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ZEH対応エコキュートの選び方|適合要件・性能基準・メーカー比較まで徹底解説(後半)

前半では、ZEH対応エコキュートの定義や必要となる性能基準について整理しました。

ただ、「どんな効果があるのか」「ZEH判定にどれほど影響するのか」「効率値をどう見ればいいのか」など、まだまだ深掘りしたい点も多いはずです。

後半ではZEH基準で評価が伸びる仕組みや、効率値が判定に与える具体的な影響、太陽光や断熱改修と組み合わせた最適なプランをわかりやすく紹介します。

加えて申請時に求められる性能値の確認ポイントも押さえながら、ZEHリフォームを実現するための視点をまとめています。

ZEH計画を進める際の判断材料として、ぜひご参考にしてください。

>>ZEH対応エコキュートの性能基準、選び方、メーカー別の特徴については“ZEH対応エコキュートまとめ前半”をご覧ください。

目次

ZEH対応エコキュートにすると得られる効果

ZEH対応エコキュートは、単なる省エネ給湯機ではありません。
“ZEH判定を有利にする性能値を持つ設備”である点が、一般モデルとの大きな違いです。

特に、一次エネルギー消費削減量と太陽光の自家消費評価で高い効果を発揮します。

一次エネルギー消費削減量が増え、ZEH判定が有利に

ZEHの判定は、基準一次エネルギー消費量に対する削減率で評価されます。


このため、エコキュートの効率値(年間給湯保温効率・COP)が高いほど、ZEH判定で有利です。

■一般モデルとの比較(一次エネ削減量の違いイメージ)

項目一般的なエコキュートZEH対応(高効率)エコキュート
年間給湯保温効率3.0〜3.3程度3.7〜4.0程度
給湯の一次エネ削減量中程度大きい(ZEH判断で有利)
再加熱ロスやや多い断熱タンクで少ない
昼間沸き上げ制御なし〜限定的太陽光対応モデルでは有利

高効率型の採用だけで、100〜200MJ程度の一次エネ削減差が出ることもあり、断熱+窓改修と組み合わせた時に総合点が伸びやすいという重要なメリットがあります。

太陽光自家消費の最適化→創エネ評価が向上

ZEH判定では太陽光発電などによる創エネ量が一次エネルギー削減に反映されます。


エコキュートをZEH対応モデルにすると、太陽光の自家消費(昼間の電気使用)が最適化され、創エネ評価が上がります。

■太陽光連携モデルが有利な理由

・昼間に沸き上げるため“売電より自家消費”が優先される・深夜料金前提の運用から脱却し、太陽光活用の方針に合いやすい・余剰電力を有効活用する仕組みで、ZEHの創エネ要件を満たしやすい

太陽光の自家消費率が上がると、創エネの実質効果が拡大し、ZEHの達成可能性が大きく変わります。

断熱・窓改善との組み合わせで総合判定が安定する

ZEHは「外皮性能」と「一次エネ性能」の両方を満たす必要があります。

エコキュートの効率だけで達成できない場合でも、以下と組み合わせると全体のバランスが取れ、ZEH判定が安定します。

・断熱材の強化・窓の高性能化・換気機器(熱交換)の改善

■組み合わせの相乗効果(要点)

改修項目効果ZEHへの影響
エコキュート(高効率)給湯一次エネ削減設備点で大きく貢献
窓リフォーム外皮性能向上暖冷房で省エネ効果拡大
断熱改修熱損失を低減外皮性能の基準値クリア
太陽光発電創エネ量の増加ZEH基準の達成に大きく関わる

