断熱性能とZEHの違いとは?等級別の基準とリフォームで実現する省エネ住宅を徹底解説(後半)

前半では、断熱性能とZEHの違い、そして断熱性能等級の基準について整理しました。
そのうえで「自宅の断熱性能が足りていないのではないか」「光熱費を抑えたいが、どの工事が有効なのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
後半では、ZEHリフォームで断熱性能を高める具体的な工事内容や、費用と効果のバランスを取るポイントを解説します。
最後まで読めば、自宅に合った断熱改修の方向性が見え、補助金も活用しながら効率的に快適で省エネな住まいを実現するための判断材料を得られます。ぜひご参考にしてみてください。
>>前半(断熱性能とZEH基準について、断熱性能を高める方法)についてはこちらをご覧ください。
目次
ZEHリフォームで断熱性能を強化するポイント

断熱性能を高めるには新築だけでなく、既存住宅のリフォームでも十分可能です。
特にZEHリフォームは補助金制度の対象になることが多く、費用を抑えながら断熱性を改善できます。
ここでは、リフォーム時に意識したい3つのポイントを解説します。
断熱改修の優先順位を決める
限られた予算で効果を最大化するには、熱の出入りが大きい部分から改修することが重要です。
【POINT】
| ・最優先は窓(熱の出入りの約5割を占める) ・次に屋根・天井、外壁、床の順で検討 ・ドアや勝手口も併せて交換するとバランスが良い |
リフォーム予算には限りがあるため、どこから手をつけるかを考えることが大切です。
もっとも優先したいのは窓の断熱改修です。住宅の熱の出入りはおよそ5〜6割が窓からといわれており、複層ガラスや樹脂サッシに替えるだけで体感温度が大きく変わります。
次に検討すべきは屋根や天井です。
夏場の直射日光や冬場の冷気の影響を受けやすいため、ここを強化すると冷暖房効率が安定します。
さらに外壁や床を断熱補強することで、住宅全体の断熱性能が底上げされます。
最後に玄関ドアや勝手口の交換も行えば、断熱性能のバランスが整い、快適な室内環境を維持しやすくなります。
補助金を活用してコストを抑える
ZEHリフォームは国や自治体の補助金制度の対象となることが多く、適切に活用すれば数十万円単位の費用を軽減できます。
【POINT】
| ・先進的窓リノベ事業 → 窓の断熱改修に特化・子育てグリーン住宅支援事業(リフォーム分) → 幅広い断熱改修が対象・給湯省エネ事業 → 高効率給湯器の導入を支援 |
ZEHリフォームは費用がかかる分、補助金制度をうまく利用することで初期投資を抑えられます。
たとえば「先進的窓リノベ事業」では窓の断熱改修が対象となり、「子育てグリーン住宅支援事業(リフォーム分)」では窓・壁・床など幅広い断熱改修が支援対象となります。
さらに「給湯省エネ事業」を活用すれば、高効率給湯器の導入費用の一部が補助されます。
ただし、制度ごとに対象工事や補助額、申請期限が異なるため、どの制度が使えるかを事前に確認しておくことが不可欠です。
施工を依頼する業者が申請サポートを行っているかどうかも、選定基準のひとつになります。
【関連記事】
【2025年最新版】ZEHリフォームに使える補助金を徹底解説!制度・対象工事・併用のコツ
施工業者選びで注意すべき点
断熱リフォームの成否は業者選びに左右されます。
【POINT】
| ・補助金申請に対応できる登録業者かどうかを確認・断熱改修の施工実績が豊富かどうか・気密施工や隙間処理など、細かい部分まで配慮してくれるか |
断熱リフォームを成功させるには、信頼できる施工業者を選ぶことが欠かせません。
特に補助金を申請する場合、制度に対応した登録事業者であることが条件となります。
補助金の仕組みに詳しく、申請実績のある会社であれば、必要書類の準備から申請までスムーズに進められます。
さらに、断熱工事の実績が豊富かどうかも確認しましょう。
断熱材を入れるだけでなく、サッシまわりやコンセントまわりの隙間処理といった細部の施工が仕上がりに大きく影響します。
複数の業者から見積もりを取り、補助金活用を前提とした提案内容を比較することが安心につながります。
断熱性能と光熱費削減効果

