ZEHで重要な「気密性」とは?断熱だけでは不十分な理由をわかりやすく解説(後半)

前半では、ZEHを目指すうえで気密性がなぜ重要なのか、断熱との関係や基本的な考え方について整理しました。
とはいえ、「リフォームでも本当に気密は改善できるのか」「新築のような数値を目指す必要があるのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。
後半では、既存住宅のリフォームで気密性をどこまで高められるのかに焦点を当て、
| ・現実的に改善できる範囲・効果が出やすいポイント・やりすぎを避ける考え方 |
をわかりやすく解説します。
住まいの弱点を押さえて効率よく性能を高めることが、ZEHに近づく近道です。ぜひ続けてご覧ください。
>>気密性の役割、気密不足で起こる問題については“ZEH×気密性まとめ前半”をご覧ください。
④:リフォームでも気密改善はどこまでできるのか

リフォームでも“気密はある程度まで”改善できる
気密性というと「新築でしか整えられない性能」というイメージを持たれがちですが、既存住宅のリフォームでも一定の改善は可能です。
リフォームでも気密性は一定レベルまで改善できますが、新築と同じ水準を目指すのは現実的ではありません。
そのため、改善できる部位と難しい部位を見極めることが重要になります。
改善しやすい部位(効果が出やすいポイント)
既存住宅で気密改善の効果が出やすい部位には、一定の傾向があります。
代表的なポイントは次のとおりです。
| ・窓まわり(サッシと躯体の取り合い部)・床下と室内の境界部分(気流止め)・天井裏と室内の境界(点検口・配線まわり) |
これらの部位は、外気が直接侵入しやすく、かつ工事で手を入れやすい場所でもあります。
断熱材を追加するだけでなく、すき間を塞ぐ処理をセットで行うことで、体感の変化が出やすくなります。
改善しにくい部位(過度な期待は禁物)
一方で、リフォームでは手を出しにくい部位も存在します。
次のような箇所は、後施工での大幅な気密改善が難しいのが実情です。
| ・外壁内部(柱間の気密ライン)・構造体の継ぎ目や見えない取り合い部・仕上げ材の裏側に隠れているすき間 |
これらは新築時に気密シートや構造用合板で連続した気密ラインをつくることで対応しますが、既存住宅では解体を伴わない限り十分な処理ができません。
そのため、リフォームでは「完璧を目指す」のではなく、影響の大きい部分から順に改善する考え方が現実的です。
“C値を追いかけない”という判断も大切
気密性能はC値(相当隙間面積)で数値化されますが、リフォームでは必ずしも数値を追いかける必要はありません。
なぜなら、部分的な改善でも体感や冷暖房効率は大きく変わるからです。
既存住宅の気密改善では、次のような考え方が適しています。
| ・数値目標より「不快の原因」を減らす・家全体より、まず弱点部位を優先・断熱・窓工事と同時に行い、効果を重ねる |
このように進めることで、費用対効果を保ちながら、ZEHに近づくための土台を整えられます。
やってはいけない“気密だけ強化”の考え方
気密改善は重要ですが、単独で行うと逆効果になるケースもあります。
特に注意したいのは、換気計画を無視した気密処理です。
気密だけを強化すると、以下のような問題が起きる可能性があります。
| ・換気量が不足し、空気がよどむ・湿気がこもり、結露やカビが出やすくなる・部屋ごとの空気の流れが乱れる |
そのため、気密改善は必ず換気・断熱とセットで考える必要があります。
ZEHを目指すリフォームでは、「気密は整えるが、換気とのバランスを崩さない」というバランス感覚が欠かせません。
⑤:ZEHを目指す気密改善のポイント(優先順位つき)

