ZEHリフォームで省エネ給湯器はどう選ぶ?エコキュート以外の選択肢と判断軸を整理(後半)

前半では、ZEHリフォームにおいて給湯器選びが難しくなる理由や、省エネ給湯器を単体で考えてはいけない背景について整理しました。
とはいえ、「結局どの給湯器を選べばいいのか」「高性能な設備を入れれば安心なのか」と迷う方も多いでしょう。
後半では、ZEHリフォームで省エネ給湯器を選ぶ際の判断軸を具体的に解説します。
住宅条件や他設備とのバランスを踏まえた考え方に加え、給湯器にコストをかけすぎないための視点や、活用できる補助金制度についても紹介します。
給湯器をZEHリフォーム全体の中でどう位置づけるべきかを整理することで、無理のない設備計画を立てやすくなります。
ぜひご参考にしてみてください。
>>省エネ給湯器の種類や重要視される理由については“ZEHリフォーム×省エネ給湯器まとめ前半”をご覧ください。
目次
④:ZEHリフォームで給湯器選びが難しくなる理由

省エネ給湯器には複数の方式があり、それぞれにメリットがあります。
一方で、ZEHリフォームでは給湯器選びが複雑になる場合も。
ここではその理由について詳しく見ていきましょう。
給湯器単体ではZEHが成立しない
ZEHは、住宅全体の一次エネルギー消費量を基準に評価されます。
そのため給湯器だけを高効率なものに交換しても、ZEH基準を満たすとは限りません。
断熱性能や窓性能が十分でなければ、給湯効率を高めても消費エネルギー全体は下がりにくくなります。
断熱・窓・創エネとの関係が複雑
ZEHリフォームでは、断熱改修や窓リフォーム、太陽光発電などの創エネ設備と給湯器を組み合わせて考える必要があります。
どれか一つを先に決めてしまうと、全体のバランスが崩れることがあります。
たとえば、太陽光発電を導入する前提で電気主体の給湯器を選ぶ場合と、ガス設備を活かす前提で給湯器を選ぶ場合では、最適な方式が異なります。
中見出し:住宅条件による制約が多い
給湯器は、設置スペースや既存設備の条件によって選択肢が制限されることがあります。
例えば屋外設置が難しい場合や、タンク容量を確保できない場合には、選べる方式が限られます。
また、ガス配管の有無や電気容量の制約など、住宅ごとの条件も影響します。
こうした理由からZEHリフォームでは、理想的な設備構成と現実的な設置条件をすり合わせる必要があると心得ておきましょう。
設備だけ先行すると失敗しやすい
給湯器は目に見える設備であるため、先に決めてしまいたくなるポイントです。
しかし、給湯器を先行して選ぶと、後から断熱や窓の計画を調整しづらくなる場合があります。
ZEHリフォームでは、住宅全体の改修方針を整理したうえで、給湯器の位置づけを決めることが重要です。
次章では、省エネ給湯器をどのような基準で選べばよいかを具体的に整理します。
⑤:ZEHリフォームで省エネ給湯器をどう選ぶか【判断軸】

ZEHリフォームにおける省エネ給湯器選びでは「どれが一番高性能か」を基準にすると、判断を誤りやすくなります。
重要なのは、住宅条件や他の設備計画と整合しているかどうかです。
住宅条件から判断する
最初に整理したいのは、住宅そのものの条件です。
給湯器は設置環境やエネルギー構成の影響を受けやすいため、前提条件を確認する必要があります。
| ・オール電化か、ガス併用か・設置スペースに余裕があるか・家族構成や使用湯量はどの程度か |
これらを把握することで、現実的な選択肢が絞られてきます。
他の設備との組み合わせを考える
ZEHリフォームでは、給湯器を単独で考えるのではなく、他の設備との関係を整理することが重要です。
特に、太陽光発電や蓄電池との相性は、給湯方式の選択に影響します。
電気を自家消費しやすい環境では電気主体の給湯器が有利になりやすく、ガス設備を活かす場合は併用型の方式が検討対象になります。
給湯方式ごとの判断整理
省エネ給湯器の代表的な方式について、判断の目安を整理します。
| 給湯方式 | 向いている住宅条件 | 判断のポイント |
| ヒートポンプ給湯器 | 電気主体、太陽光あり | 設置スペースと使用湯量 |
| ハイブリッド給湯器 | ガス併用、湯量が多い | 即湯性と省エネ性のバランス |
| 家庭用燃料電池 | ガス利用、発電併用 | 導入効果と初期費用 |
| 高効率ガス給湯器 | ガス設備を活かしたい | 他改修との組み合わせ前提 |
このように、方式ごとに向き不向きがあります。
一つの方式に固執せず、住宅条件に合うかどうかを基準に判断しましょう。
ZEHリフォームでは「過不足のない選択」を意識する
省エネ給湯器は、高性能であればあるほど良いわけではありません。
初期費用や設置条件に対して、どの程度の効果が見込めるかを冷静に見極める必要があります。
ZEHリフォームでは断熱や窓、創エネとのバランスを取りながら、給湯器を選定します。
過剰な設備投資を避け、住宅全体として無理のない構成にすることを心がけましょう。
⑥:ZEHリフォームで給湯器を「やりすぎない」考え方