断熱性能を高めて得られる効果の中でも、光熱費の削減は最も実感しやすいメリットです。
冷暖房効率が向上すれば、同じ快適さを維持するために必要なエネルギーが少なくなり、長期的には大幅なコスト削減につながります。
ここでは、その仕組みと具体的な効果を詳しく見ていきましょう。
冷暖房効率の向上で無駄なエネルギーを減らす
断熱性が低い住宅では、夏は冷気が逃げて室内が暑くなり、冬は暖気が外へ逃げて室内が冷え込んでしまいます。
その結果、エアコンや暖房を強く稼働させる必要があり、光熱費がかさみます。
一方、窓や外壁、天井などを断熱リフォームすることで、室内の温度変化を抑えられるようになります。
冷暖房の稼働時間や出力が減少するため、無駄なエネルギー消費が抑制され、家計の負担を軽減できます。
>>断熱性能とZEH基準について、断熱性能を高める方法については“断熱性能アップのコツまとめ”をご覧ください。
年間の光熱費削減額の目安
国土交通省や環境省の試算によれば、ZEHレベルの断熱性能を持つ住宅は、従来基準の住宅と比べて年間で数万円〜十数万円程度の光熱費削減が期待できるとされています。
光熱費削減効果の目安
| リフォーム内容 | 年間の削減額目安 | 特徴 |
| 窓リフォームのみ | 約1〜3万円 | 比較的手軽に取り組める |
| 外壁・屋根・床など断熱材リフォーム | 約5〜10万円 | 家全体の断熱性能を底上げ |
| 断熱+太陽光・高効率設備導入 | 約10万円以上 | 自家消費でさらに削減効果大 |
一般的な戸建て住宅を例にすると、窓やサッシだけを断熱仕様に変えるだけでも年間で1〜3万円程度の節約が可能です。
さらに外壁や屋根、床などを含めて断熱改修を行うと、5〜10万円前後の削減が見込めます。
また、断熱リフォームに加えて太陽光発電や高効率設備を導入すれば、10万円以上の光熱費削減につながるケースも少なくありません。
省エネだけでなく快適性も向上
光熱費の削減は経済的なメリットですが、断熱性能を高めることで快適性も大きく向上します。
・室温の変化が少なく、一年中快適に過ごせる
・冬場のヒートショックリスクを軽減できる
・夏の冷房効率が高まり、寝苦しい夜が減る
・結露の発生を抑え、カビやダニの繁殖を防ぐ
このように、光熱費の削減効果と同時に「健康で快適に暮らせる環境」を手に入れられるのが、断熱性能向上の大きな魅力です。
断熱性能を高めるための具体的なリフォーム方法

断熱性能を向上させるリフォームには、建物全体の外皮を強化する方法から、窓やドアといった開口部の改修、さらに気密性や遮熱性を補う工事まで幅広い選択肢があります。
ここでは、それぞれの方法の特徴と、具体的な工事内容の例を紹介します。
■主なリフォーム方法と特徴
| 方法 | 内容 | 効果 | 費用感(目安) |
| 外壁・屋根・床の断熱改修 | 既存の外壁や屋根、床に断熱材を追加・交換する | 夏の熱気・冬の冷気を遮断しやすくなる | 150〜300万円(全面改修の場合) |
| 窓・ドアの高性能化 | 樹脂サッシ、複層ガラス・トリプルガラス、断熱ドアに交換 | 熱の出入りを抑制。特に冬の暖房効率が向上 | 10〜50万円/箇所 |
| 気密性の向上 | 隙間を塞ぐ施工、サッシ周りや配管まわりの補修 | 隙間風を防ぎ、断熱材の性能を最大限に発揮 | 工事内容により数万円〜 |
| 遮熱・日射調整 | 遮熱塗装、庇やシェード設置 | 夏の冷房負荷を軽減。窓ガラスの劣化防止にも | 数万円〜数十万円 |
外壁・屋根・床の断熱改修
住宅の外皮部分(外壁・屋根・床)は、夏場の暑さや冬場の寒さを直接受けやすい部位です。
ここに断熱材を追加・交換することで、室内の温度変化が緩やかになり、冷暖房の効率が大幅に向上します。
特に築20年以上経過した住宅では断熱材の劣化もあるため、改修効果が出やすいポイントです。
【工事内容の具体例】
| ・外壁に断熱ボードを貼り付け、外張り断熱を施工 ・屋根裏にグラスウールやセルロースファイバーを充填 ・床下に硬質ウレタンフォームを吹き付け断熱を強化 |
窓・ドアの高性能化
住宅から逃げる熱の約50%は「窓」からと言われています。
そのため窓の断熱リフォームは効果が大きく感じられます。加えて窓のリフォームは比較的短期間での施工も可能です。
たとえば複層ガラスや樹脂サッシに交換すれば結露防止にもつながり、住環境の快適性が増します。
また断熱ドアを導入することで、玄関まわりの冷え込みや暑さの侵入も軽減できます。
【工事内容の具体例】
| ・既存のアルミサッシを樹脂サッシに交換 ・複層ガラス(二重ガラス)やトリプルガラスへの入れ替え ・内窓の設置 ・玄関ドアを断熱仕様のドアに取り替え |
気密性の向上
断熱材や窓を強化しても、隙間風が入ると効果が半減します。気密性を高めるためには、サッシの建付け調整や配管まわりの隙間処理が必要です。
特に古い住宅では隙間が多く、暖房してもなかなか暖まらないといったケースがあるため、断熱リフォームとセットで実施するのがおすすめです。
【工事内容の具体例】
| ・サッシ枠の隙間に気密パッキンを追加 ・コンセントや配管周りの隙間に発泡ウレタンを充填 ・天井や床の取り合い部分に気密シートを施工 |
遮熱・日射調整
断熱材で「熱を通しにくく」しても、夏の強い日射熱を完全には防げません。
そこで遮熱塗装や庇、シェードを組み合わせることで、直射日光の影響を軽減できます。
これにより冷房負荷を下げられ、省エネ効果と快適性を両立できます。
【工事内容の具体例】
| ・屋根に遮熱塗装を施工して日射吸収を軽減 ・南面の窓に外付けシェードやオーニングを設置 ・窓上に庇を取り付け、夏場の直射日光を遮る |
ZEHリフォーム・断熱リフォームの費用目安と補助金活用

