまざまな仕上げを施したコンクリート壁です。

住宅の外壁で一般的な「モルタル外壁」は、「吹き付け仕上げ」という工法で作られることが多く、表面に凹凸模様があります。

この「モルタル外壁」に近い外観を、コンクリート壁を塗装して作ることができます。壁の表面にモルタルを塗り、吹き付けや色の付いたペンキで仕上げます。

このような塗装仕上げは、コンクリートの無機質な感じを出したくない場合などに向いています。

◎タイル張り

コンクリートの上にモルタルを塗って、タイルを張り付けていく工法です。

タイルは色やデザインが豊富なので、大きさや質感などによって好みの雰囲気を出すことができます。

釉薬(ゆうやく)をかけて焼き上げられたツヤのあるもの、光沢が少なめのものなど、いろいろありますが、一般的には、磁器タイルと呼ばれるタイルを使うことが多くなってきています。

コンクリートを覆うため、外からはコンクリート壁とは見えず、タイルの外壁、という外観です。

◎我が家の外壁がコンクリートかどうかわからない?

「打ちっぱなし」コンクリート以外の、モルタル仕上げなどの場合、ご自宅の外壁がコンクリートかどうかを見分けるのは、難しいかもしれません。

プロでも、見た目だけでは判断できないことも。専門業者に調査してもらうとよいでしょう。

◆コンクリート壁はこう作られている

コンクリート壁は、どのように作られるのでしょうか。

工法の全体像を知っておくと、コンクリート壁の劣化がどのように起こるのか、理解しやすくなります。

◎コンクリートとはどのようなものか

水・セメント・砂・砂利を混ぜ合わせたものが、化学反応によって硬く固まると、コンクリートになります。

外壁には、強度を保つために鉄筋を入れています。そのため正式名称は「鉄筋コンクリート」で、「RC」(Reinforced[強化]Concrete[コンクリート])とも呼ばれます。「RC造」は、鉄筋コンクリートで造られている建物の呼び名です。

●モルタル・ALCとコンクリートの違い

住宅によく使用される外壁材に、モルタル外壁とALC外壁があります。コンクリートと間違われることもあります。

3つの外壁の違いを表にまとめました。

コンクリート モルタル ALC
成分 水+セメント+砂+砂利 水+セメント+砂 水+珪石+セメント+生石灰+発泡剤
製造場所 現場 現場 工場
現場に運ばれる時の状態 パネル (※工場では泥)
鉄筋の有無 鉄筋が入る 鉄筋は入らない (※金網が入る) 鉄筋が入る

コンクリートとモルタルは成分や工法が似ています。しかし、コンクリート壁には鉄筋が入るため、モルタル外壁よりも頑丈になります。

ALCは、工場で生成したパネルを現場で張り付けていく工法となるため、施工が簡単で期間も短くすみます。また、ALCもモルタル外壁も、吹き付けで模様付けをして仕上げることが多いのが特徴です。

一方コンクリート壁は、現場で泥の状態から壁を作るため、ALCよりも手間がかかり、期間も必要です。

吹き付け仕上げをしない、打ちっぱなし工法が可能なのは、コンクリート壁ならではの持ち味と言えます。

◎コンクリート壁はこうして作られる

【STEP1】型枠を設置する

コンクリート壁を作る場所に、型枠を設置してコンクリートを流し込み、固めていきます。

型枠で外壁の幅が決まるため、コンクリート壁を作る最初の段階として重要です。

【STEP2】セパレーターとPコンを取り付ける

型枠の内部に、セパレーターと呼ばれる金属製の棒を設置し、セパレーターの両端には、Pコンというプリン型の部品を取り付けます。

セパレーターはそのままコンクリートの中に残り、Pコンは完成後に撤去します。

打ちっぱなしコンクリートの表面に見える丸い跡は、Pコンの撤去跡です。

【STEP3】コンクリートを流し込む(打設)