特に戸建てリフォームでは断熱・窓の改善がコスト面でも効率良く、エコキュートとの併用で設備・外皮の両面からZEH達成を狙える点が重要です。

ZEH Oriented(非創エネ型)でも採用メリットが大きい

「ZEH Oriented」は太陽光発電の設置を必須としない区分で、一次エネルギー削減だけで判定します。

この場合、給湯の省エネ性能が判定結果に直結するため、ZEH対応エコキュートの恩恵がより大きくなります。

■ZEH Orientedでエコキュートが重要な理由

・創エネがない分、設備の効率が判定スコアを左右する・昼間沸き上げ制御の有無が一次エネ削減量を変える・窓・断熱改修と併用しやすく、“外皮×設備”のバランスが取りやすい

特に東京23区のような都市部では屋根面積が小さく太陽光が載りにくいケースも多いため、ZEH Orientedで高効率給湯を採用する価値は非常に高いと言えます。

ZEHリフォームでエコキュートを導入する際の注意点

ZEHリフォームでは、エコキュートの性能値・型番・制御方式がZEH評価に直結します。

一般的な交換と異なり、「評価書に記載できるか」「創エネと連携できるか」といった制度的ポイントを理解することが欠かせません。

品番の違いで“ZEH評価書に記載できない機種”がある

エコキュートはシリーズ名が同じでも、型番によって効率値が大きく変わります。


ZEHのエネルギー計算では、年間給湯保温効率・COP・タンク性能などの“評価用数値”が明記されている型番しか入力できません。

■型番ごとに注意したいポイント

・同シリーズでも末尾違いで効率が変わる・寒冷地向け型番は効率が低く、ZEH基準に届かない場合がある・効率値の掲載がない型番は、ZEH評価書に記載できない

型番ごとの差が大きいため、「ZEH向け効率値が明記された型番」であることを必ず事前に確認する必要があります。

COP値が同じでも“年間効率(JIS値)”が異なる場合

エコキュートの瞬間的な性能を表すCOPは、ZEH判定の基準としては不十分です。


ZEHで評価されるのは年間効率であり、同じCOPでも「年間給湯保温効率」が低ければ一次エネルギー削減量が伸びません。

■COPと年間効率の違い(例)

指標機種A機種B
COP3.73.7
年間給湯保温効率3.33.8
ZEH評価不利有利

ZEHでは年間効率が基準になるため、型番ごとの「年間給湯保温効率」を必ず確認しましょう。

太陽光と連携しないモデルはZEH要件で不利になる場合あり

太陽光発電を設置する住宅では、エコキュートの昼間沸き上げ制御が創エネ評価に直結します。


太陽光と連携できないモデルは夜間沸き上げに偏り、自家消費が増えないため、ZEHの創エネ要件で不利になります。

■太陽光非対応モデルの不利ポイント

・昼間の余剰電力を有効活用できない・創エネ評価が伸びず、ZEH判定が不安定・総合的なエネルギー性能が不足しやすい

太陽光と併用する場合は、昼間沸き上げ制御に対応するモデルを選ぶとZEH判定が安定します。

エコキュート単体ではZEH判定は不可(総合改修が必要)

ZEHは外皮性能・一次エネルギー性能・創エネルギーの総合評価で決まるため、エコキュート単体を交換してもZEHは成立しません。


評価をクリアするには、断熱・窓・換気・太陽光などの総合的な対策が必要です。

■総合判定に影響する要素

・外皮性能(断熱・窓)が基準値を満たすか・太陽光発電の容量・空調・換気・照明の効率・給湯設備の年間効率

エコキュートはZEHに必要な“重要パーツ”ではあるものの、単体でZEHを完結させることはできない点に注意が必要です。

ZEH対応エコキュートの費用相場(一般との違い)

ZEH対応エコキュートは、一般的な交換用エコキュートと比べて「高効率型」「太陽光連携型」が中心のため、価格帯がやや高めです。

また、ZEH評価に使用できる性能値が明確なモデルは上位シリーズに集中しており、標準モデルと比べると初期費用の差が生まれます。

ZEH対応モデルは“高効率機種中心”で価格帯が高い

ZEH向けの給湯機は、年間効率やCOPが高いモデルに限られるため、どうしても上位グレードが中心になります。

■一般モデルとの価格比較(目安)

