屋根材の選び方(スレート・金属・瓦)と太陽光の相性は?葺き替え前に知っておきたい比較ガイド

築15〜30年を迎えた住宅では、屋根の塗装や葺き替えを検討する時期です。
そんな中、「せっかく屋根を直すなら、太陽光も一緒に設置したい」と考える方も増えています。
ただし、屋根材によって耐久性や重量、施工方法が異なり、太陽光パネルとの相性にも差があります。
誤った選び方をすると、後から追加費用やトラブルが発生する場合もあるため注意が必要です。
この記事では、主要な屋根材3種類(スレート・金属・瓦)の特徴を比較し、太陽光を載せる場合の最適な選び方をわかりやすく解説します。
屋根リフォームと太陽光導入を同時に考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Q&A|屋根と太陽光の基本的なギモン

Q1.太陽光はどんな屋根でも設置できますか?
| A.基本的にはどの屋根にも設置できますが、金具の固定方法や防水処理の難易度が異なります。 スレート屋根や金属屋根は構造がシンプルで、太陽光パネルの固定金具を取り付けやすい形状をしています。このため施工実績も多く、住宅用の主流となっています。 一方、瓦屋根は重量があるため耐震面の確認が必要で、金具固定や防水処理にも専門的な知識と技術が求められます。 |
Q2.屋根の葺き替えと太陽光設置は同時にやるべき?
| A.はい、同時施工がもっともおすすめです。 足場を共用できるため工事費を抑えられ、屋根と太陽光の保証期間を一元化できます。 別々に工事すると後からパネルを一時撤去する費用が発生する場合もあるため、長期的には同時施工のほうが経済的です。 |
屋根材3種類の特徴と比較
葺き替え時に選ばれる代表的な屋根材は「スレート」「金属(ガルバリウム鋼板)」「瓦(陶器・和瓦)」の3種類です。
それぞれの屋根材にはメリットと注意点があり、太陽光パネルとの相性にも違いがあります。
以下の表で、耐久性・重量・断熱性・メンテナンス性・太陽光の相性を比較してみましょう。
【屋根材別・耐用年数や重量等の機能比較表】
| 屋根材 | 耐用年数 | 重量(1㎡あたり) | 断熱性 | メンテナンス | 太陽光との相性 | 特徴 |
| スレート | 約20〜30年(厚型スレートは30〜40年) | 約20kg | ○(中) | 定期塗装が必要(10〜15年ごと) | ◎ | コストとデザインのバランスが良く、住宅用で最も普及。 |
| 金属(ガルバリウム) | 約25〜35年 | 約5kg | △(断熱材付きで改善可) | ◎(錆に注意) | ◎ | 軽量・耐震性に優れ、太陽光の固定が容易。 |
| 瓦(和瓦・陶器瓦) | 約50年以上 | 約60kg | ◎ | ○(部分補修可能) | △ | 重厚感があり耐久性も高いが、重量と施工難度に注意。 |
スレート屋根の特徴と太陽光の相性
スレート屋根は日本の住宅で最も一般的な屋根材です。
価格が手頃で施工実績も豊富なため、太陽光パネルの設置にも対応しやすいのが特徴です。
ただし、表面の塗装が10〜15年で劣化するため、定期的な再塗装や防水メンテナンスが必要です。
葺き替え時には、下地(野地板)や防水シートも同時に交換しておくと安心です。
■ポイント
- コストバランスが良く、初めての太陽光設置にも向いている
- 防水層が劣化していると雨漏りリスクあり
- 耐久性を上げたい場合は、次回の葺き替え時に金属屋根へ変更も検討
金属屋根(ガルバリウム鋼板など)の特徴と太陽光の相性
金属屋根は軽量で耐震性が高く、太陽光パネルとの相性が最も良い屋根材です。
掴み金具(屋根を貫通しない方式)で設置できるため(※)、防水性能を保ったまま施工できます。
断熱性はスレートや瓦に比べてやや劣りますが、断熱材一体型の金属屋根を選べば改善可能です。
また、錆や塩害対策として、高耐久タイプの金属屋根(SGL鋼板など)を選ぶのもおすすめです。