ZEHに近づけるための気密改善では、やみくもに手を入れるよりも「どこから整えるか」を見極めることが重要です。
既存住宅では、漏気の影響が大きい部位に優先的に対応するだけで、体感や冷暖房効率が大きく変わります。
優先①窓まわりのすき間を抑える
気密改善で最も効果が出やすいのが、窓まわりです。
窓は外皮の中でも構造的にすき間が生じやすく、漏気の影響が集中しやすい部位です。
窓まわりで問題になりやすいポイントは、主に次の3つに整理できます。
| 起きやすい問題 | 内容 |
| サッシと壁の取り合い | 施工時の処理不足で微細なすき間が残りやすい |
| 古いアルミサッシ | そもそも気密性能が低く、漏気が起きやすい |
| パッキンの劣化 | 経年で密閉性が落ち、風を感じやすくなる |
これらが残ったまま高断熱化を進めると、断熱材や窓性能の効果が十分に発揮されません。
窓交換や補修を行う際に、気密処理を同時に行うことが、ZEHを目指すうえでの第一歩になります。
優先②床下の気流止めで“足元の冷え”を抑える
床下は外気の影響を受けやすく、気密が弱いと冬の体感温度を大きく下げる要因になります。
特に築年数の経った住宅では、床下と室内の境界があいまいなケースも少なくありません。
床下の気密が弱いと、次のような影響が重なって現れます。
| 影響 | 室内で起きやすい現象 |
| 冷気の侵入 | 床付近から冷たい空気を感じる |
| 暖房効率の低下 | 暖房しても足元が暖まりにくい |
| 温度ムラ | 1階と2階で体感差が出やすい |
床下の気流止めを適切に行うことで、空気の流れが落ち着き、暖房効率と体感の両方が改善しやすくなります。
比較的工事範囲を抑えられる点も、優先度が高い理由です。
優先③天井・小屋裏との境界を整える
天井裏や小屋裏は、暖かい空気が抜けやすいポイントです。
特に断熱改修と気密処理が別々に行われている住宅では、気密ラインが途切れているケースが見られます。
天井まわりで注意したい点は、次のように整理できます。
| 見落とされがちなポイント | 起きやすい問題 |
| 点検口・配線まわり | 小さなすき間から暖気が逃げる |
| 断熱材のみ施工 | 気密が取れず性能を活かしきれない |
| 上階だけ暖かい | 暖気が天井側へ逃げているサイン |
天井と室内の境界を整えると、暖気が逃げにくくなり、家全体の温度が安定しやすくなります。
優先④玄関・勝手口など見落としがちな開口部
気密改善では、窓以外の開口部も見落とせません。
玄関ドアや勝手口は、使用頻度が高く、構造上すき間が生じやすい部位です。
開口部の気密が弱いと、次のような影響が出やすくなります。
| 開口部の問題 | 住宅全体への影響 |
| 玄関付近の冷え | 局所的に寒さを感じやすい |
| 風の通り道 | 室内の温度が安定しにくい |
| 気密の頭打ち | 他を改善しても効果が伸びない |
ZEHを目指す場合は、主要な窓とあわせて開口部全体を一つの気密ラインとして考えるようにしましょう。
内窓は“補助的な気密改善”として考える
内窓は断熱や結露対策に有効ですが、気密改善という点では補助的な役割になります。
理由は、既存サッシを残したまま施工する工法であるためです。
内窓で期待できる効果と限界は、次のように整理できます。
| 観点 | 内窓の位置づけ |
| 体感改善 | すき間風が減り、室温が安定しやすい |
| 部分的な漏気 | 弱点窓の対策として有効 |
| 全体気密 | 家全体を大きく引き上げる工法ではない |
ZEHを目指す場合は、窓交換や床下・天井の気密改善と組み合わせて使うという位置づけが現実的です。
⑥:気密改善にかかる費用と注意点