コンクリートを型枠に流し込む作業を、「打設(だせつ)」「打ち込む」と言います。

流し込む際には、気泡ができないように空気を抜きます。STEP3・4は同時に行うことが多いです。

【STEP4】空気を抜いて密度を高める

「バイブレータ―」という機械を使い、コンクリートを振動させて中の空気を抜いていきます。

また、型枠の外側からハンマーで叩き、空気を抜いて気泡が残らないようにします。

【STEP5】表面を叩いてならす

「タンパー」や「トンボ」と呼ばれる板を使って、コンクリートの表面を上から付いたり、平らにならしたりしていきます。

これは「タンピング」と言い、STEP4と同じように、空気や水分を抜くための作業です。

【STEP6】型枠を外す

コンクリートが固まったら、型枠を外します。

打設をしてからおよそ28日で、コンクリート本来の強度になります。コンクリートは、水分とセメントの化学反応(水和反応)によって固まります。型枠を外すのが早すぎると、必要な水分が先に乾燥してしまい、適正な強度になりません。

【STEP7】Pコン跡にモルタルを詰める

STEP2で取り付けたPコンが、コンクリート表面に残っているので、専用の工具を使って取り外します。

Pコンが外れた穴をモルタルで埋めて、固まったらコンクリート壁の完成です。

◆長所・短所があるコンクリート壁

丈夫なイメージがあるコンクリートですが、本来、圧縮には強い反面、引っ張りに弱いという短所があります。圧縮や引っ張りはコンクリートのひび割れにつながるので、鉄筋を入れて、引っ張られる力に負けないよう補強します。

外壁は通常、鉄筋入りとなっており、コンクリートの弱点をしっかり補って丈夫に作られていますが、それでも、メリットだけでなくデメリットがあります。

メリット

●遮音性・防音性

コンクリート壁の建物は、外からの音を遮り、内部の音は漏れにくいという特徴があります。

住宅地などで、隣接した家同士の音が聞こえにくいことから、プライバシーを守り、快適な生活を送ることができます。

耐火性

コンクリートは火に強いため、万が一火事が起きた時でも、燃え広がるスピードが遅くてすみます。そのため、コンクリート造りの住宅の場合、木造に比べると火災保険料が安くなります。

●ひと味違うハイセンスな外観

表面の仕上げにもよりますが、打ちっぱなしのコンクリート壁は、デザイン性と高級感あふれる印象で、ワンランク上の存在感を醸し出すことができます。

ただし、手入れをしないと、黒く変色したりサビが出てきたりするので、定期的なメンテナンスをこころがけましょう。

◎デメリット

●ひび割れ

コンクリート壁には、ひび割れがつきものですが、メンテナンスで対応可能です。

次の「コンクリート壁の劣化あれこれ」で詳しく見ていきます。

●吸水による劣化

打ちっぱなしのコンクリート壁は水分を吸収しやすいため、雨水によってカビやシミができてしまいがちです。表面を塗装することで水分の吸収を抑え、カビや汚れを防ぐことができます。

透明な塗料もあるので、質感を残したい打ちっぱなしのコンクリート壁にもおすすめです。

●熱伝導の高さ

コンクリートは、熱を伝えやすいという性質があります。そのため、コンクリート壁を用いた住宅の場合は、夏は暑く、冬は寒くなりやすいのが難点です。

断熱材による効果は期待できるのですが、コンクリート壁の内側に断熱材を入れると、今度は結露しやすいという欠点も出てきます。

そこで、壁を断熱材で覆う「外断熱」や、打ちっぱなしの質感を塗装で表現する工法などが発達してきました。おしゃれに、しかも快適に住まうことができる技術が、進化しています。

◆コンクリート壁の劣化あれこれ

コンクリート壁には、コンクリートの性質を原因とする特徴的な劣化があります。先に見た3つの種類、「打ちっぱなし」「塗装仕上げ」「タイル張り」のどれにも、起こる現象です。

中でも、「塗装仕上げ」や「タイル張り」は、表面がきれいでも、内部で劣化が進行している場合もあるので、気を付けましょう。

ご自宅の壁に、同じような症状がないか、チェックしてみてください。

◎劣化現象1:汚れ・変色

●打ちっぱなしコンクリート壁の場合

打ちっぱなしコンクリート壁はむき出しの状態なので、劣化は目視でわかることが多いです。

見た目の色によって汚れの原因は異なります。

緑色の汚れ

壁が緑に変色しているのは、コケや藻の付着が原因です。

コンクリートは吸水性が高いため、雨だけでなく空気中の湿気も取り込みやすく、コケや藻が付きやすい環境です。

水分があり、適度に日が照ったり陰ったりする場所では、旺盛に繁殖していきます。

定期的にメンテナンスを行い、きれいな状態を維持しましょう。

・黒色の汚れ

黒い汚れの原因は、次の2つが考えられます。

カビ 雨水や高い湿度によって、コンクリートに水分が溜まり、湿気を好むカビが繁殖する。
雨だれ 排気ガスなどの、空気中の汚れを取り込んだ雨水が、コンクリートに浸透して、汚れとして残ってしまう。