※金属屋根でも形状(例:横葺き段付き等)によっては非貫通金具が使えず、貫通固定を選ぶ場合があります。屋根形状と金具の適合可否を事前に確認しましょう。
■ポイント
- 軽量で建物の負担を最小限に
- 掴み金具工法なら雨漏りリスクを抑制
- 断熱材付きタイプを選べば夏の室温上昇を軽減
瓦屋根(和瓦・陶器瓦)の特徴と太陽光の相性
瓦屋根は高級感があり、耐久性・断熱性ともに優れています。
一方で重量が重く、太陽光パネルの固定にはアンカー金具を使うため施工難易度が高い点に注意が必要です。
築年数が古い瓦屋根では下地や防水層が劣化しているケースも多く、そのまま設置すると雨漏りの原因になるおそれがあります。
葺き替えの際に軽量な金属屋根へ変更すれば、耐震性と発電効率の両方を高められます。
■ポイント
- 重厚感が魅力だが重量増による耐震リスクあり
- 専門知識を持つ業者での施工が必須
- 太陽光設置を考えるなら軽量化リフォームも検討
| この続きでは、屋根材ごとの固定方式や防水処理の違いを詳しく解説します。 太陽光との“相性”を左右する重要な要素なので、次章もあわせてご覧ください。 |
屋根材ごとの太陽光設置方法と注意点

太陽光パネルの設置方法は、屋根材の種類によって異なります。
誤った工法を選ぶと、雨漏りやパネルの固定不良などのトラブルにつながるおそれがあるため、事前に構造と工法の違いを理解しておくことが大切です。
以下の表に、代表的な固定方式と防水上の注意点をまとめました。
| 屋根材 | 主な固定方式 | 特徴・メリット | 注意点・リスク |
| スレート | アンカー方式(金具を下地に固定) | 一般的な工法。防水処理を行えば安定性が高い。 | 施工不良による雨漏りに注意。下地や防水シートが劣化している場合は交換を。 |
| 金属屋根 | 掴み金具方式(貫通なし) | 屋根を傷つけず施工でき、防水性に優れる。 | 金具形状が屋根の縦ハゼ・横葺き形状に合っているか要確認。 |
| 瓦屋根 | アンカー方式(瓦を部分的に外して設置) | 強固に固定できるが、施工難度が高い。 | 瓦割れ・雨仕舞不良のリスク有り。専門技術者による施工が必須。 |
| 陸屋根(防水層) | 架台固定/置き型 | 角度を自由に設定できる。メンテナンス性が高い。 | 防水層への影響が大きいため、架台固定位置や防水処理を慎重に行う。 |
スレート屋根の設置方法と注意点
スレート屋根では、屋根下地(野地板)にアンカー金具を打ち込み、パネルを支えるレールを設置するのが一般的です。
施工が比較的容易で、太陽光の固定方法として最も多く採用されています。
ただし、スレートは塗膜が劣化しやすいため、既存屋根が10年以上経過している場合は再塗装または葺き替えをしてからパネルを設置されるとよいでしょう。
防水シート(ルーフィング)が劣化していると金具取り付け部から雨水が侵入する恐れがあるため、事前点検が重要です。
■ポイント
| ・金具取り付け部には必ずシーリングと防水テープを併用 ・野地板の強度が不足している場合は補強が必要 ・再塗装を行う際は耐候性塗料(シリコン・フッ素系)を選ぶと長持ち |
金属屋根の設置方法と注意点
金属屋根では、「掴み金具」または「ハゼ締め金具」を用いた非貫通工法が主流です。
屋根材を傷つけずに取り付けられるため、防水性能を維持したまま太陽光を設置できます。
特にガルバリウム鋼板などの金属屋根では、金具をハゼ部分に挟み込む方式が主流です。
施工スピードも早く、雨漏りのリスクを抑えられます。
■ポイント
| ・掴み金具方式は雨漏りリスクが最も低い・施工時に屋根材を貫通させないため、保証条件との整合性が取りやすい・沿岸部では「高耐食SGL鋼板」など錆に強い材質を選ぶと安心 |
■雨仕舞の豆知識
| 金属屋根の雨仕舞は「ハゼ(折り曲げ部)」で水を逃がす構造になっています。 金具や配線がこの部分を塞ぐと水はけが悪くなるため、配線ルート設計にも注意が必要です。 |
