ZEHリフォームの屋根断熱工事を徹底解説|天井断熱との違い・効果・費用までわかりやすく紹介(後半)

前半では、屋根断熱の役割や工法の違い、ZEH基準に向けた必要量について整理しました。
とはいえ、多くの方が気になるのは「どれくらい費用がかかるのか」「屋根材によって金額は変わるのか」という点ではないでしょうか。
後半では、天井断熱・屋根断熱・付加断熱の費用目安を比較しながら、工事規模別の違いや屋根材ごとの注意点を解説します。
さらに、屋根断熱だけではZEHに届かないケースや、太陽光発電・遮熱材との相乗効果、活用しやすい補助金制度についてもまとめています。
費用を抑えつつ外皮性能を確実に高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
>>ZEHリフォームでの屋根断熱の工法、基準達成の目安や相性の良い設備については“ZEHリフォーム屋根断熱工事まとめ”をご覧ください。
屋根断熱リフォームの費用目安(工法別・屋根材別)

屋根断熱の費用は、工法(天井断熱/屋根断熱/付加断熱)と屋根材の種類によって大きく変わります。
ここでは、ZEHリフォームで採用されるケースが多い「工法別」と「屋根材別」の費用をわかりやすく整理します。
天井断熱は比較的安価に実施できる
天井裏に断熱材を追加・入れ替える工事で、既存住宅で最も採用しやすい方法です。
費用が抑えられる一方で、冷房・暖房の効率にしっかり効果が出るため、費用対効果が高い工法として知られています。
■天井断熱の費用目安(表)
| 項目 | 内容 |
| 工事内容 | グラスウール敷き込み/吹込み断熱(セルロース・グラスウール) |
| 費用の目安 | 15〜35万円程度(一般的な木造2階建て) |
| 効果の特徴 | 冬の暖房効率が向上。夏は2階の暑さ軽減に効果 |
| 採用しやすさ | ★★★★★(既存住宅向き) |
| ZEHとの相性 | 外皮性能の底上げに有効。UA値改善に安定的に寄与 |
■解説(採用が向いている理由)
| ・既存の天井裏に施工するため、内部工事で完結しやすい ・躯体を壊さずに断熱材を追加できる ・コストが最も低く、短期間で完了する ・冷暖房費に対する改善効果が安定して高い |
屋根断熱(付加断熱)はコストは高いがZEH到達に強い
屋根面に断熱材を施す工法(垂木間断熱・屋根面付加断熱)は、天井断熱より効果が大きいが費用も高いのが特徴です。
屋根を支える構造部分に断熱材を入れたり、屋根面に新しい断熱層を追加するため、屋根の葺き替えとセットで行うと効率が良いです。
■屋根断熱の費用目安(表)
| 項目 | 内容 |
| 工事内容 | 垂木間断熱・屋根面付加断熱・屋根葺き替え+断熱強化 |
| 費用の目安 | 80〜180万円程度(屋根面積・断熱材性能で変動) |
| 効果の特徴 | 冷房負荷削減の効果が高く、夏の体感が大幅に改善 |
| 採用しやすさ | ★★★☆☆(葺き替え時がベスト) |
| ZEHとの相性 | η(遮熱性)・UA(断熱性)ともに改善しやすい |
■解説(採用が向いている理由)
| ・屋根からの日射熱を大幅にカットできる ・太陽光発電との相性が非常に良い ・ZEHレベルに不足している家の“伸びしろ”を作りやすい |
屋根材(スレート/金属/瓦)で費用と施工難易度が変わる
屋根材によって、断熱工事のしやすさや費用は大きく変動します。
■屋根材別の費用・相性比較表
| 屋根材 | 断熱との相性 | 費用感の特徴 | 解説 |
| スレート屋根 | ◎ | 比較的安価 | 断熱材を追加しやすく、付加断熱にも向く |
| 金属屋根(ガルバリウムなど) | ○ | 中価格帯 | 熱伝導率が高いため遮熱材との併用が有効 |
| 瓦屋根 | △ | 高くなりがち | 重量があり工事手間が多め。断熱効果は高い |
■補足
| 瓦屋根はもともと断熱性が高い一方で、構造上施工の手間が増えるため、費用が高くなりやすい傾向があります。 |
屋根断熱でZEHを達成できないケースとその理由