断熱リフォームは工事内容や建物の規模によって費用が大きく変わります。
いずれも高額になりがちですが、国や自治体の補助金を活用すれば自己負担を減らすことができます。
ここでは代表的な費用の目安と補助制度の概要を紹介します。
費用の目安
| 工事内容 | 費用の目安 |
| 外壁断熱改修 | 100〜250万円 |
| 屋根断熱改修 | 50〜150万円 |
| 床下断熱改修 | 40〜100万円 |
| 窓の交換(1窓) | 5〜20万円 |
| 玄関ドア交換 | 20〜50万円 |
断熱リフォームにかかる費用は工事内容によって幅があります。
外壁全体を断熱する場合は100〜250万円と高額になりますが、部分的な窓交換であれば1窓あたり5〜20万円と比較的手軽に導入できます。
屋根断熱は50〜150万円、床下断熱は40〜100万円程度が一般的です。
玄関ドアの交換も断熱性能を高める効果があり、20〜50万円程度かかります。
建物全体の断熱性能を底上げするには複数の工事を組み合わせることが多いため、トータル費用は数百万円単位になるケースも少なくありません。
補助金の活用
国や自治体は断熱リフォームを後押しするため、複数の補助制度を設けています。
【国のZEH補助金制度】
| 制度名 | 主な対象 | 申請者 | 補助額の目安 | 補足 |
| みらいエコ住宅2026事業 | ・ZEH水準・長期優良住宅・GX志向型住宅 上記のいずれかに該当する新築注文住宅や新築分譲住宅(建売) | 建設・販売事業者(購入者は不可) | 最大40〜125万円 | 補助額は価格に反映済みのケースが大半 |
| 住宅省エネ2026キャンペーン(リフォーム) ・先進的窓リノベ2026事業・みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)・給湯省エネ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 窓・躯体断熱・給湯器などの省エネ改修 | 登録事業者経由 | 数万〜数十万円(内容による) | 窓・断熱・給湯器それぞれに制度あり(併用可) |
| 既存住宅の断熱リフォーム支援事業 | 断熱材・断熱窓などを設置する省エネ改修を行う個人 | 登録事業者が申請 | 戸建上限120万円/戸(補助率:対象経費の1/3) | 製品・部位ごとに性能要件あり(窓・ドア・天井・床・外壁など) |
※1:ZEHビルダーとは……国に登録された、ZEHの普及目標を掲げている住宅会社や施工会社のことです。ZEH基準に対応した設計や施工を行う事業者として公表されています。
※2:BELS(べルス)評価とは……建物の省エネ性能を第三者機関が評価し、星や数値で示す制度です。住宅のエネルギー消費性能を客観的に確認できます。
※その他、自治体の補助金制度もあり
たとえば「先進的窓リノベ事業」では高性能窓や内窓の設置に対して、最大200万円の補助が受けられます。
また「子育てグリーン住宅支援事業」では断熱改修や高効率設備導入が対象となり、40〜60万円の補助が設定されています。
子育てと銘打ってはいますが、リフォームに関しては子どものいない世帯を含めた全世帯が対象です。
その他にも様々な国の補助金制度があるほか、東京都や区など自治体の補助金もあります。
これらの制度をうまく組み合わせることで、実際の負担額を大幅に軽減できるでしょう。
【関連記事】
【2025年最新版】ZEHリフォームに使える補助金を徹底解説!制度・対象工事・併用のコツ
補助金を使うときの注意点
補助金を活用するには、いくつかの注意点があります。
| 注意点 | 解説 |
| 交付決定前の着工は対象外 | 補助金申請が承認される前に工事を始めると対象外になる |
| 対象工事を満たさないと却下の恐れ | 要件を欠くと申請全体が不承認になる可能性がある |
| 書類提出が必須 | 図面・契約書・実績報告書などを揃える必要がある |
| 申請期限と予算枠がある | 制度ごとにスケジュールが異なるため早めの準備が必要 |
まず大前提として「交付決定前に工事を始めてしまうと対象外になる」という点です。
着工前の申請・承認を条件としている補助金制度については、交付決定前に着工してしまうと補助が受けられなくなってしまうので注意しましょう。
また、対象工事を満たしていない場合は申請全体が不承認になる可能性があるため、工事内容の確認は必須です。
さらに、登記事項証明書や契約書、工事完了後の実績報告書など、多くの書類を揃える必要があります。
申請期限や予算枠も制度ごとに決まっているため、早めに準備を進めることが重要です。
断熱性能とZEHに関するよくある質問(FAQ)