瓦屋根の設置方法と注意点
瓦屋根では、一部の瓦を取り外して下地にアンカー金具を設置し、その上から再度瓦を戻して固定します。
構造上は頑丈ですが、瓦割れ・雨水侵入リスクが高いため、専門的な施工技術が不可欠です。
特に築年数が経過している住宅では、瓦のズレや漆喰の劣化も見られるため、葺き替えと同時に太陽光設置を行うのが理想です。
なお、最近では「瓦一体型太陽光パネル(BIPV)*」も登場しています。このタイプの瓦は軽いうえ、美観を損なわずに設置できる点が魅力です。
※製品ラインアップや流通は地域・施工体制によって限られる場合があり、一般のパネルより費用が上がる傾向があります。事前に取り扱い可否と総額を確認してください。
■ポイント
| ・防水紙と野地板の状態を必ず確認・施工には「瓦屋根工事技士」など専門資格を持つ業者を選ぶ・重量が大きいため、構造計算・耐震性の確認を忘れずに |
陸屋根(平屋根)への設置方法と注意点
陸屋根は傾斜がないため、パネル角度を確保するために架台(かだい)を設置します。
傾斜を25〜30度前後に調整することで、南向き設置に近い発電効率を実現できます。
固定方式は「アンカー固定」または「置き型(ウエイト式)」があります。
防水層への影響を最小限にするためには、防水補強とメーカー保証の整合確認が欠かせません。
■ポイント
| ・アンカー固定は強風に強いが、防水処理を確実に行うこと・置き型(ウエイト式)は防水層を傷つけず、メンテ性に優れる・屋上防水(シート防水・塗膜防水)の状態確認を必ず実施 |
防水・雨仕舞と保証の整合性を確認しよう

屋根に太陽光パネルを取り付ける際、最も重要なのが“雨仕舞(あまじまい)”の確保です。
どれほど高性能なパネルでも、防水処理や固定金具の施工が不適切だと、雨漏りや腐食の原因となり、保証が無効になるケースもあります。
ここでは、屋根材ごとの防水構造と、保証を守るために注意すべきポイントを整理します。
屋根材ごとの防水構造と雨仕舞の考え方
| 屋根材 | 防水構造の仕組み | 雨仕舞のポイント | 注意すべき点 |
| スレート屋根 | 下地防水シートで雨水を受け、軒先へ排水 | 金具取付部の防水処理を確実に行う | 下地のルーフィング(防水紙)が劣化していると雨漏りリスク増大 |
| 金属屋根(縦ハゼ葺き) | ハゼ部(折り返し)で雨水をせき止めつつ流す | ハゼ部を塞がないよう金具・配線を設置 | ハゼを潰すと雨水の逃げ道が失われる |
| 瓦屋根 | 瓦同士の重なりで雨を受け流す | 瓦のズレ・割れを点検しながら施工 | 漆喰・防水紙が劣化していると侵入リスクあり |
| 陸屋根 | 防水層(シート・塗膜)が直接雨水を遮断 | 架台固定部に必ず防水補強を行う | アンカー位置・防水層の再施工範囲を確認 |
雨仕舞の考え方

「雨仕舞(あまじまい)」とは、屋根に入った雨水をスムーズに逃がすための設計や施工方法を指します。
防水のように「完全に水を遮る」ことを目的とするのではなく、雨水を受け流し、建物内部に侵入させない構造を作るために用いられます。
■豆知識
| たとえば瓦屋根の場合は、瓦の重なりや棟部分の漆喰などで排水経路を確保しつつ、下地の防水紙(ルーフィング)が最終的な防水ラインとして機能します。 ※近年では従来の漆喰に代わって耐久性の高い南蛮漆喰(なんばんしっくい)などの素材も使われており、雨仕舞を長持ちさせる工夫が進んでいます。 |
雨仕舞の注意点
太陽光パネルを設置する際、雨仕舞いに対し配線や金具を無理に通すと、排水経路を塞いでしまうことがあります。
結果として屋根内部に雨水が滞留し、防水紙の劣化や雨漏りの原因になるケースも。
設置時は屋根材の種類に応じた固定金具を選び、既存の雨仕舞構造を崩さないことが重要です。
ポイントまとめ
- 「雨仕舞」とは、“屋根に入った雨水をスムーズに逃がす設計”のこと