屋根断熱は外皮性能を大きく改善できる工事ですが、屋根だけ強化してもZEHに届かないケースが存在します。
ここでは、屋根断熱が不十分な理由となりがちな“3つの典型パターン”を整理します。
窓性能が低く屋根だけではUA値が届かない
屋根断熱の効果が大きくても、窓(開口部)の性能が弱い家ではUA値が伸びにくいことがあります。
| ■問題の背景・熱損失・熱侵入の最大要素は「窓」 ・窓性能が弱いと外皮の総合評価で“足を引っ張る” ・屋根断熱だけでは外皮全体のバランスが整わない ■ZEH基準に届かない典型例・アルミサッシ(単板ガラス)を使っている ・南・西面の窓が多く、日射熱取得が大きい ・開口部比率が元々大きい間取り(吹き抜け・掃き出し窓多数) ■おすすめ改善策・Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)への交換 ・樹脂サッシorアルミ樹脂複合サッシに更新 ・日射遮蔽(アウターシェード・庇・Low-E遮熱) |
気密性能が不足し断熱の効果が出にくい
屋根断熱は断熱性能を高めても、気密施工が甘いと“計算通りの性能”が出ないケースがあります。
| ■問題の背景・断熱材の性能値は「気密が確保された状態」での数値 ・隙間があると外気が流入して断熱材が効かない ・UA値の計算では気密が反映されない(実効性能が落ちる) ■ZEH基準に届かない典型例・天井裏に大きな隙間や配管穴が残っている ・屋根面の付加断熱でジョイント部の気密処理が不十分 ・既存住宅でC値が悪い(隙間面積が大きい) ■おすすめ改善策・配管貫通部・コンセント周りの気密処理を追加 ・屋根下地のジョイント部を丁寧に塞ぐ ・天井裏の気流止めを強化 |
日射取得(南・西面の窓)が多く冷房負荷が高い
東京は夏の日射量が多いため、遮熱対策が不足していると冷房負荷が減りにくい地域です。
| ■問題の背景 ・屋根断熱だけでは日射(窓からの侵入熱)を抑えきれない ・η(遮熱性能)の改善が弱いと一次エネ削減が伸びない ・南・西面の窓が多い家ほど日射熱が大きい ■ZEH基準に届かない典型例 ・掃き出し窓が南面に複数 ・西面に大きな窓があり、夕方の熱が溜まりやすい ・遮熱ガラスの採用がされていない ■おすすめ改善策・外付け日よけ(アウターシェード等)の設置 ・窓の遮熱Low-Eガラス化 ・庇(ひさし)やルーバーで直射日光をカット |
■屋根断熱だけではZEHに届かない典型ケース|改善策つき表
| 課題ケース | 具体的な問題 | ZEHに届かない理由 | おすすめ改善策 |
| 窓性能が低い | アルミサッシ・単板ガラス、南西面に大きな窓 | 窓が外皮性能の“ボトルネック”となりUA値が下がらない | 樹脂サッシ・Low-Eガラス・日射遮蔽 |
| 気密不足で性能が出ない | 天井裏の隙間、配管まわりの処理不足 | 計算上のUA値と実際の性能が一致しない | 気密補修、天井・屋根の隙間対策 |
| 日射取得が多く冷房負荷大 | 南・西面の大開口窓が多い | η(遮熱)が不足し、夏の一次エネ削減が伸びない | 遮熱ガラス・アウターシェード・庇 |
屋根断熱に使える主な補助金(国・東京都・区)