外壁の汚れは住宅の美観を損ないます。掃除や軽い補修など定期的なメンテナンスで、新築時の外観を維持していきましょう。

・白色の汚れ

打ちっぱなしのコンクリート壁に、真っ白なカビか粉のようなものが染み出るように広がっているのを見たことはないでしょうか。これは、「dです。

「エフロレッセンス」は、コンクリート内のカルシウム成分が表面に流れ出ることで起こります。

一次エフロレッセンス コンクリートの内部に残っていた水とともに、カルシウム成分が表面へ流れ出る。水は蒸発し、カルシウム成分が跡となって白く残る。
二次エフロレッセンス 雨水など外からの水分が、ひび割れやコンクリートの表面をつたって侵入し、コンクリート内のカルシウム成分が水分とともに表面へ移動して、白く現れる。

エフロレッセンスが起こっているというだけで、壁の強度にすぐさま影響を及ぼすわけではありません。しかし、二次エフロレッセンスのように、雨水やひび割れが関係している場合は、内部の鉄筋にサビが発生して強度低下を起こしている恐れもあります。

白く流れるような汚れの中に、茶色の汚れが混じっているのが見えたら、内部のサビが流れ出た証拠です。

白い汚れは、専用の液体で拭き取ることができます。サビが出ている場合は、専門業者に調査してもらいましょう。

●塗装仕上げコンクリート壁の場合

塗装仕上げを施したコンクリート壁は、壁を保護する塗装部分が汚れていきます。

表面にペンキを塗る仕上げや、表面に凹凸を付ける吹き付け仕上げなどがあり、汚れの付き方はさまざまです。

カビ・コケ 本来、塗料には、カビやコケを防ぐ効果があるが、経年劣化で当初の機能が弱まり、カビやコケがつきやすくなる。
雨だれ 空気中に含まれる汚れが、雨水とともに壁の塗装表面に付着し、そのまま残ってしまう現象。塗料の機能が弱まると、雨の跡が黒く残るようになる。
チリ・ホコリ チリやホコリは、少しずつコンクリート壁に付着していく。長年の間に蓄積され、外壁全体がくすんで見えるようになる。

●タイル張りコンクリート壁の場合

打ちっぱなしや塗装仕上げと同様に、コケが生えて緑色に変色したり、チリやホコリ・雨だれによって汚れが付いたりしてしまうことがあります。

白やベージュなど明るい色のタイルの場合、黒ずみが目立ちやすい可能性もあります。

また、茶色や紺など、一見汚れが目立ちにくそうな色のタイルでも、洗浄してみると実はかなり汚れていた、ということもあります。

汚れは長い年月をかけて付着するものなので、すんでいると意外に気づきにくいもの。

清掃やメンテナンスをすると、ご自宅の外壁が新築時の美観を取り戻し、見違えるようになって驚く方もいらっしゃいます。

・タイル張りのエフロレッセンス

先ほど紹介した「エフロレッセンス」という現象は、タイル張りの壁にも生じます。

タイルが貼られている内部のコンクリートから、水分と一緒にカルシウム成分が表面へ流れ出てくるのは、同じ仕組みです。白いカルシウムの跡が、タイルの目地(めじ=継ぎ目)から出てくることもあります。

汚れが付着しにくく、エフロレッセンスも起きにくいのは、食器や一部の屋根瓦などに使用される「釉薬(ゆうやく)」をかけたタイルです。

しかし、釉薬が塗られているタイルでも、エフロレッセンスは起きます。目地のひび割れ補修などをこまめに行いましょう。

◎劣化現象2:ひび割れ

コンクリート壁につきものの、ひび割れ。

細かいものは、すぐに大きな問題になることは少ないですが、美観は損なわれます。

一方、太く深いひび割れが起こっている場合は、中の鉄筋にまで到達している恐れがあります。そこから雨水が侵入すると、鉄筋のサビにつながり、壁の強度を低下させてしまいます。