- 雨水を完全に「遮る」よりも、「逃がす」構造が重要
- 配線や金具を無理に通すと、排水経路を塞いでしまうため要注意
防水保証・メーカー保証・施工保証の整合性をチェック
太陽光パネル設置後の保証トラブルで多いのが、「どの保証でカバーされるか分からない」というケースです。
防水・機器・施工、それぞれの保証が異なるため、事前に整理しておきましょう。
| 保証の種類 | 主な対象範囲 | 一般的な期間 | 発行主体 | 注意点 |
| メーカー保証 | パネル・パワーコンディショナなど機器の不具合 | パネル:25年パワコン:10年 | メーカー | 雨漏りや取付不良は対象外 |
| 防水保証 | 防水層(シート・塗膜など)の破損・雨漏り | 10〜15年程度 | 防水材メーカー・施工業者 | アンカー貫通や再施工で保証が無効になることも |
| 施工保証 | 工事に起因する不具合(雨漏り・固定不良など) | 5〜10年程度 | 施工会社 | 他社による改修・増設を行うと無効になる場合あり |
チェックリスト
| ・太陽光の施工で防水層を貫通する場合、事前に防水メーカーへ確認したか・防水保証書・施工保証書・機器保証書の発行元を明確にしているか・保証の「対象外項目(免責条件)」を確認したか |
太陽光パネルを設置する際は、「どの保証がどこまでをカバーしているのか」を明確にしておくことが大切です。
屋根の防水層を貫通して金具を固定する工法を採用する場合、防水メーカーによっては施工前に事前確認が必要なケースがあります。
もし無断で穴を開けてしまうと、防水保証が失効する可能性もあるため注意しましょう。
また、工事完了後は以下3種類の保証書の発行元と範囲を確認しておくことがポイントです。
| ・防水保証書屋根や防水層を施工した業者、または防水材メーカーが発行するもの。雨漏りなどの不具合を対象。 ・施工保証書太陽光パネルの取り付けを行った工事会社が発行。金具の固定不良や施工ミスなどをカバー。 ・機器保証書太陽光パネルやパワーコンディショナのメーカーが発行。発電性能や製品不良を保証。 |
さらに、これらの保証にはそれぞれ「免責条件(対象外項目)」が設けられています。
たとえば「自然災害による損傷」や「第三者による改造」などは補償されないことが多く、万一の際にトラブルになりやすいポイントです。
契約前に免責内容を必ず確認し、防水・施工・機器の3つの保証が重複・漏れなく適用される状態を整えておくと安心です。
保証を守るための施工ポイント
保証を維持するためには、次の3点を守ることが重要です。
- 屋根リフォームと太陽光施工を同一業者に依頼する
→責任範囲が明確になり、保証の重複・抜け漏れを防げます。 - 金具・アンカー部分の防水処理を施工写真で残す
→将来的な保証申請や保険対応の際に証拠となります。 - 施工後の定期点検を怠らない
→防水層や金具の劣化は早期発見が重要。5年ごとを目安に点検を行いましょう。
屋根材と太陽光の“相性診断”セルフチェック

屋根の葺き替えを検討する際は、家の構造や立地条件、ライフスタイルに合った屋根材を選ぶことが大切です。
以下のセルフチェック表を参考に、ご自身の住まいにどの屋根材が向いているかを確認してみましょう。
| チェック項目 | 当てはまる場合のおすすめ屋根材 |
| 軽量・耐震性を重視したい | 金属屋根(ガルバリウム鋼板など) |
| コストを抑えて標準的な性能を求めたい | スレート屋根(コスパ重視の定番) |
| 和風デザインや重厚感を重視 | 瓦屋根(耐久性は抜群) |
| 太陽光を設置予定で長期保証を希望 | 金属orスレート(固定金具の互換性が高い) |
| 雪や風が強い地域に住んでいる | 金属屋根(勾配や耐風設計がしやすい) |
金属屋根は軽量で耐震性が高く、太陽光の設置やメンテナンスにも適した万能タイプ。重量は瓦屋根の10分の1と軽く、地震対策をお考えのご家庭にもおすすめです。