屋根断熱は、外皮性能の向上に直結するため、国・東京都・区の補助金と相性がとても良い分野です。
ここでは「屋根・天井断熱の工事に使える制度」を厳選して紹介します。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業(国)|屋根・天井断熱に使いやすい
既存住宅の断熱リフォーム支援事業は、外皮性能の向上を目的とした断熱改修を幅広く対象とする国の補助制度で、屋根断熱や天井断熱にも活用できます。
■補助のポイント
| 項目 | 内容 |
| 対象工事 | 屋根断熱、天井断熱、外壁・床・窓・ドアの断熱改修など |
| 補助金額の目安 | 補助対象経費の1/3、戸建は上限120万円(※断熱リフォームの合計) |
| 特徴 | ・外皮全体の断熱改修に幅広く対応・複数部位の同時施工で補助額が伸びやすい |
| ZEH視点 | 外皮性能を底上げでき、UA値の改善に直結 |
屋根断熱+窓断熱を合わせて行うと、外皮全体の性能が効率よく向上し、補助金も活用しやすくなります。
先進的窓リノベ2026事業(国)|窓が主役だが屋根断熱と組み合わせると効果大
「先進的窓リノベ2026事業」は窓専用の補助金ですが、屋根断熱とセットにするとZEH達成の近道になります。
■補助のポイント
| 項目 | 内容 |
| 対象工事 | 断熱窓(交換/内窓/カバー)/断熱ドア |
| 補助金額の目安 | 製品性能・サイズにより5万円〜最大100万円規模 |
| 特徴 | 窓の断熱強化では最も手厚い制度 |
| ZEH視点 | 屋根断熱だけでは不足する“日射対策(η)”を大きく改善できる |
外皮性能を本気で高めるなら「屋根断熱×窓断熱(先進的窓リノベ)」の組み合わせが最もおすすめです。
東京都|既存住宅における省エネ改修促進事業(屋根断熱にも対応)
東京都の代表的な省エネ改修制度「既存住宅における省エネ改修促進事業」は、屋根断熱・天井断熱・外壁断熱など外皮性能向上を幅広くカバーします。
■補助のポイント
| 項目 | 内容 |
| 助成対象 | 屋根断熱材、天井断熱材、外壁断熱材、窓・ドア、高断熱浴槽など |
| 補助金額の目安 | 屋根・天井断熱:上限100万円(外皮断熱区分) |
| 特徴 | ・断熱材への助成が手厚い・窓・ドアは別枠130万円(防犯断熱窓は325万円) |
| ZEH視点 | 屋根断熱・天井断熱を強化するうえで最優先で検討したい制度 |
東京都で屋根断熱を施工するなら、ほぼ必ず候補に入る制度です。
東京都・区の断熱改修補助(屋根断熱に対応する制度)
東京都の一部の区では、屋根断熱・天井断熱に使える助成制度を個別に設けています。
ここでは例として葛飾区の制度「かつしかエコ助成金」を紹介します(外皮関連補助が多い区のひとつ)。
■補助のポイント
| 項目 | 内容 |
| 助成対象 | 断熱窓、断熱ドア、天井・屋根の断熱改修など(年度ごとの要綱に準拠) |
| 補助金額の目安 | 上限20万円(経費の1/4程度) |
| 特徴 | 国・都の補助と併用しやすい |
| ZEH視点 | 屋根断熱だけでは足りない“窓性能の底上げ”がしやすい |
規模は小さいものの、都+国と併用することで実質負担を大きく減らせるのが魅力です。
■屋根断熱で使いやすい補助金|総合比較表
| 補助金名 | 対象部位 | 補助金額の目安 | 特徴 | ZEHとの相性 |
| 既存住宅の断熱リフォーム支援事業(国) | 屋根・天井・外壁・床・窓 | 上限120万円 | 同時施工で上限に達しやすい | 外皮全体を底上げできる |
| 先進的窓リノベ2026(国) | 窓・ドア | 5〜100万円 | 窓断熱が最も手厚い | 屋根断熱とセットで効果大 |
| 東京都の「既存住宅における省エネ改修促進事業」 | 屋根・天井・外壁・床・窓/ドア | 屋根断熱100万円窓130万円 | 都独自の高額助成 | ZEHの外皮基準を満たしやすい |
| 区の断熱補助(葛飾区など) | 窓・ドア・天井断熱など | 上限20万円等(区により異なる) | 都・国と併用しやすい | ZEHの“足りない部分”を補強 |
屋根断熱工事を含むZEHリフォームの補助金については、こちらの記事も参考にしてみてください。
【関連記事】
【2025年最新】ZEHリフォームは補助金でお得に!東京都・23区・国の支援制度と費用例を徹底解説(後半)
よくある質問(FAQ)