コンクリート壁に起きるひび割れについて紹介します。

●乾燥ひび割れ

「乾燥ひび割れ」は、コンクリートの中に含まれる水分が失われていくことによって起きます。

コンクリートは、セメントと水が化学反応を起こすことによって固まります。その際必要な、固まるための水だけではなく、練り合わせたり、流し込んだりするための作業用の水も分量に含まれています。

固まるにつれて、作業用の水分は蒸発します。この時、コンクリート自体が縮まることによって、ひび割れが生じます。

●沈下ひび割れ

「沈下ひび割れ」は、コンクリートが固まる過程で起きるものです。

セメントと水が化学反応を起こして固まろうとする時、セメントは下へ沈み、化学反応に必要のない水(作業用の水)は、上へと分離していきます。

砂や砂利、鉄筋に阻まれて、上に移動できない水分は下に溜まり、ひび割れが起きます。

コンクリート生成の際、水分量を調節して空気をしっかり抜くことで、沈下ひび割れを防ぐことができます。

●中性化

「中性化」とは、コンクリートが中性に変わることで起きるひび割れです。

コンクリートはもともとアルカリ性ですが、長く空気に接し、二酸化炭素に触れることで中性へと傾いていきます。

二酸化炭素に触れた面積が広がり、奥の鉄筋まで届くと、アルカリの性質によって形成されていた鉄の保護膜が壊れ、鉄筋がさびていきます。

さびた鉄筋は膨張してコンクリートの内部を押し割り、鉄筋のサビと内部破壊で、コンクリートの耐久性は失われていくのです。

●アルカリ骨材反応

「アルカリ骨材反応」の「骨材」とは、コンクリートの材料となる砂や砂利のことです。

この「骨材」には、コンクリートの成分と特殊な化学反応を起こすものがあります。

この反応によって骨材が膨張し、コンクリートの内部が押されて、ひび割れが生じます。

亀の甲羅の模様に似たひび割れが特徴です。

●凍害(とうがい)

「凍害」とは、激しい気温差によって発生するひび割れです。寒冷地域で起きやすい現象です。

コンクリートに含まれる水分が、温度差によって凍ったり溶けたりを繰り返し、膨張によってコンクリートが割れてしまうのです。

アルカリ骨材反応と同じく、亀の甲羅のようなひび割れが特徴です。

●塗装やタイルのひび割れ

ご紹介してきたように、コンクリート壁では、打ちっぱなしに限らず、塗装仕上げやタイル張りの壁であっても、ひび割れは起こるということがおわかりいただけたと思います。

塗装やタイルの表面のひび割れだと思って安心していると、割れ目から雨水が侵入して、内部のコンクリートにひび割れが生じたり、サビが出たりするかもしれません。

塗装やタイルの仕上げであっても、表面にひび割れなどを見つけたら、早めに専門業者の点検を依頼しましょう。

◎劣化現象3:サビ

コンクリート外壁の強度を保つには、内部の鉄筋を劣化させないことが一番です。

しかし、鉄筋にはサビが大敵。雨水や空気など、さまざまな要因から、サビが発生します。

塩害(えんがい)

「塩害」は、海水の塩分を含んだ空気が住宅に付着することによって、金属部分がさびたり、塩分の結晶がこびり付いたりする被害です。海沿いの建物に起きやすい現象です。

コンクリート壁の場合は、表面から浸透した海水の塩分が鉄筋まで届くと、サビを防ぐ保護膜が壊れてしまい、サビが発生しやすくなります。

●中性化

ひび割れのところで紹介したように、空気中の二酸化炭素がコンクリートの内部へ浸透して、アルカリ性のコンクリートが中性に変わる現象です。中性化が進むと、鉄筋にサビが発生してしまいます。