一方、スレート屋根は価格と性能のバランスが良く、住宅用として広く普及しています。施工実績が多く、修理やメンテナンス業者も見つけやすいのが特徴です。
瓦屋根は長寿命で断熱性にも優れますが、重量があり耐震面では注意が必要です(※)。重厚・和風な外観を好む場合や、もともと和瓦を載せていたご家庭に引き続き選ばれるケースが大半です。
※注:近年は「軽量瓦」「防災瓦」など進化した製品もあり、50年以上保つケースもあります。
太陽光パネルを設置する予定がある場合は、「固定金具の対応可否」や「防水保証の範囲」も含めて比較しておくと安心です。
屋根リフォームの工法を理解しよう

屋根リフォームには大きく分けて「葺き替え」と「カバー工法(重ね葺き)」の2つの方法があります。
どちらを選ぶかによって、費用・工期・耐久性、さらには太陽光パネルとの相性も異なります。
| 工法 | 概要 | メリット | 注意点 |
| 葺き替え | 既存の屋根材と下地(防水層)をすべて撤去し、新しい屋根を葺き直す方法。 | 下地から防水層まで一新でき、耐久性・防水性が高い。太陽光パネル設置と相性が良い。 | 費用は高め(100㎡あたり100〜150万円前後)。工期がやや長い。 |
| カバー工法(重ね葺き) | 既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて施工する方法。 | 廃材が少なく、工期が短い。断熱・遮音性も向上。 | 屋根が重くなるため耐震性が下がる。瓦屋根など立体的な屋根には不向き。太陽光設置には制限あり。 |
カバー工法が適用できる屋根・できない屋根
カバー工法は、基本的に「平坦な屋根材」で下地が健全な場合に限り施工できます。
凹凸のある屋根材では密着できず、雨仕舞の確保が難しくなるため不向きです。
| 屋根材 | カバー工法の可否 | 理由・補足 |
| スレート屋根(化粧スレート) | ◎ | 最も一般的。表面が平滑で金属屋根を重ねやすい。 |
| 金属屋根(平葺き・縦葺き) | ○ | 平らで軽量な場合は施工可能。下地の劣化がないことが前提。 |
| アスファルトシングル屋根 | ○ | 軽くて密着性が高く、施工しやすい。 |
| 和瓦・陶器瓦・モニエル瓦・セメント瓦など | × | 凹凸が大きく、防水・固定が困難。カバー工法不可。葺き替えが必要。 |
原則として凹凸が少ない平板系屋根材(例:スレート・平形金属屋根など)にカバー工法が向きます。
一方、セメント瓦・モニエル瓦など重量があり形状も複雑な屋根材では、カバー工法が適用されないケースが多いため、葺き替えが基本となります。
施工可否は下地・屋根構造・既存屋根材の劣化状況などによって決まるため、専門業者による現地調査を必ず実施してください。
太陽光を設置するなら「葺き替え」が最適
太陽光パネルを同時に設置する場合は、葺き替えがおすすめです。
下地や防水層を新しくできるため、金具固定による雨漏りリスクを最小限に抑えられます。
また、屋根を葺き替えることで「屋根に穴を開けずにパネルを設置できる金具方式」を選択できる場合もあり、防水面での安心感が高まります。
葺き替え+太陽光パネル設置を同時に行うメリット

屋根リフォームと太陽光パネルの設置は、同時に行うことでコスト・工期・保証・防水性のすべてを最適化できます。
別々に行うよりも効率的で、長期的な安心にもつながります。
①足場共用で工事費を削減
屋根の葺き替えと太陽光設置を別々に実施すると、足場代(約15〜25万円)を2回支払う必要があります。
同時施工なら足場を共用できるため、1回分の費用で両方の工事が完了。
結果としてトータルコストを10〜20%程度抑えられるケースもあります。
②保証・メンテナンスを一元管理
屋根と太陽光を別の会社に依頼すると、トラブル時の責任範囲が曖昧になりがちです。
同じ施工会社が一括対応すれば、防水・構造・配線などの保証窓口が一本化され、万が一の雨漏りや機器不良にも迅速に対応できます。