種類価格帯(本体)特徴
一般的なエコキュート約25〜35万円年間効率は標準レベル
高効率・ZEH対応モデル約35〜50万円前後COP・年間効率が高くZEH評価で有利

高効率モデルは初期費用が増えるものの、一次エネルギー削減量が大きく、ZEH達成に必要な効率値を満たしやすいメリットがあります。

太陽光連携モデル(ソーラーチャージ)は価格が上がる傾向

昼間沸き上げ制御や太陽光自家消費を最適化するモデルは、制御基板やシステム構成が一般機種より複雑で、グレードも上位に分類されることが多いです。

■ソーラーチャージ対応モデルの特徴

・太陽光の余剰電力を沸き上げへ優先活用
・創エネ評価が伸び、ZEH設計が安定
・上位シリーズに限定されることが多い

価格帯は本体40〜55万円前後まで広がりやすく、一般モデルと比較すると差が生まれます。


ただし自家消費率が上がるため、電気代削減効果は最も大きいカテゴリです。

交換作業自体の費用は一般モデルと大差なし

本体価格は高くなりますが、設置工事の費用は一般的なエコキュート交換とほぼ同じです。

■工事費の一般的な目安

・基本交換:10〜20万円・搬入・撤去・電気工事:住宅の状況により増減・太陽光連携設定:対応モデルでも大きな追加費用は発生しにくい

工事費そのものは大きく変わらないため、費用差の大部分は本体価格の差と考えて問題ありません。

ランニングコスト差(効率の違いによる年間差)

ZEH対応モデルは効率が高いため、年間の光熱費に差が生まれます。


特に、昼間沸き上げ+太陽光連携ができるモデルは電気代の削減幅が大きい傾向があります。

■年間ランニングコストの比較(目安)

種類年間光熱費の目安特徴
一般モデル約6.5〜8万円夜間沸き上げ中心
高効率モデル(ZEH対応)約5〜6.5万円年間効率が高く省エネ性が安定
太陽光連携モデル約3.5〜5万円昼間沸き上げで自家消費率が上昇

初期費用は増えるものの、ランニングコストでは長期的に差が縮まることが多く、ZEHリフォーム全体で見たときのメリットは大きくなります。

ZEH基準を満たすための“最適な組み合わせ”

ZEHは「外皮性能×一次エネルギー性能×創エネルギー」の総合評価です。


エコキュートは一次エネルギー削減に大きく寄与しますが、それだけで基準を満たすことは難しく、住宅全体の“組み合わせ”によってZEH判定の安定度が大きく変わります。

給湯以外の一次エネ削減項目とのバランスをどう取るか

ZEH判定では、給湯設備・換気・照明・空調など複数の設備が一次エネルギー削減量の対象です。


エコキュートの効率が高くても、他の設備性能が低ければ基準値に届きません。

■組み合わせで重視すべき設備

・高効率エアコン(APFの高いモデル)
・全熱交換型の換気システム
・LED照明(調光・調色つき)
・節水型の住宅設備(浴室・キッチン等)

エコキュートを高効率化しても、空調・換気が旧式のままだと一次エネルギー削減量が不足し、総合判定が不利になるケースが多い点に注意してください。

太陽光なし(Oriented)で達成を目指す場合のポイント

ZEH Orientedは創エネ(太陽光)を必須としない区分ですが、その分「一次エネルギー削減性能」が厳しく求められます。


この場合、エコキュートの効率は判定を左右する重要項目です。

■Orientedで重視される要素

・年間効率の高い給湯機(高効率モデルが必須に近い)
・断熱材・窓性能の底上げ
・空調・換気の効率改善

太陽光がない分、給湯機の性能が削減量の大きな割合を占めるため、エコキュートの「ZEH対応モデル」選択がほぼ必須といえる状況です。

エコキュートの効率が低いと“どれくらい不利になるか”