◆コンクリート壁の大敵! ひび割れとサビ

コンクリート外壁に起きる劣化についてご紹介してきましたが、結論は、コンクリート壁の住宅で安心して暮らすポイントは、「ひび割れとサビを防ぐ」ことです。

ひび割れを防ぐことは、サビを防ぐことと表裏一体と考えてください。

コンクリートと鉄筋は最強のコンビ

コンクリート壁の強度を支える構造は、次の2つに分けることができます。

コンクリート セメント+水+砂+砂利
鉄筋 強度を高めるためにコンクリート中に埋め込む

コンクリートは、外側から押す力には強く、引っ張られる力には弱いという性質があります。

その弱さを補うために、鉄筋が埋め込まれます。

その鉄筋はサビやすいという弱点を持っていますが、コンクリート本体はアルカリ性で、この性質が、鉄筋をサビから守っています。

つまり、コンクリートと鉄筋は、お互いの弱点を補強し合う、最強の関係なのです。

●ひび割れを防ぐ→サビを防ぐ

コンクリートのひび割れを起こさないようにすることで、内部の鉄筋がさびることを防ぎます。

サビは、水や酸素が鉄筋に触れることで発生しますが、水や酸素が侵入するひび割れがなければ、鉄筋がさびるリスクは少なくなり、コンクリート壁の美観と強度を保つことが可能となります。

●サビを抑える→ひび割れを防ぐ

コンクリート内の鉄筋がさびないようにすることで、コンクリート部分のひび割れが起きにくくなります。

ひび割れは、サビが発生した鉄筋が、化学反応によって膨張し、コンクリート本体を圧迫して起こります。もちろん、さびた鉄筋そのものも強度を失うため、コンクリートが崩れやすくなります。

鉄筋部分のサビを抑えることで、このようなコンクリート部分のひび割れや弱体化を防ぐことが可能となります。

コンクリート壁にひび割れ対策を施す

ひび割れのリスクと戦い続けるコンクリート壁。最近では、ひび割れができてしまっても目立たせない、画期的な工法も用いられています。

コンクリート壁に、線状のへこみが縦横に伸びているのを見たことはありませんか。

そのへこみは「誘発目地」と呼ばれ、経年劣化によるひび割れが、そのへこみの線上で起きるように作られています。

板チョコをへこみの部分で割ったり、紙に折り目を付けてまっすぐ破ったりするのと同じ。

コンクリート壁も、あらかじめ目地を作っておけば、その目地に沿ってひび割れが生じるので目立たず、補修もしやすいという優れた工法です。

◆ひび割れとサビを防ぐには

コンクリート壁のひび割れやサビを起こさせない方法は、次の2点につきます。

今起きている劣化をいち早く補修し、これから起きると予想される劣化を未然に防ぐ、ということです。

そうすることによって、将来の大規模な修繕を避けることができると同時に、次の補修時期を先に延ばすこともできます。

具体的なメンテナンス方法について、紹介します。

◎ひび割れ補修はこまめに行う

ふだんから、自宅のコンクリート壁をよく観察することが大切です。築年数に関係なく、ひび割れは生じます。

表面にひび割れを見つけたら、専門業者による早めの調査を依頼しましょう。

細かなひび割れは、急いで補修する必要がない場合もあると思います。しかし、見た目と内部の状態は一致しないことがあるため、注意が必要です。

一見するとわずかなひび割れでも、内部では鉄筋がさびて膨張を始めている恐れもあります。

軽微なひび割れと診断された場合でも、優良業者であれば、数年後の変化まで視野に入れて気にかけてくれるはずです。

●小さいひび割れ

小さなひび割れは、表面にとどまっている場合が多いため、表面部分のみの補修で完了することもあります。

壁の種類によって、次のように補修を行います。

コンクリート壁の種類 ひび割れが小さい場合の補修方法
打ちっぱなし 専用のセメントと水だけで作られた補修剤を使って割れ目を埋める。あるいは専用の防水材を使ってひび割れにフタをする。専用の紙やすりを掛けたり、打ちっぱなしのような模様にできる塗装を行ったりして、補修の跡を目立たなくさせる。
塗装仕上げ 小さなひび割れは、塗装が劣化しているサインなので、ペンキの塗り替えが必要。古い塗装を剥がして新しい塗料を塗る際、コンクリート部分のひび割れもしっかり補修しておく。
タイル張り 打ちっぱなしの補修と同じように、専用の補修剤を使ってひび割れを修繕。もともとのタイルと同じ外観になるよう、塗装で調整する。