施工品質とメンテナンス体制を統一できる点は、長期的な安心につながるでしょう。
③発電効率・耐久性・防水性を最大化
葺き替えと同時に太陽光を設置すれば、新しい下地や防水層に合わせた最適なレイアウト設計が可能です。
配線の取り回しや固定金具の位置も考慮できるため、発電効率を高めつつ、雨漏りのリスクを抑えた設計にできます。
さらに、葺き替え時に屋根材の種類を選べるため、屋根に穴を開けずに設置できる非貫通の掴み金具(※金属屋根など形状適合時)を選べる場合があります。
※陸屋根の場合は“葺き替え”ではなく屋上防水改修+太陽光の同時計画が対象で、置き型(ウエイト式)などの方式を選択します。
この方式なら屋根を貫通しないため防水性が一段と高まり、将来的な安心感が増します。
また、新しい屋根材に合わせて強度設計を行うことで、風圧・積雪・経年劣化への耐性も向上します。
屋根葺き替え費用とライフサイクルコスト比較

屋根リフォームは「初期費用」だけでなく、メンテナンス費用を含めた“ライフサイクルコスト”で比較するのがポイントです。
【屋根の葺き替え費用・ライフコスト一覧】
・瓦は屋根材自体の耐久性は高いですが、防水紙(ルーフィング)の寿命は20〜30年が目安です。
・30年時点で葺き直し(瓦を一度外して防水紙・桟木更新)を実施する場合、+50〜100万円程度上振れする可能性があります。
・単価・メンテ費は地域・仕様・勾配・下地状態で変動します。足場共用(屋根+太陽光同時施工)なら、メンテや更新のタイミングで10〜20万円前後の削減が見込めるケースがあります。
| 屋根材 | 初期費用(㎡) | 耐用年数 | メンテ周期 | 30年想定コスト※ |
| スレート | 約6,000〜8,000円 | 約20〜30年(厚型スレートは30〜40年) | 10〜15年ごとに点検、塗装 | 約150万円前後 |
| 金属 | 約7,000〜9,000円 | 約25〜35年 | 約20年ごとに点検、再塗装など | 約130万円前後 |
| 瓦 | 約9,000〜14,000円 | 約50年以上 | 部分補修中心 | 約145万円前後 |
※試算前提:屋根面積100㎡、㎡単価レンジの中央値、各屋根材の代表的メンテを想定(足場・全面ルーフィング更新・太陽光付帯費は除外)
スレートは初期費用が安い反面、定期的な塗装メンテナンスが必要です。
金属屋根はメンテナンス頻度が少なく、長期的にはコストバランスが優秀。劣化時のリフォーム工法の選択肢が多いのも魅力です(カバー工法も葺き替えも原則OK)。
瓦屋根は寿命こそ長いものの、重量・施工費の高さがネック。太陽光併設時には慎重な検討が求められます。
東京都・各区で使える屋根リフォーム・太陽光補助金
東京都内では、屋根リフォームや太陽光発電の導入を支援する補助制度が多数設けられています。
ここでは代表的な国・東京都・区レベルの補助制度を整理します。
①:国の補助制度|長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)
国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、住宅の性能向上を目的としたリフォームを支援する国の制度です。
屋根の軽量化や断熱改修、耐震補強などが対象になります。
| 区分 | 補助上限額 | 対象となる主な改修内容 |
| 評価基準型・提案型 | 最大80万円/戸 | 耐震補強、断熱改修、劣化対策(屋根・外壁など) |
| 認定長期優良住宅型 | 最大160万円/戸 | 長期優良住宅基準を満たす性能向上リフォーム |
| 追加加算 | 最大+50万円 | 三世代同居対応改修/若者・子育て世帯など |
屋根リフォームでは、瓦から金属屋根への葺き替えによる軽量化工事などが対象に含まれます。
(詳細は国交省「長期優良住宅化リフォーム推進事業公式ページ」参照)