給湯は家庭の一次エネルギー消費の約3割を占める大きな項目です。


そのためエコキュートの効率差は、ZEH判定全体にストレートに影響します。

■年間効率の差が与える影響(概算イメージ)

年間給湯保温効率一次エネ削減量判定への影響
3.0台前半小さい基準に届かない可能性
3.5〜3.7前後標準他の設備次第でギリギリ
3.8以上大きい判定が安定しやすい

給湯の効率が低い状態だと、断熱や空調を強化しても削減量が伸びず、合格ラインを割り込みやすくなる点が大きなリスクです。

ZEH申請で必要な書類・性能値の確認ポイント

ZEH申請(BELS評価など)では、給湯設備に関して以下の情報が必須です。


性能値が確認できない型番は入力ができず、申請自体が進みません。

■必要な確認項目

・型番ごとの「年間給湯保温効率」
・タンク容量・断熱構造
・ヒートポンプの能力(kW)
・太陽光連携機能の有無
・メーカー公式資料で性能値が明記されているか

特に「年間効率」の記載がないモデルは、ZEHの一次エネ計算に利用できないため、選定段階で必ずチェックする必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q1.ZEH対応機種と通常モデルは何が違う?

A.ZEH対応機種は、年間給湯保温効率(JIS値)・COP・タンク断熱性能・太陽光連携制御など、ZEH判定に使用できる性能値が明確です。


一方、通常モデルは効率値が標準的で、評価書に入力できない型番もあります。

Q2.COP3.0未満のモデルでもZEHは可能?

A.COPではなく年間給湯保温効率(JIS値)が基準になるため、COPだけでは判断できません。

ただし、効率が低いモデルは一次エネルギー削減量が伸びず、ZEH・ZEHOrientedどちらでも不利です。

Q3.太陽光なしのZEH(Oriented)でもエコキュートは必要?

A.必須ではありませんが、Orientedは創エネが使えないため、給湯の年間効率が判定の鍵になります。


効率の低い給湯機だと達成は極めて難しく、高効率エコキュートの導入が有利になるケースが多いです。

Q4.ZEH対応モデルは寿命の違いがある?

A.寿命(耐用年数)は一般モデルと大きく変わりません。


ただし、制御機能が高度なモデルは部品点数が多いので、メーカー保証の条件を確認しておくと安心です。

Q5.ZEH基準を達成するためにはどの容量が最適?

A.ZEHでは「評価書に入力できる効率値」が優先され、容量そのものが基準になるわけではありません。
ただし実務的には370L・460Lの普及容量が最も効率値が高く、ZEH向けとして扱いやすい傾向があります。

まとめ

ZEH対応エコキュートは、「効率の高い給湯機」というだけではなく、ZEH判定で使用できる性能値が明確なモデルであることが最大の特徴です。

COPや年間給湯保温効率、タンク断熱性能、太陽光との連携制御といった要素が、一次エネルギー削減量や創エネ評価に直結します。

特に、以下の5点は重要です。

・ZEH評価に使われるのは“年間効率(JIS値)”で、COPは判断基準にならない・型番ごとに性能値が異なり、評価書に入力できないモデルが存在する・太陽光と連携しないモデルは創エネ評価が伸びず、不利になりやすい・ZEHOrientedでは給湯効率が判定の鍵になるため「高効率モデル」の重要度が高い・ZEH達成には、断熱・窓・換気・空調などの総合的な組み合わせが重要

エコキュート単体の交換ではなく、ZEHの制度基準を理解したうえでの設備選定が、判定の安定につながります。

ファミリー工房では、ZEHリフォームの施工はもちろん、補助金の申請から書類提出、完了報告までをワンストップで承ります。
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監修者
近岡 正平
株式会社ファミリーDesign

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【保有資格】
一級建築士
二級建築士
福祉用具専門相談員
監理技術者
既存住宅状況調査技術者
建築物石綿含有建材調査者

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