●大きめのひび割れ

太いひび割れは、シーリング材と呼ばれる樹脂や、専用のモルタル(粘土状の補修剤)を使って割れ目を埋める方法を用います。

内部の鉄筋の状態も調査し、場合によっては補修を行う必要があります。

大きなひび割れは雨水が侵入しやすいため、鉄筋がさびていることも多いからです。

鉄筋のサビを放置したまま、補修剤でひび割れを塞いでしまうと、コンクリート内部ではサビが進行してしまいます。

そのため、コンクリートを部分的に壊して、鉄筋のサビを確認して取り除き、サビ止め効果のある塗料を塗ります。

その後、壊したコンクリート部分はモルタルで埋め、壁の種類に合わせた仕上げをして補修跡を消します。

タイル張りの場合は、ひび割れ部分のタイルを取り除き、補修後に新しいタイルを張り直す方法もあります。

◎塗装で水の侵入を防ぐ

ひび割れやサビを補修したのちは、良好な状態を維持できるよう、表面を保護します。

表面の仕上げに合わせた塗装を行うと、壁全体の保護膜が作られ、雨水の侵入を防いで汚れやカビも付きにくくなります。

塗料の種類工程は、次に塗装が必要になる時期について、表にまとめました。なお、各工程は、塗料や工法などによって変わることがあります。

●一般的な外壁用の塗料(ペンキ)

使うコンクリート壁 塗装仕上げ・タイル張り
塗り替え時期の目安 約7~12年(シリコン系塗料の場合)
塗料の例 日本ペイント ファインシリコンフレッシュ(シリコン系)
パーフェクトトップ(ラジカル系)
エスケー化研 プレミアムシリコン(ラジカル系)
大日技研工業 ランデックスコートP-5000・PB-5000(無機系)

塗装仕上げやタイル張りの場合は、塗装のやり直しや、タイルへの塗装を行うことで、コンクリートを守ることができます。

塗装仕上げでは、通常のペンキが塗られるほかに、表面に凹凸を作るリシンやスタッコ、吹き付けタイルなど、模様の付いた仕上がりもあります。

コンクリート壁に使用するペンキは、「透湿性」、すなわち湿気を通す効果の高い塗料が最適です。透湿性が弱いと、水分が外へ出られずに、塗装膜が膨張することがあります。

タイル張りでは、透明な保護塗料を使用するため、補修跡をうまく隠す技が必要となります。技術や経験のある専門業者に依頼しましょう。

塗装工程

STEP1 高圧洗浄 高圧洗浄機で汚れを落とす。
STEP2 補修 ひび割れの補修・サビの処理を行う。 古い塗装はしっかり剥がしておく。
STEP3 下塗り 透明または白色の塗料。 中塗り・上塗りを外壁に密着させるための役割。
STEP4 中塗り 下塗りが乾いたのち、色の付いたペンキを塗る。
STEP5 上塗り 中塗りが乾いたのち、同じペンキを再度塗って完成。

●撥水剤(はっすいざい)

使うコンクリート壁 打ちっぱなし・タイル張り
塗り替え時期の目安 約3~8年
塗料の例 アクアシール200S(日本ペイント)

撥水剤を塗ることで、コンクリート壁に雨水が浸透することを防ぎます。雨だれの汚れも残りにくくなり、湿気を好むカビやコケも抑制できます。

打ちっぱなしコンクリートの場合、雨に濡れると色が黒っぽくなってしまいますが、撥水剤を塗ると、雨に濡れてもコンクリートの色が変わりません。

タイル仕上げでも、ペンキで塗り替えない場合は、撥水剤で保護するのがおすすめです。

ただ、撥水剤は透明であるため、補修した跡を隠すことはできません。壁の状態を見ながら、専門業者とよく相談して、工法を選択しましょう。

塗装工程

STEP1 高圧洗浄 高圧洗浄機で汚れを落とす。
STEP2 補修 ひび割れの補修・サビの処理を行う。
STEP3 撥水剤を塗装 撥水剤の種類や壁の状態に応じて、2~3回重ねて塗る。