Q1.屋根断熱と天井断熱はどちらがZEHに有利ですか?
A.断熱効果としては「屋根断熱」がやや有利ですが、既存住宅では「天井断熱」のほうが採用しやすいケースが多いです。
屋根断熱が有利な理由
| ・屋根面そのものに断熱層を設けるため、小屋裏の温度上昇を抑えやすい ・夏の冷房負荷が大きく減る ・天井の形状に左右されにくく、断熱欠損が少ない |
天井断熱が採用されやすい理由
| ・天井裏に敷き込むだけなので施工性が高い ・費用が安く、短期間で完了する ・既存住宅でも断熱厚みを確保しやすい |
ZEH化を確実にしたい場合は「屋根断熱」+「窓の遮熱対策」をセットで検討するのが理想です。
Q2.屋根断熱だけでZEH基準に届きますか?
A.屋根断熱“だけ”では届かないケースがほとんどです。
理由は次の通りです。
| ・ZEHのUA値(外皮性能)は“家全体の平均”で決まる ・熱損失が大きい部位のひとつが窓のため、窓性能が弱いとUA値が下がりにくい ・屋根断熱だけではη(遮熱)の改善が十分でない ・太陽光発電の容量が不足し「創エネ」で基準を満たせないこともある |
結論として、屋根断熱だけでZEH達成は難しく「窓+外壁+屋根の外皮全体のバランス」が不可欠です。
Q3.太陽光発電と屋根断熱は相性が良いですか?
A.とても相性が良いです。ZEHでは特に併用メリットが大きくなります。
相性が良い理由
| ・屋根からの熱の影響を受けにくくなり、パネル周辺の温度上昇を抑えやすくなる ・発電効率の低下を防ぎやすくなり太陽光パネルの発電効率が安定 ・小屋裏の高温を抑えることで、エアコンの冷房効率が向上 ・外皮性能が上がるため「一次エネ削減量」が伸び、ZEH判定が取りやすくなる |
太陽光ありのZEHリフォームでは、屋根断熱は重要度の高い要素です。
Q4.屋根材によって断熱性能は変わりますか?
A.変わります。特に「金属屋根」「スレート屋根」「瓦屋根」で温度特性が異なります。
| 屋根材 | 特徴 | ZEH視点でのポイント |
| 金属屋根(ガルバリウム等) | 熱を吸収しやすいが、遮熱塗装で改善可能 | 遮熱材を併用すると効果大 |
| スレート屋根 | 薄く軽いが断熱性は低め | 断熱材追加が効果的 |
| 瓦屋根 | 熱容量が大きく温度変化が緩やか | 既存住宅では天井断熱強化が安定 |
屋根材の特性を踏まえ、「屋根断熱or天井断熱」の最適工法を判断するのが重要です。
Q5.既存住宅ではどの屋根断熱工法が採用しやすいですか?
A.最も採用しやすいのは「天井断熱」、屋根リフォームのタイミングなら「屋根断熱」です。
採用しやすさの比較
| 工法 | 採用しやすさ | 理由 |
| 天井断熱(吹き込み・敷き込み) | ★★★★★ | 小屋裏に施工するだけで、工期が短く費用も安い |
| 屋根断熱(垂木間/付加断熱) | ★★★☆☆ | 屋根材の撤去が必要。葺き替え時がベスト |
| 屋根葺き替え+断熱強化 | ★★★★☆ | 既存屋根を交換する際にまとめて施工できる |
既存住宅で最も現実的なのは「天井断熱」ですが、ZEHレベルを狙うなら屋根断熱がより効果的です。
まとめ

屋根断熱は、ZEHリフォームの中でも外皮性能を大きく底上げできる重要な工事です。
特に東京では、夏の小屋裏温度の上昇を抑える効果が大きく、冷房効率や一次エネ性能にも影響します。
| ・天井断熱はコストを抑えて実施しやすい ・屋根断熱(付加断熱)は効果が大きくZEH達成に強い ・太陽光発電 ・遮熱材 ・換気と組み合わせると性能が安定 ・屋根材や既存状態に応じて最適な施工方法が変わる |
ただし、屋根断熱だけではZEH基準に届かないケースもあるため、窓断熱や外壁断熱とのバランス設計が不可欠です。
ファミリー工房では、屋根リフォーム・断熱・太陽光を一体で提案できる体制が整っており、補助金を活用したZEHリフォームもサポートしています。
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- 監修者
- 近岡 正平
Manager
【保有資格】
一級建築士
二級建築士
福祉用具専門相談員
監理技術者
既存住宅状況調査技術者
建築物石綿含有建材調査者

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
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