ZEHリフォームでは、省エネ性能の高い給湯器が注目されやすい一方で、給湯器にコストや性能をかけすぎてしまうケースも見られます。
ここでは、判断を誤りやすいポイントを整理します。
給湯器で「やりすぎ」になりやすい例
次のような考え方は、給湯器を過剰にしてしまう原因になりがちです。
| ・使用湯量が少ないのに、最大容量・最高性能の機種を選ぶ・断熱や窓改修より先に、給湯器だけを高性能化する・補助金ありきで、住宅条件に合わない方式を選ぶ |
これらは、設備の性能と住まい方が噛み合っていない状態といえます。
初期費用と効果のバランスを整理する
給湯器は日常的に使われる設備ですが、体感面での変化は断熱や窓改修ほど分かりやすくありません。
そのため、費用と効果の関係を冷静に整理する必要があります。
| 観点 | 確認したいポイント |
| 初期費用 | 住宅全体の予算に対して過度になっていないか |
| 使用頻度 | 実際の湯使用量に見合っているか |
| 効果の実感 | 光熱費や運用面で効果が見込めるか |
| 他工事との関係 | 断熱・窓改修との優先順位 |
この整理を行うことで、給湯器にかけるべき適正なラインが見えてきます。
既存住宅では設備だけで解決しないケースも多い
既存住宅では給湯器を高効率なものに替えても、住宅全体の断熱性能が低いままだと、省エネ効果が限定的になる場合があります。
住宅全体の性能を底上げする中で、適切な役割を担わせることが求められます。
ZEHリフォームは「全体最適」を前提に考える
給湯器はZEHリフォームを構成する重要な要素ですが、主役ではありません。
ZEHリフォームでは、給湯器を「とにかく高性能な設備」として選ぶのではなく、窓・壁・屋根の断熱改修と役割分担をするのが重要です。
さらに、住宅全体に対して過不足のない設備として位置づけることが重要であると心得ましょう。
⑦:省エネ給湯器に使える主な補助金制度

ZEHリフォームの一環として省エネ給湯器を導入する場合、条件を満たせば補助金を活用できるケースがあります。
ここでは、給湯器に関連する代表的な補助制度を一覧で整理します。
主な補助金制度の概要
| 制度名 | 対象となる給湯器・工事 | 補助金上限額の目安 |
| 給湯省エネ2026事業 | 高効率給湯器(ヒートポンプ、ハイブリッド、燃料電池など) | 機種・要件により数万円〜 |
| ZEH関連補助制度 | ZEH基準を満たす住宅改修 | 年度・要件により異なる |
| 東京都の既存住宅向け省エネ関連補助 | 高効率給湯設備を含む省エネ改修(断熱改修はこちら) | 制度ごとに上限設定あり |
| 各区の住宅改修補助制度 | 給湯器更新を含む省エネ工事 | 区ごとに異なる |
※補助対象や補助額は年度や制度改定により変更される場合があります。
給湯器で補助金を使う際の注意点
補助金は、工事内容と使用する機器の性能要件を満たしている場合に限り利用できます。
省エネ給湯器であっても、すべてが対象になるわけではありません。
また、多くの制度では工事着手前の申請が必要です。申請のタイミングを誤ると、補助対象外になるケースもあります。
そのため、給湯器の選定と同時に補助金の要件を確認しておくことが重要です。
制度の詳細や最新情報については、以下の記事でご確認ください。
【関連記事】
【2025年最新】ZEHリフォームは補助金でお得に!東京都・23区・国の支援制度と費用例を徹底解説(後半)
⑧:よくある質問(FAQ)
Q1.省エネ給湯器に交換すればZEHリフォームとして十分ですか?
A.十分とはいえません。
省エネ給湯器はZEHリフォームを構成する重要な設備ですが、断熱や窓、創エネと組み合わせて住宅全体の一次エネルギー消費量を下げる必要があります。
給湯器だけを高効率化しても、ZEH基準を満たさないケースが多い点には注意が必要です。
Q2.エコキュート以外の給湯器でもZEHリフォームは可能ですか?
A.可能です。
ハイブリッド給湯器や家庭用燃料電池なども、住宅条件や他設備との組み合わせ次第ではZEHリフォームに活用されます(創エネ扱いにはならない点に注意)。
重要なのは方式そのものではなく、住宅全体のエネルギー設計と整合しているかどうかです。
Q3.省エネ給湯器は後から交換しても問題ありませんか?
A.問題ありませんが、計画段階での整理が重要です。
後から交換すること自体は可能ですが、ZEHリフォームでは断熱や窓、太陽光発電とのバランスを見たうえで給湯器を位置づけたほうが、全体の完成度を高めやすくなります。
⑨:まとめ

省エネ給湯器は、ZEHリフォームにおいて重要な設備のひとつです。
ただし、給湯器だけを高効率なものに交換すればZEHが成立するわけではありません。
ZEHリフォームでは断熱や窓、創エネとのバランスを踏まえたうえで、省エネ給湯器を住宅全体の中にどう位置づけるかが重要です。
エコキュート以外にも複数の選択肢があり、住宅条件や暮らし方によって最適な方式は異なります。
また、高性能な設備を選ぶこと自体が目的になってしまうと、費用対効果の面で無理が生じやすくなります。
給湯器選びに迷った場合は、断熱や窓改修を含めたリフォーム全体の計画の中で整理することが大切です。
住宅の条件や将来の使い方を踏まえたうえで、無理のないZEHリフォームを進めましょう。
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- 監修者
- 大久保 洋司
Director
【保有資格】
一級建築士
監理技術者
マンションリフォームアドバイザー
既存住宅状況調査技術者
既存住宅アドバイザー

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
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