Q1. ZEHを目指す場合、断熱性能等級はいくつ必要ですか?
A. 一般的に「断熱性能等級5以上」がZEH基準の目安とされています。
等級5で基準を満たすことは可能ですが、より高い省エネ性や快適性を求める場合は等級6や7を目指すケースも増えています。
Q2. 断熱性能を上げる工事は必ず全部位に必要ですか?
A. 必ずしもすべての部位を同時に工事する必要はありません。
窓や天井など熱損失の大きい部分を優先して改修することで、段階的に性能を高めることも可能です。
ただしZEH認定を受けるには、住宅全体で基準を満たす必要があるため、トータルの性能評価が重要です。
Q3. 断熱性能を高めると費用はどのくらいかかりますか?
A. 工事内容や規模によって差がありますが、窓交換は数十万円単位、外壁や屋根の断熱改修は100万円以上かかる場合があります。
ただし補助金を活用すれば実質負担を軽減でき、長期的には光熱費削減によって投資を回収できるケースも少なくありません。
まとめ

断熱性能はZEHを実現するうえで欠かせない基盤です。
等級4は従来の基準にとどまりますが、等級5以上を目指すことでZEH基準を満たし、省エネ効果と快適性を大きく高められます。
さらに等級6・7では、2030年以降の新築標準や寒冷地にも対応できる高水準の住宅性能を実現できます。
■本記事のポイントまとめ
| ・断熱性能等級5以上でZEH基準に到達できる ・等級6・7は将来基準や寒冷地仕様に対応できる高断熱性能 ・窓や外壁など、熱損失の大きい部位を優先的に改修するのが効果的 ・補助金を活用すれば高断熱リフォームの費用負担を軽減できる ・光熱費削減や快適性向上によって、投資回収につながる可能性がある |
ZEHは「光熱費の削減」「快適性の向上」「環境貢献」という複数のメリットを同時に実現できる仕組みです。断熱性能の強化はその第一歩となります。
ファミリー工房では、東京都23区を中心に、断熱リフォームからZEH補助金申請のサポートまで一括対応しています。
住まいの性能を高め、将来を見据えた快適な暮らしを実現したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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>>断熱性能とZEH基準について、断熱性能を高める方法については“断熱性能アップのコツまとめ”をご覧ください。

- 監修者
- 大久保 洋司
Director
【保有資格】
一級建築士
監理技術者
マンションリフォームアドバイザー
既存住宅状況調査技術者
既存住宅アドバイザー

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
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