ZEHを目指す気密改善は、「どこまでやるか」によって費用も効果も大きく変わります。
ここでは代表的な工事ごとの目安感と、事前に知っておきたい注意点を整理します。
気密改善にかかる費用の目安
気密改善は単独工事よりも、断熱・窓工事と同時に行うケースが一般的です。
部位ごとの費用感は、次のように整理できます。
| 改善部位 | 費用の目安 | 内容の概要 |
| 窓まわりの気密処理 | 数万円〜 | 窓交換・内窓設置時に同時施工するケースが多い |
| 床下の気流止め | 10万〜30万円前後 | 配管・配線まわりのすき間対策が中心 |
| 天井・小屋裏の気密処理 | 10万〜40万円前後 | 点検口・配線部の処理、断熱と同時施工が多い |
| 玄関・開口部の調整 | 数万円〜 | パッキン交換・建付け調整など |
※住宅の規模や既存状態によって前後します。
ポイントは、単独で考えると高く感じやすいが、同時施工で効率が上がる点です。
気密改善は「部分最適」で十分なケースが多い
ZEHと聞くと「家全体を徹底的に改修しないといけない」と思われがちですが、既存住宅では弱点部位だけを重点的に改善する方が現実的です。
よくある改善パターンを整理すると、次のようになります。
| 住宅の状態 | 現実的な気密改善 |
| 窓が古くすき間風がある | 窓交換+窓まわりの気密処理 |
| 冬の足元が冷える | 床下の気流止めを優先 |
| 上階が暑くなりやすい | 天井・小屋裏の気密補強 |
| 体感を改善したい | 弱点窓+内窓の併用 |
すべてを一度に行わなくても、体感と効率は十分に変わるケースが多く見られます。
気密改善で失敗しやすい注意点
気密改善は見えない部分の工事が多いため、考え方を誤ると効果を感じにくくなります。
特に注意したい点を整理します。
| 注意点 | 起きやすい失敗 |
| 断熱だけを強化 | 空気が逃げ、思ったほど暖かくならない |
| 部分工事のやりすぎ | 効果が分散し、費用対効果が下がる |
| 数値だけを追う | 体感改善につながらない |
| 施工経験不足 | すき間処理が甘くなる |
ZEHを目指す場合は、「数値+体感」の両立を意識した設計が重要です。
気密改善は“やりすぎない”のが成功のコツ
既存住宅では、新築のようにC値を極端に追い込む必要はありません。
むしろ重要なのは、現実的な改善ラインを見極めることです。
| ・空気の通り道を断つ・熱が逃げるポイントを抑える・断熱とセットで効かせる |
気密改善は「やればやるほど良い」工事ではなく、ZEHに必要なレベルまで整えるという考え方が失敗を防ぎます。
⑦:よくある質問(FAQ)

Q1:断熱を強化すれば、気密はそこまで重要ではありませんか?
A:気密が不足していると、断熱性能は十分に発揮されません。
断熱は「熱を通しにくくする」対策ですが、気密が低いと隙間から空気が出入りします。
その結果、次のような無駄が生じやすくなります。
| ・エアコンが設定温度を維持するために常にフル稼働する・暖かい/涼しい空気が逃げ、効きが弱く感じる |
そのため、ZEHを目指す場合は断熱と気密をセットで考える必要があります。
どちらか一方だけでは、体感や省エネ効果に限界が出てしまいます。
Q2:既存住宅でもZEHレベルの気密性まで改善できますか?
A:新築同等の数値を目指すのは難しいですが、ZEHに必要なレベルまで近づけることは可能です。
既存住宅では、以下のような制約があります。
| ・壁の内部構造をすべて確認できない ・構造材や既存配管を残したまま施工する必要がある |
そのため、C値を厳密に追い込むのではなく、
| ・窓まわり・床下・天井・小屋裏 |
といった弱点になりやすい部位を重点的に改善することで、体感と効率を大きく高めていくのが現実的です。
⑧:まとめ

ZEHを目指すリフォームでは、断熱性能だけでなく気密性の考え方が欠かせません。
気密が不足すると、
| ・冷暖房効率が下がる ・温度ムラが生じる ・光熱費が下がりにくい |
といった問題が起きやすくなります。
一方で、既存住宅では家全体を完璧に気密化する必要はありません。
窓まわりや床下、天井などの弱点部位を見極め、断熱工事と合わせて改善することで、ZEHに必要な性能へ近付けられます。
「どこから手を付けるべきか分からない」「やりすぎて無駄にならないか不安」という場合は、外皮全体を見たうえで、現実的な改善ラインを提案できる会社に相談してみましょう。
| ファミリー工房では、ZEHリフォームの施工はもちろん、補助金の申請から書類提出、完了報告までをワンストップで承ります。 施主様は面倒なお手続きなく、快適な住まいを手に入れられます。無料で現地調査・お見積もりを承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください! >>無料お見積もり・ご相談はこちら|ファミリー工房 |

- 監修者
- 大久保 洋司
Director
【保有資格】
一級建築士
監理技術者
マンションリフォームアドバイザー
既存住宅状況調査技術者
既存住宅アドバイザー

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
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約30年と経験豊富な建築士です。
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