②:東京都の補助制度|太陽光発電・蓄電池導入支援
東京都は「家庭における太陽光発電導入促進事業」などを通じて、戸建住宅への太陽光設置を後押ししています。
既存住宅・新築住宅いずれも対象で、出力や設置条件に応じた補助が受けられます。
| 対象住宅 | 補助額(1kWあたり) | 上限額 |
| 既存住宅(3.75kW以下) | 15万円 | 最大45万円 |
| 既存住宅(3.75kW超〜50kW未満) | 12万円 | 助成対象経費の合計金額を上限 |
| 新築住宅(3.6kW以下) | 12万円 | 最大36万円 |
| 新築住宅(3.6kW超〜50kW未満) | 10万円 | 助成対象経費の合計金額を上限 |
さらに、架台設置(陸屋根)や防水工事にも上乗せ補助があります。
併せて「蓄電池導入促進事業」を利用すれば、12万円/kWh/(増設)8万円/kWh に加え、DR参加加算10万円/戸。HEMS等は助成対象経費の1/2(上限10万円)の助成が受けられます。
詳細:
③:区ごとの屋根・太陽光補助制度(2025年時点)
東京都内の各区では、屋根リフォームや太陽光発電導入を対象にした独自補助制度を実施しています。
以下は代表的な3区の例です。
| 区名 | 制度名 | 対象・概要 | 上限額・条件 |
| 足立区 | 太陽光発電システム設置費補助金 | 太陽光発電システムの設置で補助あり。 区外業者:6万円/kW区内業者:7.2万円/kW | 区外事業者:24万円区内事業者:28.8万円 |
| 足立区 | 住宅改良助成制度 | 屋根の軽量化リフォームに助成 | 3,000円/㎡上限30万円 |
| 荒川区 | 新エコ助成事業 | 太陽光発電システム導入を助成。区内業者利用で優遇 | 2万円/kW 区外事業者:25万円区内事業者:30万円 |
| 新宿区 | 省エネルギー・創エネルギー機器等補助制度 | 省エネ・再エネ機器導入費の一部補助 | 10万円/kW上限30万円 |
※上記はいずれも2025年度時点の情報です。年度や予算状況により募集期間や金額が変動するため、必ず最新の公式情報をご確認ください。
【関連リンク】
【2025年最新】ZEHリフォームは補助金でお得に!東京都・23区・国の支援制度と費用例を徹底解説
④:補助金活用のポイント
- 屋根リフォームと太陽光を同時施工すれば、工事区分が重複せず申請がスムーズ。
- 国・都・区のトリプル併用が可能なケースもあり、初期費用を大幅に抑えられる。
- 補助金申請は「着工前」が条件のため、施工前に申請スケジュールを必ず確認する。
まとめ

屋根材の選び方は、見た目や価格だけでなく耐久性・重量・防水性・太陽光との相性を総合的に判断することが重要。
特に築20年以上経過した屋根では、劣化が進みやすく、葺き替えのタイミングで太陽光を同時導入するのがおすすめです。
足場や施工を共通化でき、保証やメンテナンスも一元管理しやすくなります。
また、国や東京都・各区の補助金を活用すれば、費用負担を抑えながら質の高いリフォームが可能です。
| ファミリー工房では、太陽光パネルの設置はもちろん、屋根リフォームの施工、補助金の申請までワンストップで承ります。 「補助金を活用したいけれど申請が難しそう」「同時施工の流れを具体的に知りたい」とお考えの方も安心。 施主様は面倒なお手続きなく、快適な住まいを手に入れられます。 無料で現地調査・お見積もりを承っておりますので、屋根リフォームと太陽光の同時施工をご検討ならぜひお気軽にご相談ください! >>無料お見積もり・ご相談はこちら|ファミリー工房 |

〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
JR線・東京メトロ千代田線「北綾瀬駅」下車 徒歩7分
営業時間
10:00~18:00 / 定休:毎週日・月
※夏期休暇、年末年始休暇、ゴールデンウィークを除く