●カラークリヤー

使うコンクリート壁 打ちっぱなし
塗り替え時期の目安 約7~12年(シリコン系塗料の場合)
塗料の例 日本ペイント ファインプーレシステム(シリコン系)
水性4Fプーレシステム(フッ素)
プーレシステム(フッ素)
塗料の例 エスケー化研 セラミクリート工法(シリコン系・フッ素系)
セラミクリートガード工法(シリコン系・フッ素系)
セラタイトRC工法(シリコン系・フッ素系)
塗料の例 大日技研工業 ランデックスコートWS疎水剤

「カラークリヤー」は、打ちっぱなしコンクリートに使われる塗料で、透明ではあるものの少しだけ色が付いています。

一般的なペンキは、外壁を塗りつぶような塗装になりますが、カラークリヤーは、コンクリートの質感を残しながら自然な塗装が可能です。

打ちっぱなしコンクリートの質感を残すため、グレーが基本色となっており、青み・赤みなどのバリエーションがあります。

また、透明な撥水剤よりは補修跡が隠れるものの、完全には隠すことができません。

塗装工程

STEP1 高圧洗浄 高圧洗浄機で汚れを落とす。
STEP2 補修 ひび割れの補修・サビの処理を行う。 紙やすりや研磨材で補修跡をならす。
STEP3 下塗り 塗料を塗る。中塗り・上塗りの効果を高める役割。
STEP4 中塗り カラークリヤーを塗る。
STEP5 上塗り 中塗りと同じ色を塗り重ねる。 コンクリートの表面が美しく仕上がる。

●打ちっぱなしを再現する塗装

使うコンクリート壁 打ちっぱなし
塗り替え時期の目安 約7~12年(シリコン系塗料の場合)
塗料の例 エスケー化研 セラミRC-FR工法(シリコン系・フッ素系)
塗料の例 キクスイ SA工法(シリコン系) キクスイ SA工法(シリコン系)
塗料の例 ランデックスコートWS疎水剤 FC特殊工法 ランデックスコートWS疎水剤 FC特殊工法

補修跡を隠したい場合は、打ちっぱなしの外観を再現する塗装がおすすめです。

工程途中で、いったん打ちっぱなし特有の質感はなくなりますが、専用のローラーで柄を付けていき、打ちっぱなしコンクリートの外観を再現していきます。

塗装工程

STEP1 高圧洗浄 高圧洗浄機で汚れを落とす。
STEP2 補修 ひび割れの補修・サビの処理を行う。 紙やすりや研磨材で補修跡をならす。
STEP3 下塗り 塗料を塗る。中塗り・上塗りの効果を高める役割。
STEP4 中塗り 模様を出すための塗料を塗る。 塗料によっては特殊なローラーやスポンジを使う。 工程が増える場合もある。
STEP5 上塗り 雨水に強くするため、最後に上塗りを塗る。

◆DIYはオススメしません

ここまで、コンクリート壁の補修について見てきました。

「結構たいへんだな」「種類によっていろいろ違って難しいな」と感じていらっしゃることと思います。

そう、コンクリート壁の塗装・補修は、難しい判断や選択が多いのです。

ひび割れは必ず起きると言っても過言ではありません。ひび割れ補修はもちろん、内部で鉄筋にサビが生じている可能性も疑いながら、処理を行う必要があります。

「アルカリ性」や「中性」などの話にまで至ると、職人さんたちは、本当に高度な専門技術を持って工事をされているのだと感じます。

DIYが趣味の方や、これまで自宅の修理は自分でやってきた、という方は、費用の面も考えて、自分でやれるのでは、と考えるかもしれません。

しかし、コンクリート壁の塗装工事は、見てきたように、豊富な知識と技術を要する工事です。

コンクリートの寿命を左右する工事となるので、優良業者を選び、正しい診断と適切な補修をしてもらうのがベストです。

業者にお願いすることで、次の補修時期のアドバイスや、気になることが起こった際の相談にものってもらえます。長く付き合える業者選びを行い、快適で安心の住まいづくりを進めましょう。

◆このページを見てくださった方へ

今回は、コンクリート壁の塗装や修理についてまとめました。お役に立てれば幸いです。

住宅のコンクリート壁は、ほかの外壁材に比べるとまだまだ少ないため、話や相談ができる場面も多くないかもしれません。

どんな小さなことからでもご相談を無料で受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。